日本超音波医学会 第20回 東北地方会
プログラム・抄録集 

       

   日 時:平成12年9月17日(日) 9時10分〜15時10分

   場 所:弘前大学医学部コミュニケ−ションセンタ−

        弘前市本町40番地の1 TEL: 0172-33-5111(内線5240)
                     0172-395240 (直通)


   会 長:弘前大学医学部第二外科 遠藤正章

   連絡先:日本超音波医学会 第20回東北地方会事務局

       〒036-8562 弘前市在府町5  弘前大学医学部第二外科
       TEL:0172-39-5079, FAX:0172-39-5080


  参加される先生方に

    ・参加費として1,000円を徴収させていただきます。

  演者の先生方へ

    ・会場には、35mmスライドプロジェクタ−、OHP、ビデオを用意します。
    ・演者は、発表予定時刻の15分前までにスライド受付を済ませて下さい。
    ・演題は、一題につき発表時間7分、討論時間5分です。
    ・スライド枚数は制限しませんが発表時間を厳守して下さい。


  交通のご案内     会場地図

   盛岡駅前→弘前駅前(→バスセンタ−)

     高速バス『ヨ−デル号』

        弘前駅前で、下記のバスかタクシ−をご利用下さい
       (バスセンターからもタクシー及び下記のバスをご利用できます)

   弘前駅から会場

     バス   弘前駅前6番のりば 駒越藤代行で大学病院前下車(所用時間20分)
                    茂森四中行で大学病院前下車(所用時間20分)
          弘前駅前1番のりば 100円バスで大学病院前下車(所用時間20分)

     タクシ− 弘前駅前タクシ−のりばから約15分



プ ロ グ ラ ム

開会の挨拶(9:10-9:15)

                   会長 弘前大学医学部第二外科 遠藤正章


I.体表・その他(9:15-9:51)

                   座長 木造成人病センタ−外科 栗田武彰

  • 20- 1.甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準のretrospectiveな検討
        木造成人病センタ−外科    栗田武彰、加藤 智
        弘前大学医学部第一内科    佐々木賀広
        弘前大学医学部医療情報部   羽田隆吉
        弘前大学医学部第二外科    遠藤正章

    甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準は良悪性の鑑別として形状、境界、境界部 低エコー帯、内部エコーの4項目からなっている。今回、症例の超音波所見を retrospectiveに検討した。(対象)1995年1月から1999年12月までに当科で手 術を行い病理診断が確定した乳頭癌68例、濾胞癌1例、濾胞腺腫11例、腺腫様 甲状腺腫31例の計110例を対象とした。 (結果・考察) 悪性では境界の明瞭、 内部の均一が少なからず存在する。境界部低エコー帯に整、不整は少数で無が ほとんどである。内部の高エコーに粗大単発、微細多発のほかに粗大多発、微 細単発、無が相当数存在する。良性では境界の不明瞭、粗雑、境界部低エコー 帯のないものや、内部エコーの不均一なものが相当数ある。以上により、1.明 瞭、均一、粗大、微細などの定義の必要性、2.各項目について、経験の豊富な 専門医の視覚的印象と画像解析による客観化の比較などの検討を今後の課題と したい。



  • 20- 2.急性陰嚢症に対する超音波パワ−ドプラ法
        岩手医科大学泌尿器科     大森 聡、加藤利基、杉村 淳、松下 靖、
                       丹治 進、小池博之、藤岡知昭

    急性陰嚢症は局所および全身症状を伴った陰嚢の有痛性腫脹をきたす症候 群である。この症候群には感染性疾患と虚血性疾患の頻度が多く、特に精索捻 転は患側精巣の虚血壊死を呈するため早期の外科的な捻転解除が必要であり、 迅速で的確な診断が必要とされる。超音波パワードプラ法は従来のカラードプ ラ法より低速の血流が測定可能であり、当科はこの装置を急性陰嚢症の鑑別診 断に用いている。現在までに15例の急性陰嚢症患者にパワードプラ法を施行し た。9例(60%)が精巣上体炎、3例(20%)が精巣炎、精索捻転、精巣垂捻転、陰嚢 内血腫が各1例(6.7%)であった。捻転の2例はいずれも手術を施行、他は保存的 に加療し良好な結果を得た。超音波診断による虚血性疾患と感染性疾患の鑑別 の誤診は認めなかった。症例が少ないが現在のところ良好な結果であり、簡便 性・迅速性を考慮しても超音波パワードプラ法は急性陰嚢症の鑑別診断に有用 と考えている。



