東北大学 社会にインパクトある研究 持続可能で心豊かな社会の創造

インターフェイスweb 構想

 「知的好奇心に基づく心理の探求」という従来の研究型(下図左)に対し,「社会課題の解決を目指す研究」(下図右)においては,目指す「社会課題の解決という社会貢献」の目標が必ずしも「真理」一般と同一である訳ではなく,従来型の科学研究の進め方に軌道修正が求められます。しかし,科学の歴史の中で作られてきた「研究者の評価」は依然として学術論文中心であり,さらには英語論文出版数,引用度などの数値的評価が優先されるようになり,社会課題の解決への研究者の動機付けは容易ではありません。

深刻な社会課題解決への期待に応え「社会のための科学研究」が自立的に進む体制構築の試み

 地球温暖化対策としてCOP13 が求めたCO2排出量削減を例にしても,CO2排出量を増加させた要因が科学技術の発展であるにもかかわらず,科学技術は削減目標達成のためのマイルストーンを作ることができていません。「科学が社会課題の解決に十分貢献しているとは言えない」,との指摘もあり,現状からは「社会のための科学研究」の取り組みの仕組みを作ることそれ自体が「大きな研究課題」になっていると言えます。

 東北大学「社会にインパクトある研究」と工学研究科 社会インパクト推進ユニットでも,

ことから,「社会にインパクトある研究」の現状が,立ち上げ当初の期待通りに進捗せず,停滞気味であるのではないかとの懸念があります。

 そこで,本G0 プロジェクトでは,「社会のための科学研究」の新たな推進体制を創出するにはどうすればよいか,についての「研究」を進めており,その一環として「インターフェイスweb 構想」の構築を行います。この「インターフェイスweb 構想」では,個々の研究プロジェクトと社会との隔たりを解消し,専門的知見の公開など,「広報」としてのweb を構築します。

 そのため,「持続可能で心豊かな社会創造」を鍵語として,(a)社会課題の現状または今後の状況,(b)社会的に想定される対策,(c)大学において推進すべきこと,(d)「社会のための科学」を推進する上の課題,について各々専門家と社会との間のインターフェイスを作ることが目標となります。「社会にインパクトある研究」推進の困難さを論じ,その打開策を見出すための表現形式を探した結果,この「社会との対話のためのweb構想」となりました。専門家と社会の方々が「つながる場」を作り,科学的知見をもとにして社会の方々が自然観や人生観を豊かになる方向に描き直してみる,このwebをオープンに社会の知恵を集める,双方の意見を取り入れ諸社会課題の解決に近づけていく,そうした「持続可能で心豊かな社会創造」を基軸とした「プラットフォーム」へと発展させたいと考えています。