上図に示すように、超低膨張ガラス材料のCTE (CTE = (ΔLT )/L0L: ℃における長さ、L0: 0℃における長さ)は、ガラスに添加するTiO2濃度により制御することができます。一方、我々は、漏洩弾性表面波(LSAW)速度の変化が、ガラスに添加されたTiO2濃度の変化に起因することを、既に実証しております。従って、LSAW速度を高精度に計測できれば、CTEを高精度に評価することが可能となります。

 そこで、LFB-UMCシステムが実際にどれくらいの測定分解能でCTEを計測できるか、次のように見積もってみました。まず、あらかじめCTEの仕様がわかっており、添加物が全く含まれていない純粋なガラス(SiO2)を用意します。そしてそのLSAW速度を測定します。次に市販の最高品質の超低膨張ガラス(CTE=0 ppb/K)を用意し、やはりLSAW速度を測定します。両サンプルのLSAW速度の変化分とCTEの変化分を比較することにより、音速1 m/sあたりどれくらいCTEが変化するかという感度を求めることができます。また、この超低膨張ガラスサンプルにおけるLFB-UMCシステムの測定分解能が±0.17 m/s(±2σ, σ:標準偏差)であったので、求めた感度を用いてCTEの分解能±0.77 ppb/Kを見積もることができました。なお、CTEだけではなく、TiO2濃度や密度に対するLSAW速度の感度や分解能も求めてみたところ、以下の表のようになりました。