日本超音波医学会 東北地方会
第23回学術集会 プログラム・抄録集
日 時
: 平成14年3月17日(日)
9時00分−16時26分
場 所 : 艮陵会館 記念ホール
仙台市青葉区広瀬町3-3-4
(tel: 022-227-2721)
大 会 長 : 東北厚生年金病院循環器センター 仁田 桂子
参 加 費
: 1,000
円
地方会URL : http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~jsum/
連 絡 先
: 〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉
05
東北大学大学院工学研究科
電子工学専攻内
日本超音波医学会 第23回東北地方会事務局
tel: 022-217-7081,fax:
022-263-9444
e-mail: jsum@ecei.tohoku.ac.jp
講演者へのお願い:
・一般演題は,1題につき発表時間7分,討論時間6分の合計13分間です.
症例報告は,1題につき発表時間5分,討論時間3分の合計8分間です.
・会場には,35mm
slide projector, OHP, S-VHSのprojector,PowerPoint2000が使用できる画面サイズ1024×768のWindowsコンピュータとそのprojectorを用意します.
・事前申込の際の機器(OHPOHP,持込コンピュータWindowsWIN・MacintoshMAC,会場コンピュータ(CD-ROM)CDROM,スライドSLIDE,ビデオS-VHS)を講演番号に記してありますが,当日は受付にて使用機器の再確認をお願いします.
・発表予定時刻の15分前までにスライド, ビデオ受付を済ませてください.
・スライド枚数は制限しませんが発表時間を厳守してください.
PowerPointによる講演者へのお願い:
・会場のコンピュータを利用する方(講演番号にCDROMと表記)は,発表のPowerPointファイル(動画像等も含む)がPowerPoint2000で表示できることを確認の上,CD-ROM(Windowsフォーマット)またはフロッピー(Windowsフォーマット)を3月11日(月)までに上記連絡先へお送り下さい.
・ご自分のコンピュータを持参する方(講演番号にWINまたはMACと表記)で,午前に発表の方は8:50までまたは休憩時間に,午後に発表の方は12:50までに,接続と解像度調整,動作確認を含めた試写をお願いします.また,演題の間には準備時間がありませんので,一つ前の演題発表中に持参したコンピュータをprojectorへ接続すること・PowerPointの立ち上げを完了させてください.
・Macintoshの場合はプロジェクタが対応できない場合もありますので,念のために,発表のPowerPointファイル(動画像等も含む)がPowerPoint2000で表示できることを確認したCD-ROM(Windowsフォーマット)も持参してください.
発行日: 平成14年3月1日
日本超音波医学会 東北地方会第23回学術集会
併設講習会「わかりやすい超音波の基礎」のお知らせ
日本超音波医学会東北地方会
運営委員長 棚橋 善克
従来,日本超音波医学会教育委員会が主催していた超音波診断法講習会を地方会で開催することになりました.ご出席頂いた超音波専門医,超音波検査士の方には所定の研修・業績単位が与えられます.
*開催時間,参加費に変更がありますので,下線部をご確認下さい.
記
開催日時: 平成14年3月17日(日) 13:00〜14:00
会 場: 艮陵会館 記念ホール
仙台市青葉区広瀬町3-34 TEL:
022-227-2721
講演題目: 「わかりやすい超音波の基礎」
講 師: 伊東紘一先生(自治医科大学臨床検査医学 教授,日本超音波医学会 理事長)
参 加 費: 1,000円
(学術集会参加費とは別,なお,時間変更に伴って昼食は用意致しません.)
定 員: 100名
申込期限: 平成14年3月8日(金)
申込方法: 氏名,連絡先住所,電話番号,FAX番号,お持ちの方はe-mailアドレスを,
下記までFAX,e-mailまたは郵送でお申込ください.
講習会申し込み・問い合わせ先:
〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉05
東北大学大学院工学研究科 電子工学専攻内
日本超音波医学会東北地方会第23回学術集会事務局
金井 浩 宛(担当 朝田紗耶香)
TEL: 022-217-7081
FAX: 022-263-9444
e-mail: jsum@ecei.tohoku.ac.jp
地方会ホームページ:
http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~jsum/
開会の挨拶 (9:00-9:05) 大会長 東北厚生年金病院 仁田 桂子 先生
1 循環器T (9:05-10:00)
座長 東北厚生年金病院 菅原 重生 先生
23- 1CDROM 【一般演題】
動脈壁内腔側の弾性特性変化による動脈硬化症早期診断法の検討
東北大学工学研究科電子工学専攻 渡辺 優,長谷川英之,金井 浩
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎,鎌田 英一
東北文化学園大学医療福祉学部 本田 英行
東北大学医学部附属病院検査部 千葉 賢治,大平 未佳
23- 2CDROM 【一般演題】
直交検波信号を用いた頚動脈後壁内腔面の境界検出法
東北大学工学研究科電子工学専攻 長谷川英之,金井 浩
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎
【目的】血流により常に同一の散乱体からの反射信号が得られない動脈内腔部分では,反射信号間の複素相互相関関数が壁に比べ小さくなることを利用し,複素相互相関関数を用いた内腔と壁の境界検出法について検討を行ってきた.しかし,壁も拍動により大きく変位するため,その位相が変位に対応する複素相互相関関数も拍動の影響を受け,内腔と壁の差が十分でない場合がある.一方,厚み変化は内腔と壁で変位より大きな差があるため,本報告では,その位相が厚み変化に対応する評価関数を提案し,境界検出を試みた.【方法】ヒト頚動脈にパルス状の超音波を送信し,R波のタイミングでの反射信号の直交検波出力と血流が発生するタイミングでの直交検波出力を用いて評価関数を深さ方向に0.75μmの局所ごとに算出し,動脈壁の境界検出を試みた.【実験結果】評価関数を算出したところ,内腔部分の評価関数は小さくなり,動脈壁との間に明瞭な差が見られた.内腔と壁の境界における評価関数の立ち上がりを用いることにより,良好な検出結果が得られた.また,検出に要する時間も0.5秒(Pentium
III 1GHz)と比較的高速であった.【結論】本報告で提案した評価関数を用いることにより,頚動脈後壁内腔面を高速に検出できることを示した.
