東北大学工学部電気情報物理工学科

Department of Electrical, Information and Physics Engineering

情報知能システム総合学科から2015年4月に名称変更

  • 電気工学
  • 通信工学
  • 電子工学
  • 応用物理学
  • 情報工学
  • バイオ・医工学

高校生・受験生のための研究紹介
人と未来をつなぐ[電気・情報・応用物理]の魅力

学生が聞いた先生たちの研究

安全・医療・宇宙・・・ キーとなるのはアンテナ

スマホだけじゃない! 電磁波工学のさらなる可能性を追求

安全・医療・宇宙・・・ キーとなるのはアンテナ
―先生の研究分野を教えてください。

「電磁波工学」を研究しています。高校の物理で「電磁気」というものを勉強すると思いますが、私たちの研究室では、電磁気学を基礎とした電磁波工学に関する研究を行っています。研究対象としては、電磁理論、アンテナ、無線通信、電磁波伝搬、電磁波計測、電磁環境など幅広い分野で、基礎から応用にわたる一貫した研究を理論及び実験の両面から進めています。

―「アンテナ」「無線通信」というと、携帯電話のような研究をイメージすればよいでしょうか。

次世代の携帯電話に使うアンテナは主要な研究テーマの一つです。現在のスマートフォンは、新幹線のような高速で移動する乗り物で利用する際に、通信速度が落ちてきたり、通信が途切れたりするという問題があります。これは、1つの無線通信機に複数本のアンテナを使用し、電波環境に応じてアンテナの特性をリアルタイムに制御することにより解決できると考えられています。本研究室では、新たなアンテナの材料や構造・制御方法を開発することにより、高速移動時の大容量通信を実現することを目指しています。
 また、研究対象は携帯電話だけではなく、もっと様々な範囲に広がっています。

陳 強 教授
陳 強 教授
―携帯電話用アンテナ以外の研究テーマはどのようなものでしょうか。

たとえば、空港にある保安用金属探知機。あれは、ナイフや拳銃のような危険物を探知するためのものです。しかし最近では、飛行機にとってもっとも危険なものは、毒性や引火性、爆発性のある液体・粉末状の化学物質、つまり非金属物質です。ところが、人のプライバシーを配慮しながらこれらの物質を探知する方法は確立されていません。そこで私たちはヒトの体やモノから出ている微弱な電波を感知して画像化するという「ミリ波パッシブイメージング装置」を、国の委託を受けて企業と共同で開発しています。この装置は、電波やX線を人体に照射せず、人が衣服下に所持する液体やプラスチック製の危険物を完全無侵襲・非接触で検知可能です。今、各地の空港での実証実験を行っています。

―ある程度完成された学問にも思える電磁波工学。これからはどのような方向に発展していくのでしょうか。

電磁波工学は様々な分野で重要な技術となっていくと思います。たとえば、「カプセル型の生体センサを飲みこんで日常的に健康状態をチェックする」という技術や、「太陽光パネルを積んだ衛星を打ち上げて、そこで発電した電力を地球に送る宇宙太陽光発電」という技術。これら2つの技術は一見関係なさそうに見えても、“無線で”情報や電気を送受信するという点では共通しています。自分たちが思っているインターネット通信という形の情報通信だけでなく、「無線で送受信する」ということには必ずアンテナが必要になるのです。
 八木・宇田アンテナを生んだ本学の電磁波工学の研究は、通信、放送などの分野における電波応用技術の発展に貢献してきました。これからも、アンテナの更なる可能性の追求に向けて、既存の枠にとらわれないでアンテナの様々な利用方法について研究開発してきます。

安全・医療・宇宙・・・ キーとなるのはアンテナ

アンテナは他にはどんなところに使えるんだろう

電磁波工学はインターネット通信や電子レンジだけのものだと思っていましたが、その可能性は予想以上のもので、驚きました。陳研究室では、人間が通信端末を持ったときの電磁波の実験と解析を、人間型の「マネキン」のようなものを使って行うそうです。それだけ人間にとって身近になった通信やアンテナ。まだまだ研究の領域を広げていきそうです。

(3年 宮澤咲紀子[栃木県立宇都宮女子高等学校卒業]:2014年10月取材)

今回お話をお聞きした先生は

陳 強 教授

陳 強 教授(Qiang Chen)

専門は電磁波工学(アンテナ、電磁解析、通信システム)。
1986年7月西安電子科技大学卒業、1994年3月東北大学大学院博士後期課程了。2013年4月東北大学大学院工学研究科教授。
1993年電子情報通信学会学術奨励賞、2008年電子情報通信学会論文賞、電子情報通信学会第2回喜安善市賞などを受賞。

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