超音波材料解析システム

 研究用システムと実用システムの外観を以下に示します。

本システムは、電気回路部、機械操作部、温度制御・計測部、超音波デバイス、コンピュータからなります。

  

・電気回路部

 RFバーストパルス(連続波をDCパルスで変調したもの)を信号の送受信に使用します。RFバーストパルスの振幅または、複素出力(振幅・位相)を高精度に検出可能です。

・機械操作部

 X軸、Y軸、Z軸(デバイス側)、回転(θ)軸、あおり軸(試料側)(2軸)、あおり軸(超音波デバイス側)(2軸)、Z軸(試料側)の合計9軸から構成されています。この中で、V(z)曲線の計測に用いるZ軸(デバイス側)がとりわけ重要で、測長器(レーザー測長器またはリニアエンコーダー)を用いて、測長しています。

・温度制御部

 LFB-UMCシステムによるLSAW伝搬特性の計測では、水カプラの音響特性をリファレンスとして計測を行います。このため、超音波デバイス、試料を含めた機械操作部は0.001℃の分解能で温度制御を行う恒温チャンバー内に設置されています。また、温度は熱電対により計測します。

・超音波デバイス

 LSAW伝搬特性(位相速度、減衰)を計測するためのLFB超音波デバイス、ならびにバルク波(縦波、横波)音響特性を計測するための平面超音波デバイスは自作しています。動作中心周波数が〜2 GHzまでの超音波デバイスの作製が可能です。



 システムは、いろいろなメーカーの協力を得ながら、独自に開発を行ってきました。研究用システムでは、電気回路部はスペクトラム・アナライザ(または、ネットワーク/スペクトラム・アナライザ)を中心に、市販のモジュールを組み合わせて構成しています。

 システムの実用化を目指し、NEDOの知的基盤研究開発事業[平成20-21年度]にて、実用機のプロトタイプを開発しました。スペクトラム・アナライザ等を用いずに回路を構成していますが、研究用システムと同等のダイナミックレンジを確保しています。また、LSAW速度のソクテイ再現性についても研究用システムと同等の値が得られています。

 また、平成21年度の補正予算にて、研究用実用機のプロトタイプを開発しました。

 最近、研究者向けのコンパクトなシステム(普及バージョン)を開発しています。