23- 3OHP 【一般演題】
位相差トラッキング法を用いた成人急性骨髄性白血病患者におけるAnthracycline
Cardiotoxicityの評価
仙台血液疾患センター 佐藤裕輝子
東北大学院代謝遺伝子生物学 斎藤 淑子
仙台血液疾患センター 宇塚 善郎,鈴木 宋三
東北大学工学研究科電子工学専攻 金井 浩
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎
【目的】位相差トラッキング法を用いて,成人AMLにおけるanthracycline cardiotoxicityについて検討を加える.【方法】位相差トラッキング法により局所心筋傷害の程度を判定した.対象は初回例17例,再発例12例であり,それぞれの寛解導入,及び寛解後治療の各時点で計測を行った.治療はDNA/Ara-C,IDR/Ara-Cプロトコールを用いた.【結果】初回治療例では,寛解導入及び強化療法中にはほとんど心筋傷害を認めなかったが,維持療法中に7/17例に軽度の傷害が認められ,潜在性の傷害があることが明らかになった.再発例では4/12例に重篤な傷害が認められた.【まとめ】位相差トラッキング法は,従来の心エコー法より,早い段階での心筋傷害の発現,治療ごとの障害の進展を検出することが可能であり,重篤な心筋傷害の早期発見とその対策の確立に重要な役割を果たすと期待される.
23- 4WIN 【症例報告】
急性心筋梗塞に伴う心破裂の一剖検例
東北厚生年金病院生理検査室 藤田 雅史,中島 博行,四ノ宮祐記,佐々木晶子
東北厚生年金病院循環器センター 佐野 千晴,柴田 宗一,三引 義明,菅原 重生,
片平 美明,仁田 桂子,田中 元直,福寿 岳雄,
三浦 誠
東北厚生年金病院病理部 村上 一宏
症例は急性心筋梗塞にて緊急入院となった75歳男性である.心エコー上,前壁中隔から心尖部にかけてakinesisを認めた.緊急冠動脈造影にて左前下行枝(LAD)#7が完全閉塞しており,PTCAを施行した.PTCAの9時間後よりショックとなり,心エコー上心タンポナーデを認めたため,緊急手術となった.LAD遠位部の左室前壁に出血性梗塞とoozingが見られ,止血材料を用いた圧迫止血を行なった.術後2日目の心エコーでは心嚢液の貯留を認めなかった.順調に回復していたが,術後6日目に突然心肺停止となり死亡した.心エコーにて多量の心嚢液貯留を認め,剖検では,心尖部側壁側のoozing ruptureとは異なる部位に3cmの亀裂と血性心嚢液の貯留がみられ,blow-out ruptureと考えられた.oozing ruptureの術後にblow-out
ruptureを発症した症例を経験したので報告する.
23- 5WIN, S-VHS 【症例報告】
急性心筋炎に伴う微小左室瘤の一手術例
東北厚生年金病院循環器センター 柴田 宗一,佐野 千晴,三引 義明,菅原 重生,
片平 美明,仁田 桂子,田中 元直,福寿 岳雄,
三浦 誠
東北厚生年金病院生理検査室 中島 博行,藤田 雅史,四ノ宮祐記,佐々木晶子
東北厚生年金病院病理部 村上 一宏
急性心筋炎に伴う微小左室瘤の一手術例を経験した.症例は72才の女性で,前日より出現した胸痛の精査目的に緊急入院となった.心電図上ST異常あり急性冠症候群が疑われ,緊急冠動脈造影検査を施行したが冠動脈に狭窄病変はみられなかった.入院時CPKは342U/ℓ,CRPは0.03mg/dℓであった.心エコー検査にて,心尖部下壁側に限局してdyskinesisを呈する左室瘤の存在が認められ,壁厚は最も薄い部位で3.8mmと非薄化していた.左室造影にてもparadoxical expansionを伴う小さな左室瘤を認めた.破裂の危険も考えられ,瘤入口部パッチ閉鎖術を施行した.術中所見では,心内膜および心筋の連続性が保たれており左室憩室が疑われたが,摘出標本の病理診断では急性心筋炎の診断であった.急性心筋炎に伴う微小左室瘤の報告は稀であり,文献的考察を含めて報告する.
