知的基盤創成・利用促進研究開発事業(平成20年度〜21年度)

「次世代超低膨張ガラスのゼロCTE温度計測法の標準化に関する研究開発」

次世代リソグラフィや次世代周波数標準に不可欠な、均質かつ所望の温度で線膨張係数(CTE)がゼロとなる超低膨張(ゼロCTE)ガラスの計測法と標準化、並びに実用化システムのプロトタイプの研究開発を目指す

○目的

 次世代露光技術として、極端紫外線リソグラフィ(EUVL)システムの開発が進められている。そのマスク基板やミラー材料として、線膨張係数(CTE)がゼロとなる超低膨張(ゼロCTE)ガラス(CTE変動:0±5 ppb/K)が要求されている。また、次世代の周波数標準技術として10-18オーダーの周波数確度を目指した光周波数標準の開発が進められている。そのキーデバイスとして用いられる超高フィネス・オプティカルキャビティー用材料として均一性の非常に高いゼロCTEガラスが要求されている。
 本事業では、ゼロCTEガラスの開発に必須である世界最高精度で物質のCTEを非破壊・非接触的に2次元計測するゼロCTE材料評価法(測定精度±0.1 ppb/K)の確立と、その実用化システムのプロトタイプの開発を行い、実用的なEUVL用ガラスの開発を支援することを目的とする。

○開発のポイント

 これまで、物質・材料表面の弾性特性を非破壊・非接触で評価可能な直線集束ビーム超音波材料解析システムを中心とした超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術の基礎研究と応用開発研究を進めてきた。
 今回、EUVLシステムや光周波数標準の実現に必要な理想的なゼロCTEガラス材料を完成させ、それを安定供給するのに不可欠な特性解析・品質管理のためのUMS技術をベースとしたゼロCTE材料計測法の開発、その計測・評価技術の標準化、並びに実用化システムのプロトタイプに関する研究開発を行なうものである。
 UMS技術によるCTE評価は、従来の直接測定法に比べ下図のように優位な点が多く、標準評価法としての高いポテンシャルを有している。

○今後期待される応用

 本研究開発が遂行されて、実用化システムが実現できれば、ガラスメーカーはEUVL用ガラスの開発と品質管理に適用し、露光装置メーカーやフォトマスクメーカーは、ゼロCTEガラスの全数受入検査に用いることが可能となるほか、下図に示すような各種用途への展開が期待される。