気相−液相界面マイクロプラズマの特性と応用

本研究の目的は,プラズマ(気相)と液体(液相)を接触させ,その気相−液相界面反応場を利用した新規ナノ物質創製法の確立にある.液体を導入することにより,生体高分子等のバイオ領域を含めた,ウェットプロセスとドライプロセス融合の新たなプラズマ応用の実現が期待できる.

本研究では,特に,ユニークな特徴を有していて,近年大きな注目がされている『イオン液体』に着目し,世界に先駆けてプラズマ系に導入した実験を推進している.イオン液体を利用した先進プラズマ研究を推進しているところに大きな特色がある.

イオン液体は,カーボンナノチューブ,コロイド,DNA等のナノ物質との会合が可能であり,新領域における有機的研究が実現できる.従って,イオン液体は,ナノ複合材料創製の観点で,極めて大きなポテンシャルを有した液体であると捉えている.

詳細制御を有するプラズマと,イオンのみから構成され“完全電離プラズマ状態”ともとれるユニークなイオン液体との融合研究は,液体プラズマプロセスの新しい展開を提示している.ここで重要な課題として,その両者の境界,すなわち気相−液相界面領域における気相中イオン・電子・ラジカル及び液相中イオンの電荷輸送等に関する学術的基盤の確立があり,これにより界面場における新たな反応促進・制御が実現できる.従って,それらイオンを能動的に制御するための,イオン液体利用気液界面放電プラズマの電位構造の解明に取り組んでおり,新装置の作製や共同研究による測定など,平行して各方面からアプローチして研究を展開中である.

 

 

1:気相−液相界面放電プラズマの模式図(左図)及びその放電の様子(右図)

 
  

 


                                                                                                     馬場 和彦