2 基礎T (10:00-10:52) 座長 東北大学加齢医学研究所 西條 芳文 先生
23- 6OHP 【一般演題】
弾性表面波を利用した骨の音速測定法における補正に関する検討
東北文化学園大学科学技術学部応用情報工学科 浅井 仁
超音波を骨の表面に斜め入射して励振した弾性表面波の再放射成分を受信し,その位相を伝搬距離の関数として測定すれば弾性表面波音速を測定することができる.伝搬距離を変化させる方法として,送受信1対のトランスジューサを骨の表面に対して垂直に移動させる方法と,送受信のトランスジューサの内一方だけを骨の表面にそって移動させる方法が考えられる.後者は体外から測定する際に介在する軟組織の影響が比較的少ないと予想される.前報においてパイレックスガラスとフェノール樹脂の音速を測定した基礎実験では,前者の測定値に比較して後者の測定値がやや大きくなる傾向が生じ,信頼性にやや疑問があった.そこで本報で,アクリル樹脂についても同様に測定し比較検討したところ同程度の差が生じ,両測定法の測定値の差は測定法の違いによる系統的なものと考えられた.両測定法による各試料の音速測定値の比は試料によらずほぼ一致しており,何らかの基準試料を用いて補正できる可能性が示された.
23- 7CDROM 【一般演題】
動脈壁各層の振動の一心周期中の減衰特性変化の評価
東北大学工学研究科電子工学専攻 砂川 和宏,金井 浩
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎
東北厚生年金病院 田中 元直
【目的】動脈壁振動を層状に同時計測,周波数解析することにより,動脈壁振動の減衰特性の一心周期中の変化を評価し,動脈硬化症診断の可能性を示す.【方法】我々の開発した『位相差トラッキング法』を用いて動脈壁振動を層状に同時計測し,一心周期において,約200Hzまでの高周波帯域までの壁振動を心電図R波から100msごとの各時刻ごとに周波数解析する.本手法を健常者,喫煙者,動脈硬化症患者それぞれに適用した.【結果】健常者,喫煙者,動脈硬化症患者の間で約20Hz以上の脈波より高い周波数成分において動脈壁振動の減衰特性に大きな差異が得られた.また,一心周期の中でも動脈壁振動の減衰に差異があり,動脈壁厚が小さくなる心臓収縮期に減衰が小さく,動脈壁厚がもとに戻る心臓拡張期では大きくなる傾向が見られ,動脈壁厚変化でも減衰特性が変化している可能性が示された.【結論】本手法により,経皮的に計測した動脈壁振動の減衰特性から,組織の粘弾性特性の評価の可能性が得られた.なお,本研究は,日本超音波医学会研究開発班の研究の一環として行われた.
23- 8CDROM 【一般演題】
心臓壁からの超音波後方散乱の時間的変動原因の検討
東北大学工学研究科電子工学専攻 勝又 慎一,金井 浩
東北厚生年金病院
田中 元直
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎
【目的】我々は,心臓壁からの超音波後方散乱(IB)信号の計測を行い,IB信号に従来知られていなかった数十〜数百Hz帯域の成分が含まれていることを明らかにした.しかし,IB信号がこの様な高周波の変動を示す原因には不明な点が多い.そこで,心筋の構造をスポンジを用いて模擬する水槽基礎実験を行い,IB信号の変動原因についての検討を行った.【方法・実験】水槽中に置いたスポンジを伸縮させ,その際のスポンジからのIB信号の計測を行った.【結果】得られたIB信号には,スポンジの圧縮,拡張過程において,ヒト心臓壁で計測されたのと同様の数十〜数百Hzの周波数で変動する成分が含まれた.この高周波成分には,関心領域の速度に対応する成分とスポンジ内部での超音波パルスの干渉によるものの2種類があることがわかった.【結論】超音波パルスの干渉によるIB信号の変動は,スポンジの伸縮による散乱体間隔の変化によって生じると考えられ,IB信号の時間的変動から組織のみ変化を計測できる可能性があると考えられる.
23- 9CDROM 【一般演題】
超音波吸収による温度上昇分布の一シミュレーション
秋田大学工学資源学部 井上 浩,吉田 史弘
超音波照射によって生じる媒質内の温度上昇は,生体への影響,媒質の熱物性値を知ることができるため重要な計測項目である.しかし,実験結果の再現性がない,材料定数がどのように温度上昇に影響を与えるかなど不明な点が多いので,シミュレーションによる解析を行ってきた.前報告では,汎用性のあるFDTD法(Finite
Difference Time Domain method)を用いて音場解析を行った.その結果から十分に熱解析に適用できることが分かった.本報告ではFDTD法に熱伝導方程式を組み込んだFDTD-HCE法(Heat Conduction Equation
method)を提案し,温度分布の2次元解析を試みた.その結果,媒質表面での超音波強度が最も大きいにも関わらず,蓄熱により媒質中心部で高い温度上昇が得られることが分かった.吸収係数対温度時間率特性から媒質表面で測定を行った方が線形性のある結果が得られることが分かった.
