化学ロケットエンジン

                            A6TB2092 小舘 航

 

 

構造

ロケットには燃料室とノズルがあり、燃焼室で燃やしたガスをノズルで噴射する。空気のない宇宙で燃料を燃やすためには酸化剤が必要であり、ジェット機にエンジンでは空気中の酸素を取り組んでいるが、ロケットには空気のない宇宙に飛ぶため、燃料のほかに酸化剤も積み込まれている。そのロケットエンジンの中で現在主流であるものが化学ロケットエンジンである。

化学ロケットは大別して固体燃料ロケットと液体燃料ロケットに分けられる。

固体燃料ロケットの推進剤には一般に燃料と酸化剤を均一に混ぜ合わせて固めたものを使用する。固体ロケットは構造が簡単なので、失敗が少なく、開発・製作・取り扱いが容易でコストも少なくすむ。しかし、燃料に火をつけると、いったん消したり再点火したりといった操作が自由に出来ないので、正確な誘導制御が出来ない。

一方、液体燃料ロケットの推進剤は一般に燃料と酸化剤が別々のタンクに入れられ、それぞれパイプを通して燃焼室の中に送られる。液体ロケットは固体ロケットに比べて正確な誘導制御が可能だ。また、一度エンジンに火をつけても、タンクのバルブを閉めれば燃料を止めることが出来るので、旅立つ前にエンジンのチェックが出来る。しかし、構造が複雑なため、開発が難しい。

 

固体燃料ロケット   液体燃料ロケット

  固体ロケットエンジン           液体ロケットエンジン

 

 

利点・欠点

化学ロケットエンジンは大きな推力を出すことが出来るが、長時間の連続運転が出来ない。この欠点を補うために現在、化学的な燃料ガスではなく、物理的な力によって推進する「非化学ロケット」の開発が進められている。今のところ実用化が進んでいる非化学ロケットは、イオンロケット、プラズマロケットなどの電気ロケットである。

 

 

応用例と将来計画

日本の観測ロケットの研究は1995年に始まり、以来、宇宙科学研究所は固体ロケット技術の構造に努力を重ね、高性能の観測ロケットとこれを発展させた全段固体ロケットを開発してきた。1969年の宇宙開発事業団の発足、そしてアメリカからの技術導入が始まった。アメリカの技術によってつくられたN-Iロケットは日本初の静止衛星「きく2号」を打ちあげて成功した。さらに1994年には、高性能大型ロケットH-IIの打ち上げに成功し、2001年にはH-IIの発展型であるH-IIAロケット1号機が打ち上げられた。

 

 

参考

「航空宇宙工学概論」 三木鉄夫 森北出版

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3

http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/about.html

 

 

          H-IIA