東北大学工学部電気情報物理工学科

Department of Electrical, Information and Physics Engineering

情報知能システム総合学科から2015年4月に名称変更

  • 電気工学
  • 通信工学
  • 電子工学
  • 応用物理学
  • 情報工学
  • バイオ・医工学

高校生・受験生のための研究紹介
人と未来をつなぐ[電気・情報・応用物理]の魅力

学生が聞いた先生たちの研究

医療の世界の“あったらいいな”を磁石の力で実現

ワイヤレスな磁気の力で患者の生命や医師の治療を支える

医療の世界の“あったらいいな”を磁石の力で実現
―はじめに、研究の概要について教えてください。

医学と工学が協力していこうという『医工学』の分野で、「磁気を使ってものを動かす力」を医療や医学の進歩に役立てる研究をしています。ご存じのとおり、磁石はN極やS極同士で反発し、N極とS極で引き合います。この力は、人の身体の大半を占める水の中をほぼ損失なく伝わります。身体の中で医療機器を動かそうとした時に、電気で長時間動かすためには身体の外にある電源とつなぐ電線が必要となりますが、磁気を使えばこの特性を活かしてワイヤレスで動かすことができます。

―具体的には磁気の力を使って、身体の中で何をどのように動かすのでしょうか。

例えば心臓は、血液を身体に循環させていますね。心臓が血液を押し出す力が弱いと生命の維持に支障を来たします。この心臓の押し出す力を補助してあげるのが補助人工心臓です。従来は電気の力を使っており、最近アメリカでは細い電線が2本身体から出ているだけの手軽な仕様も使われています。しかし電線が出ている部分を定期的に消毒する必要があるなど管理が難しく、外出がままならないなど患者の負担も大きいです。そこで私たちは磁石による回転の力を人工心臓の駆動力にする方法を開発しました。このような磁気を医療に応用する研究は、人工心臓の今の世界をひっくり返し、将来を予感させる手法として高く評価されています。
 また他にも、カテーテルの先端に磁石をつけることで、複雑な器官の形状に合わせて先端の向きを曲げ、進行方向を制御する方法も開発しました。更に、がんなどを切除する際に、術部を磁気の力で少し持ち上げ拡げることで、切除しやすくする方法も国立がんセンターと共同で開発しています。

石山 和志 教授
石山 和志 教授
―先生の将来の夢を教えてください。

私の夢は、今までの医療で不可能だったことを、磁気の力で可能にすることです。磁気の力を医療に応用することのメリットは、原理がシンプルであることと、ワイヤレスで力を発生、制御できること、見えないところも見えること、などです。電磁石を使えば更にその制御は容易になります。直線運動でも回転運動でも、様々な動きを起こすことが可能となります。しかしながら、磁気の力を積極的に医療に用いる研究は、日本だけでなく世界においても数少ないのが現状です。特に磁気の研究者の中で電気(工学)と材料(工学)も理解している研究者は少なく、私たちの強みとなっています。その強みを活かして、『磁気の力を使うと医療の世界でこんなことができますよ』と様々な提案をして、医療への磁気工学の利用を先導していきたいと思っています。
 医療に貢献というと、難しいことを想像してしまうかもしれません。しかし、少し力を加える、持ち上げる、などのちょっとしたことで医師を手助けできることも沢山あります。磁気の力を使って、医師や患者を支えたいと思っています。

医療の世界の“あったらいいな”を磁石の力で実現

磁気工学が医療に秘めた大きな可能性

先生によれば『医学を発展させられるのが医工学』とのこと。その具体例を教えていただきました。ただくっついたり離れたりするものと思っていた磁石を応用すれば医師や患者に様々な手助けができることに驚きました。医師や患者の負担を減らす「低侵襲医療」への関心が高まる中で、磁気工学が医療や医学の発展に大きな役割を担う可能性を感じました。

(博士前期課程1年 長谷川美佳[宮城県仙台第二高等学校卒業]:2014年10月取材)

今回お話をお聞きした先生は

石山 和志 教授

石山 和志 教授(Kazushi Ishiyama)

専門は磁気工学。
茨城高等学校(茨城県)卒業。1986年3月東北大学工学部電気工学科卒業、1988年3月東北大学大学院工学研究科電子工学専攻博士前期課程修了。博士(工学)。1988年4月東北大学電気通信研究所助手、2003年1月東北大学電気通信研究所助教授を経て2007年4月東北大学電気通信研究所教授。2003年4月から2004年3月内閣府政策統括官(科学技術政策担当)付参事官(重点分野担当)付参事官補佐 (併任)、2004年4月から2005年3月内閣府政策統括官(科学技術政策担当)付上席科学技術政策調査員 (兼務)。
2004年生体医工学シンポジウム ベストリサーチアワード、2005年日本応用磁気学会論文賞などを受賞。

学生による研究室の紹介

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