東北大学工学部電気情報物理工学科

Department of Electrical, Information and Physics Engineering

情報知能システム総合学科から2015年4月に名称変更

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高校生・受験生のための研究紹介
人と未来をつなぐ[電気・情報・応用物理]の魅力

学生が聞いた先生たちの研究

生体内の化学的な変化を2次元でとらえるセンサの実現へ

詳細な情報を検出したい! 半導体技術を駆使した“化学イメージセンサ”

生体内の化学的な変化を2次元でとらえるセンサの実現へ
―はじめに、研究の概要について教えてください。

イオンや物質を検知してその濃度分布を2次元画像として取り出す『化学イメージセンサ』を研究しています。単に物質の濃度を測定する化学センサは現在普及していますが、私たちが開発した『化学イメージセンサ』は濃度の分布まで検出し、可視化することができます。組織標本中の特定のイオンや物質の分布を画像表示する装置や、病気の診断に用いる診断チップなどに応用したいと考えています。
 現在、主に取り組んでいるのはpH分布の検出です。病気の兆候も含め、生体の中で起こる様々な反応はpH変化を伴います。変化の度合いは大きなものから微小なものまで実に多様であり、それらの多様な変化を検知できるよう、感度や分解能などセンサの性能を上げることに重点を置いています。

―「化学イメージセンサ」を医療分野に応用することのメリットは何でしょうか。

例えば組織標本の観察には、一般的には染色法がよく用いられます。この方法では検査対象に試薬を加えて色の変化を観察します。ですから一次的に得られる情報は光の情報で、必要な場合はこれを電気的情報に変換します。これが化学イメージセンサを用いると、組織の中の目では見えない化学物質の分布を最初から電気信号として得ることができ、詳細な情報を得られるだけでなく、大量の情報の処理や保存に有利になります。

―「化学イメージセンサ」と聞くと、化学を専門とする研究者が研究しているものだと思っていましたが・・・

「化学センサ」の研究は世界中でさかんに行われており、研究者の多くは反応や合成といった化学分野を専門としています。しかし今ある化学センサは、測定対象の代表点の濃度を測定するものです。いわば「点」で捉えています。
 これに対して私たちが開発した「化学イメージセンサ」は、濃度の分布を検出することができます。「面」で捉えることによって、一度に多くの詳細な情報を得ることができます。近年、半導体の製造技術は微細化を追求してナノの領域にまで至っています。このナノ加工技術を化学センサに応用しようと、半導体などを専門とする電子工学分野からさまざまなアプローチが行われているのです。

吉信 達夫 教授
吉信 達夫 教授
―今後研究をどのように発展させていきたいですか。

「化学イメージセンサ」に取り組むのは、世界でもごく限られた研究グループ。だからこそ私は、センサの性能をより一層向上させて、医療分野はもちろんのこと、食品安全検査や材料研究への利用など、色々な分野でこの化学イメージセンサが活用できるようにしたいと考えています。

生体内の化学的な変化を2次元でとらえるセンサの実現へ

幅広い分野への大きな可能性に満ちた化学イメージセンサ

新たな発見や問題の解決には、情報を得ることがとても大事。より詳細な情報を得ることが、突破口になりうると思います。先生のセンサでしか得られない情報から、病気の前兆や新たな治療法のヒントなどが見つけられるかもしれませんね。
 医療の分野に限らない、幅広い分野への大きな可能性に満ちた化学イメージセンサ。センサが実現した未来、そのセンサを使うことで実現した未来が楽しみです!

(博士前期課程1年 長谷川美佳[宮城県仙台第二高等学校卒業]:2014年10月取材)

今回お話をお聞きした先生は

吉信 達夫 教授

吉信 達夫 教授(Tatsuo Yoshinobu)

専門は化学イメージセンサ、半導体デバイス。
東大寺学園高等学校(奈良県)卒業。1987年3月京都大学工学部電気工学第二学科卒業、1992年3月同大学院工学研究科電気工学第二専攻博士後期課程単位取得退学。同年9月博士(工学)。1992年4月大阪大学産業科学研究所助手。同講師、助教授を経て2005年4月東北大学大学院工学研究科電子工学専攻教授。2008年4月医工学研究科設立に伴い異動。1999年5月から1年間ドイツ・ユーリッヒ研究センター薄膜イオン技術研究所客員研究員。
2014年化学センサ研究会清山賞を受賞。

学生による研究室の紹介

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