3 消化器・呼吸器 (11:02-11:50) 座長 国立仙台病院 千田 信之 先生
23-10SLIDE
【症例報告】
Coded
Harmonic Angioが診断に有用であった小肝限局性結節性過形成の1例
岩手医科大学第一内科 三浦 義明,及川 純子,山田みちる,近藤 公亮,鈴木 一幸
【症例】42歳,女性.経口避妊薬の内服歴なし.平成12年11月に左腎結石の精査中にUSで肝腫瘤を指摘された.理学的所見に異常なく,肝機能は正常でHBsAg(-),HCVAb(-),AFP 2.2 ng/mℓ,PIVKA-II 20 mAU/mℓ,CEA 1.6 ng/mℓ,CA19-9 12.7 U/mℓ.USでS7に19×12mmの境界不明瞭な等〜やや低エコーな腫瘤を認め,power Doppler 検査では腫瘤の中心に血流シグナルを認めた.単純CTで等吸収,早期相で高吸収,後期相で等吸収,SPIO-MRIで等信号強度を呈し,血管造影では右肝動脈後上区域枝に腫瘍血管の増生と腫瘍濃染像を認めたが,車軸状血管構築は明らかではなかった.Levovistを用いたCoded Harmonic Angioでは腫瘤内に車軸状血管構築が明瞭に描出された.以上の画像所見よりFNHと診断し経過観察している.12ヶ月間大きさ,内部性状に変化を認めない.
23-11SLIDE
【症例報告】
USスクリーニングで診断した膵癌の1例
仙台社会保険病院内科 寺沢 良夫
仙台社会保険病院検査部超音波室 広田むつ子,野村 禎子,須藤 誠二,鈴木とよみ,
齋藤 和栄
無症状の小膵癌を検出することが,膵癌の予後向上に最大の効果をあげると考えられる.今回無症状小膵癌をUSスクリーニングで診断したので,その一例を報告する.【症例】61才男.糖尿病入院時のUSスクリーニングで,膵体部に1.5cmの腫瘍を膵癌と診断し,2001年12月4日手術で確認した.CT:
膵腫瘍(-),ERCP: 膵体部癌.血清アミラーゼ60IU,GOT29IU,GPT59IU,CA19-19
16U/mℓで,腹痛等の症状(-).組織学的には,adenocarcinomaで,リンパ腺,周辺への転移はみられなかった.検診・外来・入院時等で,USスクリーニングによる膵癌の検出が可能であり,且つその予後の向上に最もよい方法と考えられた.
23-12SLIDE 【症例報告】
著明な膵管拡張と膵石症を合併した膵頭部癌の一例
弘前大学第一内科 田辺 素子,佐藤 研,中畑理恵子,坂本 十一,須藤 俊之,
棟方 昭博
弘前大学第二外科 袴田 健一,佐々木睦男
弘前大学第二病理 須藤 晃司
【症例】72歳男性.【主訴】心窩部痛.【既往歴】7年前より糖尿病.【現病歴】平成12年1月帯状疱疹にて前医に入院した際に膵石症を指摘された.平成13年6月より心窩部痛が出現し,10月に入り黄疸が出現したため前医に入院した.PTCDによる治療をうけ,精査のため当科へ転院した.入院時検査成績は軽度の黄疸とCA19-9,DUPAN-2,Span-1の上昇がみられた.胆管造影では下部胆管に先細り状の閉塞像がみられた.USでは膵頭部は3cm大に腫大し,腫大した実質内に膵石が散在していた.尾側の主膵管は3cm以上に拡張し,内部にはDebris様のfine
echoが充満していた.手術のため,第2外科へ転科し,術中に施行した病理検索で癌であったため,膵頭部切除を行った.腫瘍径4.5cm,T2,N1(+)で,stageであった.膵石症を合併した膵癌で著明な膵管拡張像を呈した1例を報告した.
23-13SLIDE 【症例報告】
膵胆管合流異常症に合併した胆嚢異所性胃粘膜症の1例
松園第一病院消化器科 石川 洋子,工藤 典重
松園第一病院放射線科 渡辺 誠,渡辺 諭
松園第一病院臨床検査室 千葉 春枝,太田 恵
松園第一病院小児科 石田研一郎
岩手県立中央病院内視鏡科 村上 晶彦
岩手県立中央病院消化器科 小野 満
岩手県立中央病院消化器外科 中野 達也,望月 泉
岩手県立中央病院放射線科 及川 茂夫,佐々木康夫
岩手県立中央病院病理 小野 貞英
症例は12歳女子.11歳時急性胃腸炎で当院小児科入院中,腹部超音波検査(US)で胆嚢頚部に7.8×5.8mmの内部はlowとhighの混在する球状の隆起性病変を認め,ポリープとして,経過観察中であった.約1年後のUSで増大傾向みられ,精査加療目的で平成13年8月17日岩手県立中央病院へ紹介入院した.腹部単純CTでは,ややhigh density のlesionを,MRCPでは膵胆管合流異常および胆嚢頚部に7〜8mm大の陰影欠損像を認めた.EUSでは胆嚢頚部に表面平滑,内部に淡い小さなhypoechoicなspot状陰影の混在する隆起性病変を認め,胆嚢壁の肥厚は明らかではなかった.以上の諸検査より,胆嚢腫瘍,とくに腺腫が疑われ8月28日腹腔鏡的胆嚢摘出術を施行した.摘出標本では7×6×6mmの粘膜下腫瘍様結節状隆起性病変であり,組織学的には,結節状部分は胃のfundic mucosa類似の像からなり,腺管の大小不同の拡張がみられ,胆嚢異所性胃粘膜症と診断された.
