櫛引研究室では超音波を利用したこれまでにない全く新しい材料評価・解析技術に関する研究を行っています。

 ナノテクの分野では、通常、電子ビーム、X線、レーザー光etc.を利用した材料評価技術が数多く使われていますが、当研究室では超音波の優れた点に着目した新しい材料評価技術を開発しました。それが、直線集束ビーム超音波材料解析(LFB-UMC)システムを中心とした超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術です。これまで、UMS技術を用いて既存の評価技術では未解決の問題にチャレンジし、その有効性を実証してきました。

 超音波デバイスを付け替えるだけで表面の特性、バルク内の特性を選択的に計測できます。また、検量線を作成することで音響特性測定から他の化学的・物理的諸特性を高精度に評価することができます。


 UMS技術は、ダイヤモンドからポリマーまですべての固体材料に適用することが可能であるとともに、また、LFB-UMCシステムは、バルク材料だけでなく、薄膜、薄板、拡散層など、電子デバイスで使用される形態に対しても適用可能です。また、生体組織への応用も可能です。

 とりわけガラス材料は、様々な機能を持たせることで非常に多くの応用があり、それらを利用した次世代電子デバイスの実現には、ガラスの品質を向上させることが不可欠です。UMS技術は、これら機能性ガラス材料の均質性を高精度に評価し、ガラス作製条件の改善にフィードバックすることができる非常に有用な技術です。



UMS技術の拠点形成

 我々独自に開発してきたUMS技術を中心とした計測技術を、より多くの方に利用していただくために、東北大学にUMSリサーチセンターを設置し、ここを研究拠点として、UMS技術の学術分野および産業への普及を進める準備を行っています。

リサーチセンターでは、研究用のLFB-UMCシステム、平面超音波材料解析(PW-UMC)システム、LFB-UMCシステムの実用機(プロトタイプ)、およびX線回折装置をはじめとし、音響関連物理定数の決定に必要な厚さ、密度、誘電率の計測が可能です。また、超音波デバイスを作製するための薄膜作製装置も有しています。

拠点の体制は以下のようになっており、UMS技術の提供だけでなく他の共同研究者らの特性評価ツールの提供も受けながら、評価のための辞書作りを進め、実際にこれらの技術を利用したいユーザーへの貢献を目指しています。



企業の方へ

 現在、機械操作部、電気回路部などのユニット個々についてはできあがっているものの、システム全体を取りまとめることができる会社がないため、ユーザーがシステムを入手したくてもできない状況です。システムの取りまとめについて興味のある企業は、ぜひ御連絡頂きたいと思います。