東北大学 社会にインパクトある研究 持続可能で心豊かな社会の創造

令和CAST「社会にインパクトある研究」討論会

第8回討論会「感染症のこれからに備える~日本の構造的問題を考える~」
【日  時】2022年11月4日(金)13:00-16:00
【開催方法】コロナ禍のためWEB形式のみ
【場  所】
【主  催】工学研究科 先端学術融合工学研究機構(令和CAST)社会インパクト推進ユニット
【座 長 団】
  経済学研究科 秋田次郎教授
  工学研究科 フィールドデザインセンター長 本江正茂准教授
  工学研究科 久田 真教授
  農学研究科 小倉振一郎教授
  東北アジア研究センター 高倉浩樹教授
  医工学研究科 永富良一教授
  高度教養教育学生支援機構 山内保典准教授
  工学研究科 社会インパクト推進ユニット長 金井 浩教授
【ね ら い】 米国は,やがて起こる深刻な感染症のために,以前からワクチン開発を準備していた。COVID後遺症についても,米国では次の国民的健康災害であるとして巨額の研究費を拠出している。米国は,最悪を想像し事前に対策を打ち研究開発を行う。多様性の国家をこのように纏める理念は,何に基づくのか。
 一方,日本は,2009年のインフルエンザパンデミックの後に,さまざまな課題が指摘されて来たのにもかかわらず思考停止した。これは福島第一のときも同様で,事前に最悪の状況が想像できても,絶対安全として対策をとらない。例外は,女川原発を海面から15mの高さにと唯一人主張した平井弥之助氏の使命感。日本はリスクを負うことに理解が得られにくい。大震災後の防波堤建設など,人命を言い訳にして,旧来の確定したやり方を守ろうとする傾向が強い。新しいやり方を取り入れるより,従来実績のある方法でやる方が責められずに済むという慣性が働くのか。本来は,最悪な場合の復興費用・保険の計算から,何が費用対効果があるかは明白になるはず。日本はなぜ新しいことの決断に臆病なのか。明治以来,知識偏重で指示待ちの優等生タイプを量産してきたためか。企業においても「やらない方が安全」という体質になった。
 日本社会は,東日本大震災及びCOVID19を経験して,こうした基本体質が何か変わったのか。今後も再来するパンデミック,必ず到来する首都圏直下型地震,富士山噴火,東南海地震など大災害への危機感の欠如と,安全と思い込み発生するまで手を付けない体質。また資源小国に必須のものづくりをどう立て直すのか。人口,食料,医療,災害という基盤をどう確保するか。日本の本当の良さ・強み/弱みが何で,過去に日本はいかなるイノベーションをどう育んで来たのか。
 本討論会では,感染症への対応から見えてきた,日本が構造的に抱えている問題点(管理対応,研究体制,啓蒙活動など)を総括し, 感染症への理想的な備えはどうあるべきかを考える。そして,その理想像の実現を目指し,総合大学は,基礎研究を含め何ができるか,また将来の「賢明な市民」を育成するため,いかに教育を行えばよいかを,これらの問題提起に対する話題提供の後,討論を行う。
【申込方法】以下でご登録下さい(東北大アカウントから)。(締切:11月1日(火)17:00)
           問合せ先:工学研究科 研究推進課研究推進係 担当:千葉
          E-mail:eng-ken@grp.tohoku.ac.jp
【次  第】
全体説明………社会インパクト推進ユニット ユニット長 金井 浩
討論提供………各討論者は10-20分間程度発表,残り1時間程度は自由討論
1. 「COVID-19から明らかになった感染症危機管理の課題とレジリエントな社会の構築」…医学系研究科 押谷 仁教授
2. 「今後の危機管理体制における下水情報の役割」…工学研究科  佐野大輔教授
3. 「免疫力を高められる生活習慣?それ本当?」…医工学研究科 永富良一教授
4.討論 ………