23-14SLIDE 【症例報告】
転移性肺腫瘍に対するエコーガイド下経皮的ラジオ波焼灼術(Percutaneous
Radiofrequency Thermal Ablation: RFA)の試み
仙台厚生病院胸部腫瘍センター胸部腫瘍外科 高橋 博人,高橋 徹,新井川弘道,
石橋 洋則,保坂 智子,渋谷丈太郎,
高橋 里美,半田 政志
【はじめに】今回我々は,手術適応外となった呼吸器腫瘍例に対し,RFAを施行した.【対象】胸腺カルチノイド肺転移2病変,食道癌肺転移1病変,肺癌肋骨転移1病変.【方法】ラジオ波装置はRITA 500PA(Rita Medical Systems, INC.)で,温度センサーつきディスポーザブルハンドピースは太さ15ゲージ,先端からは4本の電気フックが直径約3cmの半球状に広がる.静脈麻酔で軽く鎮静させ,体表エコー(アロカ社製SSD-5000)で胸膜直下の腫瘍を観察しながら穿刺し,腫瘍内に達した後,フックを広げラジオ波を照射し,90℃
5分焼灼した.【結果】胸腺カルチノイド2病変は腫瘍がCT上縮小し,PRと判断した.腫瘍径4cmを越える食道癌肺転移1病変は一時的に腫瘍増大が止まり,腫瘍マーカーも下降したが再増大している.肺癌肋骨転移1病変は疼痛軽減効果に極めて有効であった.
23-15SLIDE 【症例報告】
肺癌に対する経食道超音波内視鏡下穿刺吸引法及び超音波造影剤Levovistを用いた造影ドプラ法の応用
仙台厚生病院消化器内科 及川 圭介
仙台厚生病院胸部腫瘍センター 高橋 博人,堀越 理紀,半田 政志
東北大学加齢医学研究所呼吸器再建研究分野 中村 好宏,近藤 丘
【目的】肺癌やリンパ節においても食道に近接する場合,EUS-FNAが可能である.腫瘍内血流を観察するため,コンベックス型EUSを用い,ドプラで血流を観察した.さらにLevovistを用い,造影ドプラ法:
EUS-CEを試みた.【対象と方法】食道近傍に腫瘍やリンパ節が腫脹している患者に対し,EUS-FNAを実施した.使用機種はオリンパス製のGF-UC30Pで,アロカ社製超音波観測装置SSD-5000に接続して経食道的に観察,穿刺した.EUS-CEにおいては,Levovistを300mg/mℓに調整し8mℓを静注した.【結果】EUS-FNAはリアルタイムに腫瘍,リンパ節,血管を観察しつつ安全に穿刺でき,組織診も可能である.GF-UC30Pにより腫瘍内部の血流をカラー表示し得た.Levovist静注によりリンパ節内の血流も増強された.【結論】EUS-FNA肺癌リンパ節転移診断に有用である.
4 産婦人科・泌尿器科 (14:00-14:42) 座長 東北厚生年金病院 谷川原真吾 先生
23-16SLIDE 【一般演題】
位相差トラッキング法による胎児心室壁微小振動の評価
東北大学医学部産婦人科 鈴木 則嗣,千坂 泰,木村 芳孝
東北大学工学研究科電子工学専攻 長谷川英之
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎
東北大学医学部産婦人科 岡村 州博
東北大学工学研究科電子工学専攻 金井 浩
【目的と意義】胎児娩出時期を決める上で胎児心機能の評価は大変重要な意味をもつ.しかし,現在のところその評価は十分とは言い難い.一方,内科領域では位相差トラッキング法を用いた心室壁の微小振動の評価が心不全の診断に役立つことが知られてきた.そこで,胎児にも応用できるかどうかを評価する目的で胎児心室壁の微小振動の計測を行った.【対象と方法】対象は正常胎児(単胎)5例である.計測には日立EUB655を用いた.【結果】正常胎児では成人と同様,心収縮に伴って各層とも収縮期には厚みが増大,拡張期早期には厚みが減少し,比較的均一に機能していることが分かった.【考察】今回,はじめて胎児心筋の微小振動をとらえることができた.今後は胎児心不全の重症度判定に有用であるかを検討していく予定である.