  • 20- 3.女児卵巣滑脱型鼠径ヘルニアの超音波所見
        弘前大学医学部小児外科    須貝道博、板橋幸弘、村田希吉、棟方博文
        弘前大学医学部第二外科    遠藤正章

    目的:卵巣滑脱型鼠径ヘルニアはNuck管水腫や腸管嵌頓と鑑別を要する場 合もある.今回我々は卵巣滑脱型鼠径ヘルニアの超音波所見上の特長について 検討を加えたので報告する.対象:過去5年7ヶ月に当科で経験した卵巣滑脱型 鼠径ヘルニアは10例で左8例、右2例であった.全例に超音波検査(以下US)を 施行した.結果:以下の所見を認めた.鼠径管内で卵巣が不整形のechogenic area として認められた.2)echogenic area 内にcystic areaがみられた.3) 鼠径管内に腫瘤性病変として認められた.4)鼠径管内で腹腔と連続性を示す 像がみられた.1)、4)は全例、2)は10例中8例、3)は10例中2例で認められ た.結論:卵巣は鼠径管内に不整形のechogenic areaとして描出され、cystic areaの散在が特長的であった.本症のUS所見として1)、2)、4)が重要であっ た.


    II.循環器(9:51-10:27)

                       座長 平鹿総合病院第二内科 伏見悦子



  • 20- 4.肥大型心筋症例に対するコントラスト心エコ−法の有用性
        平鹿総合病院第二内科     伏見悦子、高橋俊明、関口展代、渡辺 一、
                       林 雅人
        平鹿総合病院検査科      丹波寛子、高橋久美子、佐藤栄子

    【目的】肥大型心筋症では安静時の左室内圧較差が予後規定因子であるとする 論文があるが、内腔の描出が不良な例では心エコードプラ法での圧較差とカテー テル検査でのそれと違いが生じることがある。そこで左室内収縮期血流速度の 測定においてコントラスト剤のドプラ増強効果の有用性を検討した。【方法】 心エコー法および左室造影にて肥大型心筋症と診断された6症例(男4女2例、 63±11.8歳)を対象に、超音波用造影剤レボビストR(300mg/ml 4ml)を 静注 し、その前後で左室内の収縮期血流速度を測定した。【結果および総括】左室 流出路のみの肥大例では造影前後で有意な相違はなかったが、左室中部および 心尖部で肥大の著明な例では、造影前後で26〜141cm/secの血流速度の相違が あった。以上から、肥大型心筋症の血行動態の正確な診断において本法は有用 と思われ、今後積極的に応用すべきと思われた。



  • 20- 5.経胸壁心エコ−法を用いたGreat cardiac veinにおける血流計測の試み
        秋田大学医学部小児科     豊野学朋、原田健二、田村真通、安岡健二

    最近の心エコーの進歩により冠血流速度の計測が可能となってきた。しかし Great cardiac vein(GCV)の血流動態についてはよく知られていない。今回 我々は心エコーによるGCV血流計測を試みたので報告する。
    対象は先天性心疾患および正常小児33例(生後10日ー15歳。 AlokaSSD-ProSound 5500を用いて、左冠動脈前下行枝血流(LAD vel)とそれに 隣接し走行するGCVの血流速度(GCVvel)を計測した。LAD,GCV血流はそれぞれ 88%,82%に計測可能であり、LADおよびGCVともに計測できたのは27例であった。 GCV血流は収縮期に探触子から逃ざかる血流として検出され、収縮期最高速度 は33±10cm/secであった。左室容量負荷を伴った児ではGCV velは高値で あった。GCV velはLAD velと正の相関を認めた(r = 0.72, p< 0.01)。
    心エコーによるGCV血流計測は可能である。



