東北大学工学部電気情報物理工学科

Department of Electrical, Information and Physics Engineering

情報知能システム総合学科から2015年4月に名称変更

  • 電気工学
  • 通信工学
  • 電子工学
  • 応用物理学
  • 情報工学
  • バイオ・医工学

高校生・受験生のための研究紹介
人と未来をつなぐ[電気・情報・応用物理]の魅力

学生が聞いた先生たちの研究

新しい設計原理でロボット研究の先の先を走る

「生き物の動き」に学んでどんな場所でも活躍できるロボットを創る

新しい設計原理でロボット研究の先の先を走る
―はじめに、研究の概要について教えてください。

身の回りの生き物たちは、生き生きと空間を動き回っていまよね。しかし、私たち人間の英知を結集したはずのロボットは、「しなやかさ」とか「つよさ」といった点で、アメーバやミミズといった下等な生物に完敗しています。一般的に、ロボットは司令塔として高性能コントローラを搭載し、全身を制御しています。しかし、1つの中央コントローラが膨大な計算をしなければならないので、ロボットを安定的に動かすことが難しく、限界があるのです。そこで、私たちは次世代のロボットに搭載するにふさわしい新しい設計原理である「自律分散制御」という制御方法について研究しています。

―「自律分散制御(システム)」とはどういったものですか。

自律分散システムは中央に高性能なコントローラがあるのではなく、各可動部に小さなコントローラを与えます。各コントローラには担当の可動部を動かすことしかさせませんが、それらがうまく協調することで全体のシステムを安定的に動かすことができます。実は生き物たちもこの分散型の制御方法を採用しています。そこで私たちは、いきなりヒト型ロボットを作るのではなく、まずはいろいろな生き物たちに学ぶことにしたのです。

石黒 章夫 教授
石黒 章夫 教授
―実際の研究はどのように進めているのでしょうか。

研究は、まだ誰も知らない「生き物の動きのからくり」を数式モデル化し、それを注入したロボットを作って詳細な動きを理解する、というプロセスをとっています。アメーバの動きから、ヘビ状の動き、四脚歩行の仕組みについてはおもしろい結果が出つつあります。現在は、粘菌から二脚歩行までという幅広い研究対象を持っていますが、このようにさまざまな生き物の動きを幅広く扱っているのは世界的に見ても本研究室のみです。

―理学的な観点からロボットを研究するのは、めずらしいですよね。

確かに、ロボット研究者の中では少数派です。しかし、未知の環境下で、力づくではなくしぶとくしたたかに活躍できるロボットを作るためには、少し遠回りをしても「動きのからくり」を解明することは絶対に必要だと思っています。また、この研究のような基礎研究を充実させることによって、ロボット研究のみならず、生物学や医学にも貢献できると考えています。

新しい設計原理でロボット研究の先の先を走る

研究室にヒトデがいました

石黒研究室を訪れると、学生が部品箱に囲まれた部屋の床で、様々な動きのロボットを走らせながら議論していたり、隣の部屋ではヒトデや虫を飼っていたりと(動きを観察して研究に生かすそうです)、ユニークな研究室だなあと思いました。先生は、興味を持っていて研究対象にしたい生物がまだまだいっぱいあるようですので、今後もどんな発見があるのか楽しみですね。

(3年 宮澤咲紀子[栃木県立宇都宮女子高等学校卒業]:2014年10月取材)

今回お話をお聞きした先生は

石黒 章夫 教授

石黒 章夫 教授(Akio Ishiguro)

専門はシステム工学、ロボティクス、非線形科学、複雑系科学、生物物理学。
滝高等学校(愛知県)卒業。1991年3月名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。名古屋大学工学部助手、名古屋大学大学院工学研究科助教授を経て、2006年4月東北大学大学院工学研究科教授。2011年4月東北大学電気通信研究所教授。
2004 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems Best Paper Awardなどを受賞。著書に『移動知 -身体性に基づく構成論的アプローチ-』(分担,共立出版,2010年)など。

研究室Web

研究室の様子(動画「ビジット東北大学(ロボット編)」:最初に取り上げられている研究室)

ヘビ型ロボット、四脚歩行ロボット、クモヒトデ型ロボットの動いている様子(サイエンスアゴラ2014の動画)