23-17CDROM 【一般演題】
三次元尿管内エコー法について(その1)
東北公済病院泌尿器科 中野 磨,畠山 孝仁,栫井 成彦,棚橋 善克
我々は,尿管内エコー像の三次元化(三次元尿管内エコー法)をルーチンワークとして行って臨床の用に供している.今回は,腎盂・尿管腫瘍,尿管狭窄における有用性について報告する.三次元画像の構築に必要な多数枚の超音波画像の取得には,細径体腔内プローブを一定速度で移動させながらデータを取り込む方法を用いた.これを,我々はヘリカル走査方式と呼んでいる.得られたキュービックデータから,任意の傾きの2次元画像や鳥瞰図などを得る手法は,体外からの超音波三次元映像化の手法と同様である.腫瘍に関しては,尿管内への突出の程度や広がり,周囲組織との関係が良く理解できる.また,尿管狭窄の場合は狭窄の程度や範囲,そして周囲の血管との関係が把握できる.以上より,腫瘍の場合には手術方法の決定,尿管狭窄の内視鏡手術に関しては切開法の選択や切開方向のシミュレーションが容易となる.また,患者へのインフォームドコンセントにも有用であった.
23-18SLIDE 【一般演題】
超音波ガイド下ラジオ波焼灼(RFA)による無心体双胎の子宮内治療
国立仙台病院産婦人科 室月 淳
東北大学医学部産婦人科 妹尾 匡人,菅原 準一,上原 茂樹,岡村 州博
無心体は多胎妊娠の1児にまれに認められる奇形で,心が欠損あるいは痕跡程度にもかかわらず妊娠中増大を続けるため,健常児が予後不良となることが多い.われわれは無心体双胎に対して,超音波ガイド下ラジオ波焼灼術(RFA)による子宮内治療を試みた.症例は妊娠18週で無心体双胎と診断され,妊娠20週で超音波ガイド下にRFAを施行した.硬膜外および局所麻酔下に17Gニードル電極の先端を無心体の体内吻合血管まで進め,間欠パルス式通電による組織凝固(Cool-tip RF システム)を行い血流を遮断した.母児とも術中術後の経過には特に問題を認めなかった.治療後の妊娠経過は良好で,妊娠41週帝王切開となり3,708gの健児を出産した.無心体双胎の胎内治療としては胎児鏡下での臍帯結紮や臍帯凝固などが報告されているが,いずれも母体の麻酔,開腹,出血など侵襲度が高い方法である.今回我々が試みた超音波ガイド下ラジオ波焼灼による無心体双胎の血流遮断術は簡便で安全度が高く,無心体双胎の子宮内治療に適した方法と考えられる.
23-19SLIDE 【症例報告】
超音波ガイド下胎児採血により一過性骨髄異常増殖症と21トリソミーを疑った胎児の一例
国立仙台病院産婦人科 太田 聡,室月 淳,藤田 信弘,浅野 晃,
林 千賀,石垣 展子,早坂 篤,丹野 治郎,
和田 裕一
一旦末梢血中に増殖した芽球細胞が自然消退する一過性骨髄異常増殖症(transient abnormal myelopoiesis; TAM)を21トリソミーの出生後に認めることがある.われわれは心嚢液貯留を認めた胎児について21トリソミーを疑い,超音波ガイド下臍帯穿刺による胎児採血(percutaneous
umbilical blood sampling; PUBS)によってTAMの病態がすでに胎内で起こっていることを認めた.症例は妊娠33週で胎児心嚢液貯留を認め当院に紹介された.胎児超音波所見で心嚢液と少量の腹水貯留および肝腫大を認めたが,心奇形や皮下浮腫などは認めなかった.胎児心機能は正常であった.妊娠34週でPUBSを施行し,末梢血所見で白血球の著増(55,600/mm3)があり芽球が56%に認めた.増殖不良のため染色体分析はうまくいかなかったが,病態より21トリソミーが強く疑われた.TAMの胎児診断例の報告はまだなく,新生児期に一過性に発症するとされてきたTAMの病態が出生前にすでに存在している事実が注目される.
5 循環器U (14:57-15:42) 座長 東北中央病院 金谷 透 先生
23-20SLIDE,S-VHS
【症例報告】
超音波所見が診断に有用であった,外傷後炎症性とう骨動脈瘤の一治験例
東北中央病院循環器内科 金谷 透,山口 佳子
東北中央病院臨床検査科生理 高橋みさ子,佐藤あや子,森田千賀子,大宮 善孝,
太田あや子
山形済生病院心臓血管外科 折田 博之,小肥 実
症例は26歳の主婦.平成11年2月9日に猫に左前腕を噛まれ,化膿し当院外科を受診.通院加療にて軽快,その後は通常の生活をしていた.平成13年5月1日,同部位の拍動性の腫瘤を自覚するようになり,当院整形外科を受診.腫瘤は拍動性で直径2cm程度,触診上辺縁は平滑.造影CTにて同部位はenhance(+),3-DCT上動脈瘤が示唆された.超音波検査では同部位のとう骨動脈壁は肥厚しており,内腔に突出するような構造物が認められた.内腔は約6mm,病変部長は40mmであった.血管造影上は超音波所見と同様に内腔に櫛状構造の血管が認められた.膠原病を示唆する所見は認めず,外傷後の炎症性変化が考えられた.手術時所見では同部位の拡張はあるが,血管内皮細胞が乳頭状に増殖し,内腔をほぼ充満していた.これらは炎症性変化によるものと考えられた.本例の診断に超音波断層,カラードプラ法が有用であった.以上,外傷後炎症性とう骨動脈瘤所見を呈した稀な一例を経験した.