  • 20- 6.低用量ドブタミン負荷前後における左室収縮機能および冠動脈血流速度変化
        秋田大学医学部小児科     原田健二、豊野学朋、田村真通、安岡健二

     最近の心エコーの進歩により冠血流速度の計測が可能となってきた。研究目 的は小児でのドブタミン負荷における左室収縮機能および冠動脈血流速度変化 を明らかにすること。

    対象は冠動脈病変のない川崎 病および心室中隔欠損術後6-8月の計27例(8月ー16歳)。Aloka SSD-ProSound 5500を用いて、安静時およびドブタミン5μ/kg/minにおける平 均左室円周短縮率(mVcfc),壁応力(ESS)、左冠動脈血流速度(LAD vel)を計測し た。ドブタミン負荷によりmVcfcの増加(+32%),ESSの減少(-16%),LAD velの増 加(+31%)を認めた。LAD velおよびmVcfcの増加率は、乳児では少なく、加齢と ともに弱い正の相関を認めた。
    これらの所見は小児においてドブタミン負荷を心機能予備能の評価に用いる場 合の有用な基礎データとなる。


    III.門脈・脾臓・胆道(10:27-11:15)

                       座長 秋田大学医学部第一内科 長沼裕子



  • 20- 7.腹部超音波検査、腹部造影CTが診断に有用であった門脈ガス血症の1例
        公立米谷病院内科       菅野 敦、高橋健一、遠藤 敏

    (症例)73歳男性 (主訴)腹痛 (既往歴)高血圧、糖尿病で内服加療中 (現病歴)平成12年5月18日 突然、激しい腹痛が出現し、公立米谷病院内科を 受診、精査加療目的に入院となった。(入院時検査)1.腹部超音波検査にて肝 内に小さな高エコー陰影を多数認め、樹枝状に広がっていた。2.腹部CT:単純 CTでは肝内にガス像を指摘する事は、困難であったが、造影CTにて、肝辺縁ま で分布する樹枝状のガス像を認めた。また、腸管壁の肥厚を認めた。(入院後 経過)入院後、症状は改善したが、下血を認め、翌日、下部消化管内視鏡検査 を施行した。回腸末端より口側からの出血が疑われた。下血、CTでの腸管壁肥 厚から、一時的な上腸間膜動脈血栓症を発症し、それに門脈ガス血症を伴った 状態と診断した。以後保存的に症状は軽快し退院した。(結語)1.門脈ガス 血症は文献的に比較的稀な病態と考えられた。2.門脈ガス血症の診断には腹 部超音波検査、腹部造影CTが有用と考えられた。



  • 20- 8.門脈左枝横走部欠損症のUS、Doppler所見
        平鹿総合病院         丹波寛子、佐藤栄子、武石茂美、瀬川ゆか、
                       高橋久美子
        秋田大学医学部第一内科    石田秀明、紺野 啓、佐藤美和子、長沼裕子、浜嶋由紀

     門脈左枝横走部欠損症は稀な先天的門脈走行異常で、そのUS,Doppler所見の 報告は極めて少ない。症例は4例(男2女2、年齢48、49、56、67歳) で全例無症状、検診目的で施行されたUSが本症発見の契機となっている。全例 肝外、肝右葉の門脈走行に異常は無く、左枝横走部が高エコー帯に置換されて いた。肝右葉前区(S5)と肝左葉内側区(S4)の門脈枝が交通し肝左葉の門脈 血流は前者の門脈枝を介して供給されていた。肝機能は全例正常で肝左葉外側 区の萎縮は認められなかった。門脈左枝横走部欠損症のみならず、門脈走行異 常の診断にUSとDopplerは極めて有用と思われる。



  • 20- 9.著明な脾臓変形の2例
        秋田大学医学部第一内科    長沼裕子、石田秀明,紺野 啓、佐藤美和子、小松田智也、
                       金野志穂、渡辺大亮、中根邦夫、渡辺純夫

