東北大学工学部電気情報物理工学科

Department of Electrical, Information and Physics Engineering

情報知能システム総合学科から2015年4月に名称変更

  • 電気工学
  • 通信工学
  • 電子工学
  • 応用物理学
  • 情報工学
  • バイオ・医工学

高校生・受験生のための研究紹介
人と未来をつなぐ[電気・情報・応用物理]の魅力

学生が聞いた先生たちの研究

脳機能としての視覚系に工学的視点で迫る

人間の特性を解明し、テクノロジーに反映する

脳機能としての視覚系に工学的視点で迫る
―先生の研究内容を教えてください。

人間の脳機能に関する研究のうち、特に視覚系に関する研究をしています。視覚の処理系には、網膜から大脳までいろいろな処理過程があります。比較的単純でコンピュータ上で数式モデルとして表現することができているのは、色覚や立体視、運動視などです。より複雑なものでは人間の注意がどこまで及ぶかなど、さらに複雑で未知の領域としては視覚と意識の関係やその行動への影響などがあります。私たちは、これらの人間の視覚の処理系を理解し、それを情報技術、画像技術に応用しようと考えています。

―画像技術に応用するとは、具体的にどのような応用例が考えられるのでしょうか。

例えば立体視については、3D(3次元)ディスプレイへの応用が考えられます。立体視には個人差がありますが、コントラストを調整することによって、個人個人に合った奥行きを調整することができるのです。注意の研究は、デザインや視環境の評価に応用することができます。人間の注意のメカニズムを理解することによって、人間がどのようなところに注目するか予測することができるようになります。それを工学的に応用できれば、デザイン手法の一般化を図ることができ、伝えたい情報をより確実に伝えられる技術ができるでしょう。

塩入 諭 教授
塩入 諭 教授
―「視覚」や「注意」というものだと、脳科学や心理学で研究していると思っていたのですが。

確かに私たちも心理実験を行いますし、医学部の先生方と共同研究や情報共有することもあります。私たちの立場は、工学・産業応用の視点を持ち、人間の視覚について本学科特有の情報処理的・計算機論的なアプローチに基づく研究する点で、他の分野と異なります。また、基礎的な研究により人間の特性を理解し、その成果を応用して実社会で役立つテクノロジーという形にまで持って行くこと、また新しいテクノロジーにより環境変化から生じる新しい問題に関わる人間の特性の研究分野を開拓することは、工学系の研究所ならではのものです。

―この視覚科学を先生の研究室で研究するメリットは何ですか。

私の研究室は、電気情報物理工学科と連携している電気通信研究所に所属しています。大学にある研究所の研究室として、応用を見据えた基礎研究を、応用に偏ることなく原理の理解に重点をおくことで、どちらもしっかりと行うことが可能です。また、今後重要性を増すと考えられる、情報技術に係わる人間研究の手法を理解することは大きなメリットです。

―最後になりますが、先生の将来の夢を教えてください。

今後、脳の働きとしての視覚の処理系を理解することによって、人間がどのように見えているかを推定することができるようになります。それによって、ディスプレイの設計・開発や、webデザイン、交通分野、教育分野への応用が可能になります。また、処理系の理解がさらに深まり個人差も評価できれば、一人一人が見やすい映像、コミュニケーションツール、教育機器があたりまえに使えるようになると思います。最終的に人間と同じように見て、理解し、学習できるコンピュータを実現することで、だれもが人間にとって必要な情報がなにかを探求し、作りだし、利用できるようになればうれしいです。

脳機能としての視覚系に工学的視点で迫る

工学部の心理学

先生の研究は、工学部でありながら文系分野の心理学的要素もお持ちです。研究室には大きな心理実験装置もありました。私も実際に簡単な実験を体験させていただいたのですが、すっかりトリックに引っかかってしまいました。理系の分野に興味がある、実験がしたい、でも心理学にも触れてみたいという方には非常に魅力的な研究室だと思います。

(3年 野々村萌[岩手県立盛岡第三高等学校卒業]:2014年10月取材)

今回お話をお聞きした先生は

塩入 諭 教授

塩入 諭 教授(Satoshi Shioiri)

専門は視覚科学、視覚工学。
長野県上田高等学校卒業。1981年3月東京工業大学機械物理工学科卒業、1983年3月東京工業大学総合理工学研究科物理情報工学専攻修士課程修了、1986年3月東京工業大学総合理工学研究科物理情報工学専攻博士後期課程修了。モントリオール大学博士研究員、ATR視聴覚機構研究所研究員、千葉大学助手、助教授、教授を経て、2005年3月東北大学電気通信研究所教授。

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