23-21WIN,S-VHS 【症例報告】
経胸壁心エコー検査では診断し得なかった心房中隔欠損症の一例
東北厚生年金病院循環器センター 佐野 千晴,柴田 宗一,三引 義明,菅原 重生,
片平 美明,仁田 桂子,田中 元直,福寿 岳雄,
三浦 誠
東北厚生年金病院生理検査室 中島 博行,藤田 雅史,四ノ宮祐記,佐々木晶子
症例は66歳,女性.平成8年に健診で心拡大を指摘され,心エコーにて肺高血圧症を疑われ,精査目的に当科に入院,心臓カテーテル検査でASD(左→右短絡率26%)と診断された.平成13年11月19日,動悸感と息切れを主訴に来院,心房細動を認め,抗不整脈にて洞調律となったが,精査のため入院となった.心臓カテーテル検査でASDの左→右短絡率が51%(欠損孔径15mm)と増加していたため,心房中隔欠損孔閉鎖術を施行した.初診時からの経過を通じて,経胸壁心エコー上,心房中隔の欠損孔,および左→右短絡血流は認められなかった.欠損孔がValsalva洞の側方で,心房中隔の天井付近に存在することが経食道エコーおよび術中所見にて確認されており,このような高位の欠損の場合,経胸壁心エコーではASDの診断が困難である可能性が示唆された.ASDの欠損孔の位置と心エコー所見との関係について,考察を加えつつ報告する.
23-22CDROM,S-VHS 【症例報告】
脱落ステントの回収にIVUSが有用であった1例
宮城県立瀬峰病院循環器科 菅野 孝幸,佐々木英彦,松本 誠,尾添 明之
【症例】66歳男性.【主訴】胸痛.【既往歴】特記事項なし.【冠危険因子】高血圧症,喫煙.【現病歴】2000年2月3日胸痛出現し近医を受診.心電図上UVaVf にST上昇を認め急性心筋梗塞として当科紹介となる.緊急冠動脈造影上RCAseg1: 100%,LADseg6:
90%であり,DirectPTCAをRCAに対し行った.翌日になっても胸痛出現あり2月4日LADに対しStagedPTCAを行った.【まとめ】左冠動脈前下行枝に対しPTCAを施行中NIRステントが病変を通過できず引き返す際にトラップされデリバリーバルーンのシャフトの断裂が生じスネアによりバルーンは回収できたもののステントの脱落が生じた.透視ではステントの確認ができずIVUSを利用しステントを探そうとしたが左冠動脈前下行枝に向けてIVUSが通過できなかった.ここで視点を変え左冠動脈回旋枝に向けてIVUSを通過させることにより左冠動脈主幹部から左冠動脈前下行枝側に脱落したステントを見つけることができた.さらにIVUSガイド下にガイドワイヤーを脱落ステントにクロスすることに成功し,かつスネアにてその回収に成功した症例を経験したので報告した.
23-23WIN,S-VHS 【症例報告】
急性心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔の一救命例
東北厚生年金病院生理検査室 佐々木晶子,中島 博行,藤田 雅史,四ノ宮祐記
東北厚生年金病院循環器センター 佐野 千晴, 柴田 宗一,三引 義明,菅原 重生,
片平 美明,仁田 桂子,田中 元直,福寿 岳雄,
三浦 誠
症例は72歳,女性.胸痛,冷汗,嘔吐があり,翌日近医を受診.心電図上V2〜V5でST上昇を認め,急性前壁中隔梗塞の診断にて当院循環器センターに緊急入院となった.緊急心臓カテーテル検査を行いLAD#7の完全閉塞を認めPTCAを施行した.CCU帰室後,血圧低下がみられ心エコー検査を施行したところ,高度の右心負荷所見と心尖部心室中隔に左室から右室への短絡血流が認められ,心室中隔穿孔による低心拍出量症候群の診断で緊急手術となった.術後PCPSを必要としたが,その離脱過程において経胸壁心エコー検査での評価が困難であったため経食道エコー検査を行い,心機能や心腔内の短絡血流がないことを確認し,術後11日目にPCPSより離脱,その後良好に回復し退院した.心筋梗塞の合併症の診断,PCPSからの離脱の判断に超音波検査が有用であった1症例を経験したので報告する.