     超音波などの画像診断の普及に伴い脾疾患の報告も増加しているが、脾臓の 馬鈴薯様変形の報告は少ない。我々はその2例を報告する。症例1:45歳女 性。食道静脈瘤の精査のため当科受診。US上脾臓は著明に腫大し、全体が馬鈴 薯様に変形していた。門脈系に広範な血栓(+)。肝臓外門脈閉塞症と診断し 現在経過観察中。症例2:57歳女性。乳癌摘出の既往あり。他科で施行した USで肝左葉外側区に3cm大の孤立性低エコー腫瘤を指摘され当科受診。当科の USとCTで、1)肝左葉外側区の脾左端までの進展、2)脂肪肝の存在、3)脾全体の 馬鈴薯様変形、が認められた。これらの組み合わせによりUS上肝左葉外側区の 腫瘤様所見を呈したと思われた。



  • 20-10.石灰化を伴い壁外性発育を示した胆嚢癌の1例
        松園第一病院消化器科     石川洋子、工藤典重
        松園第一病院外科       岡本和美
        松園第一病院臨床検査室    高田 剛、千葉春枝
        松園第一病院放射線部     渡辺 誠、渡辺 諭
        岩手医科大学臨床病理     中村眞一

     症例は86歳女性. 20年前に胆嚢炎+胆石。右上腹部に腫瘤を触知し永塚クリ ニックを受診。精査目的で当科紹介された。腹部超音波検査(US)で頚部に強い 音響陰影を伴う2cm大の結石像と胆砂を認め,入院。一般検査では軽度の貧血と 肝障害を認め、HCVAb(+),AFP8.3ng/ml,CEA9.0ng/ml,CA19-9 1000U/mlであった。 入院後のUSでは胆石のほかに胆砂の内部に音響陰影を伴う線状高エコーを認め た。単純X線CTで胆嚢頚部に2cm大の結石像と壁の一部に石灰化像を認めた。 胆石+胆嚢炎の術前診断で胆嚢摘出術施行。切除標本では頚部に2cm大の混合 石が嵌頓しており、粘膜面の網状構造は失われ底部に白色および褐色の混在す る粗造な領域を認め、その漿膜側に境界明瞭,乳白色,弾性硬の半球状に突出す る腫瘤を認めた。組織学的には胆石を伴った胆嚢癌: well diff. adenoca,BorrI,35x30mm,Infβ,ss,ly0,v0で粘膜面に一部石灰化がみら れた。


    IV.肝臓(1) (11:15-11:51)

                       座長 松園第一病院消化器科 石川洋子



  • 20-11.超音波所見が変化した肝限局性結節性過形成(FNH)の一例
        弘前大学医学部第一内科    安達淳治、澤村典子、田辺素子、坂本十一、
                       須藤俊之、棟方昭博

     症例は46歳、男性。平成8年10月の人間ドックで超音波検査(US)に て肝腫瘍が疑われ、精査のため12月に当科を受診。自覚症状はなし。USで は肝右葉に8〜20mmの高エコー型腫瘍が8個認められた。9年1月に入院し、 精査を行ったが、肝機能検査、肝炎ウイルスマーカー、腫瘍マーカーに異常は 見られず、各種画像診断、および腫瘍生検により限局性結節性過形成(FNH) と診断した。その際、高脂血症、高尿酸血症を合併していた。肝腫瘍は8月の USでは2個、10年3月・9月はUSでは1個を認めるのみとなり、11年 4月には4個を確認できた。その間に施行したMRIでは腫瘍数、腫瘍径に変 化は認めなかった。US所見が変化した原因は、周囲の脂肪肝像の変化が一因 と考えられた。比較的短期間にUS像が変化したFNHは稀であり、報告する。



  • 20-12.尾状葉に発生した限局性結節性過形成(FNH)の1例
        岩手医科大学第一内科     及川純子、三浦義明、熊谷和久、近藤公亮、
                       猪股正秋、鈴木一幸
        総合花巻病院消化器科     河田孝彦、武田 豊
        総合花巻病院放射線科     高橋義徳

