東北大学工学部電気情報物理工学科

Department of Electrical, Information and Physics Engineering

情報知能システム総合学科から2015年4月に名称変更

  • 電気工学
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  • 電子工学
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  • 情報工学
  • バイオ・医工学

高校生・受験生のための研究紹介
人と未来をつなぐ[電気・情報・応用物理]の魅力

学生が聞いた先生たちの研究

自然エネルギー社会の実現を可能にするエネルギー貯蔵システムを開発

エネルギー分野から医療分野、建設分野まで、超電導の活用を考える

自然エネルギー社会の実現を可能にするエネルギー貯蔵システムを開発
―はじめに、研究の概要について教えてください。

超電導を利用した電力輸送システムや電力貯蔵システムについて研究しています。代表的なものが、超電導ケーブル。電気抵抗がほぼゼロであるため、送電による損失を大幅に減らすことができ、長距離電力輸送に適していて、大陸の砂漠などで発電した電気を日本に送電することも可能にする技術です。
 また、最近では、次世代の電力貯蔵システムの研究にも力を入れています。今後、自然エネルギーの導入は持続可能な社会を作るために絶対に必要なものです。しかし、風力や太陽光などの自然エネルギーは、気象条件によって発電量が上下してしまいます。そこで、私たちは、超電導を利用した電力貯蔵システムと水素貯蔵システムを複合した新しいエネルギー貯蔵システムについて研究・提案しています。

―先生が開発されている次世代の電力貯蔵システムとはとはどういうものですか。

必要量より多く発電した時には余った電気を別のエネルギーの形として貯めて、少ない時には電気として取り出せば、均一な電力供給を保つことができる、というのがエネルギー貯蔵の考え方です。リチウムイオン電池などを使う方法も検討されていますが、私たちは、それぞれ異なった特徴を持つ超電導電力貯蔵方式と水素貯蔵方式を組み合わせて、よりコンパクトでより大容量のエネルギーを貯めることができるシステムの開発を目指しています。このような電力と水素の複合エネルギー貯蔵システムを世界に先駆けて研究しています。

津田 理 教授
津田 理 教授
―超電導を応用する研究としては、そのほかにはどのようなものを行っていますか。

超電導研究のノウハウを生かして、最近は医療応用の研究も行っています。
 たとえば、「重粒子線治療」という、重粒子(炭素)線を加速器で加速し患部に当てることでがん細胞を攻撃する治療法があります。放射線治療と違って、がん細胞だけに強いエネルギーを照射することができるので、人体への影響が小さいのが特徴です。しかし、重粒子を加速するための施設のために広い土地が必要になってしまうので、日本にはまだ4か所しかありません。そこで、超電導コイルを使って強い磁場を発生させることで、小さな加速器でも重粒子を加速できるようにする研究を国のプロジェクトとして医療機器メーカーと行っています。これが完成すれば、全国の医療施設にこの機器を配置することができ、多くの患者さんが治療を受けられるようになります。
 東日本大震災の経験を踏まえて、超電導を利用して建物を免震するシステムも建設会社と共同で開発しており、新聞でも取り上げていただいています。
 他にも、たとえば核融合発電など、様々な分野で超電導利用の可能性を追求していきたいと考えています。

自然エネルギー社会の実現を可能にするエネルギー貯蔵システムを開発

まわりの評価が低い研究テーマこそチャンスがある

インタビューの最後に津田先生がおっしゃっていた言葉です。
『液体水素と超電導を使ったエネルギーシステムの研究はまだまだマイナー。でも役立つ時が必ず来る。人よりも一歩二歩先の未来を見据えて研究を行っていきたい。』そう語ってくれる先生の姿が印象的でした。

(3年 宮澤咲紀子[栃木県立宇都宮女子高等学校卒業]:2014年10月取材)

今回お話をお聞きした先生は

津田 理 教授

津田 理 教授(Makoto Tsuda)

専門は超電導工学、電気エネルギー工学。
千葉県立千葉高等学校卒業。1990年早稲田大学理工学部卒業、1995年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。早稲田大学助手、MIT客員研究員(日本学術振興会海外特別研究員等)、早稲田大学理工学総合研究センター客員講師、山口大学助手、山口大学助教授を経て、2005年4月東北大学大学院工学研究科助教授、2012年4月東北大学大学院工学研究科教授。

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