23-24WIN 【一般演題】
気絶心筋の臨床的特徴
東北厚生年金病院循環器センター 菅原 重生,佐野 千晴,柴田 宗一,三引 義明,
片平 美明,仁田 桂子,田中 元直
東北厚生年金病院生理検査室 中島 博行,藤田 雅史,四ノ宮祐記,佐々木晶子
急性の心筋虚血に伴い一過性に虚血部位の壁運動低下をきたす現象は気絶心筋(stunned myocardium)として知られ,急性冠症候群の治療において重要な意味を持つ.今回われわれは,1999年1月〜2001年12月までに当循環器センターに入院した,左前下行枝を責任病変とし緊急PTCAを行った急性冠症候群症例のうち,入院当日の心エコー検査にて左室前壁中隔の壁運動異常を認めた症例を対象として,左室壁運動を経時的に評価し,壁運動改善がみられた群(stunning群)と改善がみられなかった群(非
stunning群)とに分けた.壁運動評価は超音波断層画像の視覚による6段階評価とし,2段階以上改善した場合にstunning群,それ以下の場合は非
stunning群とした.各群の臨床的背景,超音波検査所見などを比較し,気絶心筋の臨床的特徴について検討したので報告する.
6 基礎U (15:42-16:21)
座長 東北大学工学研究科 長谷川英之 先生
23-25CDROM 【一般演題】
動脈壁の局所弾性特性の2点同時計測による血管反応性評価
東北大学工学研究科電子工学専攻 芳賀 大樹,渡辺 優,長谷川英之,金井 浩
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎
【目的】異なる被験者間でニトログリセリンに対する頸動脈壁の血管反応性を比較する場合,頸動脈の弾性特性や反応性は個体差が大きいため,異なる被験者間で比較する場合には個体差を考慮する必要がある.そこで,同一被験者内で計測点を2点取り,各点での血管反応性を比較することによって,個体差の影響を受けることなく血管反応性の評価ができる.【方法】粥腫患者の頸動脈壁上の健常部位と粥腫部位の2点に超音波ビームを送信し,各ビーム毎の血管後壁の厚み変化と弾性率を同時に計測する.計測時間はニトログリセリン投与前1分から,投与後5分までの計6分間である.計測された動脈壁の厚み変化やそれをもとに算出した弾性率から血管反応性を評価する.【実験結果】本システムを用いて計測を行った結果,健常部位と粥腫部位ではニトログリセリンの投与による血管反応性に差が見られた.健常部位,粥腫部位共に厚み変化の振幅が増大しているが,粥腫部位に比べて健常部位の方が厚み変化の振幅の増大の度合いが大きかった.【結論】本システムを用いて健常な部位と動脈硬化病部位の血管反応性を比較することによって,個体差の影響を受けることなく血管反応性の評価を行えることが期待される.
23-26CDROM 【一般演題】
心室中隔壁中の振動伝搬の減衰特性に関する実験的検討
東北大学工学研究科電子工学専攻 上野 仁美,砂川 和宏,金井 浩
東北大学医学系研究科循環器病態学 小岩 喜郎
【目的】心室中隔壁振動に含まれる高周波成分の一因として考えられる血流の影響について,in vivo計測結果とシリコーンゴムを用いた基礎実験の比較を試み,心筋の弾性率の変化による壁振動の伝搬の減衰特性の変化から,心筋の組織性状の評価の可能性を示す.【方法】『位相差トラッキング法』により,心室中隔壁振動を層状に同時計測し,各心周期で周波数解析を行い壁振動に含まれる200Hzまでの高周波成分の左室側から右室側への振動伝搬の減衰特性を評価した.さらに,高周波振動の発生の一因として,血液が流れることにより生じる乱流や渦によって,壁に加わる局所的な応力が変化することが考えられることから,弾性率の異なるシリコーンゴムを用い,拍動流により生起した振動伝搬の減衰の周波数特性を評価した.【結果】壁振動は左室側から右室側にかけて,20Hz以下の低周波成分と比較して20Hz以上の高周波成分のパワーの減衰が10〜20dB大きいという結果が得られた.また,シリコーンゴムを用いた基礎実験においても,壁振動は200Hz以下の周波数成分より200Hz以上の成分の減衰が5〜10dB大きかった.さらに,シリコーンゴムの弾性率の違いにより,200Hz以上の周波数帯域において,減衰に約5dB程度の差が見られた.【結論】以上の結果より,心筋振動の伝搬の減衰特性から心筋の組織性状を評価できる可能性が得られた.
23-27CDROM 【一般演題】
超音波による生体組織の非侵襲的加振の可能性に関する実験的検討
東北大学工学研究科電子工学専攻 道下 和昭,長谷川英之,金井 浩
近年,超音波から生じる音響放射力を生体組織に加え,その応答を解析することにより非侵襲的な組織分布の計測法として適用を試みる報告がなされている.本報告では,ハイドロホンを用いて超音波の音圧を計測することにより,音響放射力を算出した.さらに,その実験結果からこれまでに報告されている手法との比較検討を行なった.また,生体に対して適用可能な音圧範囲において,生体内でどれくらいの加振力が与えられるか検討を行なった.
閉会の挨拶 (16:21-16:26) 東北地方会運営委員長 棚橋 善克 先生