    【症例】40歳、女性。経口避妊薬・蛋白同化ステロイドの内服歴なし。平成11 年12月に人間ドックのUSで肝腫瘤を指摘された。理学的所見に異常なく、肝機 能は正常でHBsAg(-)、HCVAb(-)、AFP 2.2ng/ml、PIVKA-_12mAU/ml、CEA 0.9ng/ml、CA19-9 6.2U/ml。USでは尾状葉に35×20mmの辺縁不整な低エコー腫 瘤を認めた。辺縁低エコー帯はなく中心部に点状の高エコーを認めた。カラー ドプラでは腫瘤内にspoke-wheel状の血管走行を認めた。Levovist造影カラー ドプラでは腫瘍内の車軸状血管走行が明瞭に描出された。CTでは単純で低吸収 域、造影早期相で高吸収域、晩期相で等吸収域を呈し、MRI ではT1WI、T2WI、 Gd造影ともに等信号強度を呈した。血管造影では腫瘤の中心から末梢に向う血 管走行を認めた。99mTcフチン酸肝シンチではcold areaを認めなかった。以上 の画像所見よりFNHと診断した。



  • 20-13.超音波健診に関する検討−脂肪肝について
        宮城県立がんセンタ−内科   小野寺博義
        東北大学医学部第三内科    岩崎隆雄
        宮城県対がん協会がん検診センタ− 渋谷大助、松井昭義、小野博美、町田紀子

     対象は宮城県対がん協会が実施した腹部超音波検査を併用した健診の1998年 度受診者5,529人である.脂肪肝の頻度は全体では32.6%で,男性38.4%,女 性22.0%であった.男性では25〜29歳で27.6%であり,その後加齢とともに頻 度が増加し45〜49歳で42.7%と最高となりそれ以上では次第に低下し,75〜79 歳では20.0%となった.女性では25〜29歳で4.0%であり,その後加齢ととも に増加し70〜74歳で34.3%と最高となった. BMI,AST,ALT,γ-GTP,総コレ ステロール,中性脂肪の全項目において男女ともに脂肪肝群で非脂肪肝群より 統計学的に有意に高値であった.脂肪肝は生活習慣病の指標であり,事後指導 システムの構築により脂肪肝を含む生活習慣病を予防することが急務である.


    昼休み  (11:51-13:00)  運営委員会(12:00-13:00)

    V.肝臓(2) (13:00-13:36)

                       座長 宮城県がんセンタ−内科 小野寺博義



  • 20-14.診断に苦慮した肝乏血性腫瘍の1例
        宮城県立がんセンタ−内科   鵜飼克明、小野寺博義、鈴木雅貴

     症例は61才の女性。既往歴は昭和61年に早期胃癌で胃切除。同年乳癌にて切 除及び抗癌剤の服用。現病歴は、本年6月に下痢及び腹痛が出現し、近医を受 診し腹部超音波検査(US)を施行。肝内に高エコー病変を認め、当センターに紹 介となる。初診時、肝機能検査は正常範囲、血清学的にはHCV抗体陽性。画像 所見は、USではS4の長径が1.5cmの境界明瞭な高エコー病変で、辺縁低エコー 帯は認めず。腹部CTでは造影早期及び後期に濃染所見を認めず。MRIではT1WI 及びT2WIいずれでも淡い高信号を示した。動注CTでは、CTAP及びCTAいずれで も血流の低下域として認めた。肝動脈造影では、腫瘍濃染や血管の不整像は認 めず。画像所見は門脈及び動脈血流の低下した乏血性腫瘍と診断はされたが、 質的診断は困難であった。超音波映像下生検の結果、病変部の本体は拡張した 類洞でありpeliosis hepatisが強く考えられた。



  • 20-15.肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)の経験
        弘前大学医学部第一内科    澤村典子、安達淳治、田辺素子、坂本十一、
                       須藤俊之、棟方昭博

     ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation,RFA)は、ラジオ波により 腫瘍を壊死させる肝細胞癌(HCC)に対する新しい局所治療法である。RF Aの使用装置はRita社製500PAを用いた。対象は、各種画像診断により診 断したHCC14例(年齢56〜77歳、男性11例、女性3例)で、腫瘍径は 18mm〜53mmであった。血管造影で腫瘍濃染が明らかな例に対しては肝動脈塞栓 術後に、腫瘍濃染が不明瞭な例には初回治療としてRFAを施行した。RFA は超音波検査ガイド下に穿刺針を挿入し、1ヶ所につき10分間の焼灼を原則と した。腫瘍径が30mm以上の例に対しては、複数回の治療を原則とした。また、 必要に応じ経皮的エタノール注入療法(PEI)を追加した。副作用として疼 痛、発熱がみられたが、何れも一過性であった。



  • 20-16.経静脈性超音波造影剤を用いた肝細胞癌のContrast Harmonic Imaging法
        弘前大学医学部第一内科    田辺素子、澤村典子、安達淳治、坂本十一、
                       須藤俊之、棟方昭博

     肝細胞癌(HCC)11例に対し経静脈性超音波造影剤(レボビスト)を用 いたTis-sue Harmonic Imaging法(HI)による検査を施行した。HCC例の 年齢は59〜77歳、男性8例、女性3例で腫瘍径は18〜53mmであった。 超音波診断装置はACUSON Sequoia(周波数4MHz、5MHz)、アロカSSD-5500 (周波数4.28MHz)を用い、レボビストは主として3mlをbolus後2ml/分で静 注して使用した。レボビスト静注後に7例で腫瘍内に血流が観察できた。HC Cに対する治療後に効果判定のため再度超音波検査を施行した例では、全例が 腫瘍内の血流は消失していた。肝腫瘍に対するHIは腫瘍の検出、腫瘍内の血 流観察による質的診断能の向上、治療効果判定に有用であることが示唆された。


    VI.基礎(13:36-14:00)

                       座長 東北大学大学院工学研究科 金井 浩



  • 20-17.超音波画像の高速伝送のための分割圧縮・再構成に関する一検討
        秋田大学工学資源学部     井上 浩、対馬尚之、藤原慶一
        秋田大学医学部第一内科    石田秀明
        NTTサイバ−スペ−ス研究所 山本 学

     超音波画像の効率的な蓄積及び伝送のための画像圧縮の一手法として,HTML を利用した画像の分割圧縮・再構成法を提案する.この手法は,1枚の超音波 画像を診断領域(動画像表示部)とそれ以外の領域に4分割し,ある程度の品 質を必要とする診断領域に対しては低圧縮比(高品質),それ以外の領域に対 しては文字判読が可能な範囲で高圧縮比(低品質)のJPEG圧縮を行い,分割圧 縮した4つの画像から1枚の画像をHTMLブラウザ上で再構成するというものであ る.提案手法による圧縮の効果を実験により検証した結果,診断領域とそれ以 外の領域における品質の差を大きくするほど分割圧縮による効果も大きくなる が,逆に品質の差を小さくすると非分割時よりも圧縮効果が小さくなることが 明らかとなった.



  • 20-18.心筋内の局所運動の空間分布
        東北大学大学院工学研究科   金井 浩
        東北大学大学院医学系研究科  小岩喜郎

     我々は,心臓壁上の振幅数十μm以下の微小な運動を『位相差トラッキング 法』により高精度に計測し,時間・周波数解析することにより,左心室心筋の 局所伸縮特性を評価してきた.本報告では,超音波ビームを短軸像または長軸 像の10方向に送信させ,各超音波ビーム上に壁内で約10点を設定し、左心室中 隔壁と後壁の約400点における局所運動速度の100Hzまでの高周波成分に関して 同時に計測した結果を示す.大動脈弁狭窄症の場合には、100Hz程度の異常振 動が観察されている。


    特別講演(14:10-15:10)

                       司会 弘前大学医学部第一内科 須藤俊之


      『消化器領域の造影エコ−法の現状』
            秋田大学医学部第一内科 石田秀明 先生

    閉会の挨拶

                       弘前大学医学部第一内科 須藤俊之