日本超音波医学会 東北地方会 

24回学術集会 プログラム・抄録集

 

 

 

日  時:

平成14921() 9201645

場  所: 

山形テルサ

 

山形市双葉町一丁目2−3 (TEL: 023-646-6677)

大会長:  

東北中央病院循環器内科: 金谷 透

参加費: 

1,000

地方会URL

http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~jsum/

連絡先:

980-8510 山形市和合町三丁目2-5

 

東北中央病院循環器科内

 

日本超音波医学会 第24回東北地方会事務局

 

TEL: 023-623-5111,FAX: 023-623-5145

 

e-mail: yajsum@tohoku-ctr-hsp.com

 

 

講演者へのお願い:

     演題は,1題につき発表時間6分,討論時間4分の合計10分間です.

     会場には,35mm slide projector, OHP, S-VHSのprojector,PowerPoint2000が使用できる画面サイズ1024×768のWindowsコンピュータとそのprojectorを用意します.

     事前申込の際の機器(OHPOHP,持込コンピュータWindowsWIN・MacintoshMAC,会場コンピュータ(CD-ROM)CDROM,スライドSLIDE,ビデオS-VHS)を講演番号に記してありますが,当日は受付にて使用機器の再確認をお願いします.

     発表予定時刻の15分前までにスライド, ビデオ受付を済ませてください.

     スライド枚数は制限しませんが発表時間を厳守してください.

 

PowerPointによる講演者へのお願い:

     会場のコンピュータを利用する方(講演番号にCDROMと表記)は,発表のPowerPointファイル(動画像等も含む)PowerPoint2000で表示できることを確認の上,CD-ROM(Windowsフォーマット)またはフロッピー(Windowsフォーマット)917()までに上記連絡先へお送り下さい.

     ご自分のコンピュータを持参する方(講演番号にWINまたはMACと表記)で,午前に発表の方は915までまたは休憩時間に,午後に発表の方は12:50までに,接続と解像度調整,動作確認を含めた試写をお願いします.また,演題の間には準備時間がありませんので,一つ前の演題発表中に持参したコンピュータをprojectorへ接続すること・PowerPointの立ち上げを完了させてください.

     Macintoshの場合はprojectorが対応できない場合もありますので,念のために,発表のPowerPointファイル(動画像等も含む)PowerPoint2000で表示できることを確認したCD-ROM(Windowsフォーマット)も持参してください.

 

 

 

発行日: 平成1491





日本超音波医学会 2回東北地方会講習会

(第24回学術集会併設)のお知らせ

 

 

日本超音波医学会東北地方会 

運営委員長 棚橋 善克 

 

従来,日本超音波医学会教育委員会が主催していた超音波診断法講習会を地方会で開催することになりました.ご出席頂いた超音波専門医,超音波検査士の方には5単位の研修・業績単位が与えられます.

 

 

 

 

 

開催日時

平成14921() 13:0014:40

会  場

山形テルサ 山形市双葉町一丁目2-3 TEL:023-646-6677

講演題目

(1)臨床系「心臓超音波検査で見落としてはいけないポイント」

 

(2)基礎系「わかる超音波トピック」

講  師

(1)竹中 克先生(東京大学医学部附属病院検査部)

 

(2)平間 信先生(東芝 医用システム社 超音波開発部)

講演時間

(1)1時間

 

(2)30分

1,000(学術集会参加費とは別)

定  員

100

申込期限

平成14913()

申込方法

氏名,連絡先住所,電話番号,FAX番号,お持ちの方はe-mailアドレスを,

下記までFAXe-mailまたは郵送でお申込ください.

講習会申し込み・問い合わせ先

980-8510

山形市和合町三丁目2-5

 

東北中央病院循環器科内

 

日本超音波医学会 第24回東北地方会事務局

 

TEL: 023-623-5111,FAX: 023-623-5145

 

e-mail:yajsum@tohoku-ctr-hsp.com

地方会ホームページ:

http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~jsum/

 

 

 

 

 



プ ロ グ ラ ム

 

開会の挨拶(9:20−9:25)       会 長 東北中央病院循環器内科 金谷 透 先生

 

T.循環器I(9:25-10:25)      座 長 山形大学第一内科    広野 摂 先生

 

24-1. 安静時パルス組織ドプラ法による心筋viability評価:99m Tc-MIBI心筋灌流イメージングとの対比検討

山形大学第一内科         廣野 摂  竹石恭知  南幅 修  金子一善

Kaniz Fatema      張 雪華  奥山雅基

福井昭男  久保田功

 

24-2. 急性心タンポナーデをきたした前縦隔腫瘍の一例

東北厚生年金病院循環器センター  菅原重生  山口 済  柴田宗一  三引義明

片平美明  田中元直

東北厚生年金病院生理検査室    中島博行  藤田雅史  佐々木晶子

四ノ宮祐記

東北厚生年金病院呼吸器科     吉村浩一

東北厚生年金病院外科       渡辺新吉  新井川弘道

東北厚生年金病院病理部      村上一宏

 

24-3. 左上大静脈遺残を合併した静脈洞欠損型心房中隔欠損症の一例

東北厚生年金病院循環器センター  三引義明  山口 済  柴田宗一  菅原重生

片平美明  田中元直  福寿岳雄  三浦 誠

東北厚生年金病院生理検査室    中島博行  藤田雅史  佐々木晶子 四ノ宮祐記

 

24-4. 修正大血管転位高齢生存の一例

平鹿総合病院第二内科       伏見悦子  竹内雅治  高橋俊明  関口展代

林 雅人

平鹿総合病院検査科        丹波寛子  高橋久美子

 

24-5. 巨大な右冠動脈瘤を有した狭心症の一例

東北厚生年金病院循環器センター  菅野重範  山口 済  柴田宗一  三引義明

菅原重生  片平美明  田中元直  福寿岳雄

三浦 誠

東北厚生年金病院生理検査室    中島博行  藤田雅史  佐々木晶子 四ノ宮祐記

 

24-6. 左房内血栓による僧帽弁位ATS弁機能不全の経験例

山形県立中央病院循環器科     川島祐彦  白壁正憲

山形県立中央病院心臓外科     近藤俊一

山形県立中央病院検査部      吉田真智子

 

 

U.消化器I(10:25−10:55)     座 長 山形大学第二内科   三澤 裕之 先生 

 

24-7. Contrast Harmonic Echo (CHE) を用いた PEIT で局所の ablation に成功した

   肝左葉下面より突出した肝細胞癌の一例

   (日立EUB−8000を使用したWPI:wide band-pulse inversion 法)

仙台市立病院消化器科       矢島義昭  高橋信孝  宮崎敦史  山岸初志

杉山幸一  枝 幸基

 

24-8. 膵未分化癌が示唆された一例

公立加美病院           畑中 恒

宮城県立がんセンター消化器科   鈴木雅貴  小野寺博義 鵜飼克明  阿子島裕倫

浅野直子

 

24-9. 術前卵巣嚢腫が疑われたS状結腸間膜腫瘍の1例

松園第一病院消化器科       石川洋子  工藤典重

松園第一病院放射線科       渡辺 誠  渡辺 諭

松園第一病院臨床検査室      千葉春枝  太田 恵

岩手県立中央病院消化器外科    中野達也  望月 泉

岩手県立中央病院産婦人科     鈴木 博 

岩手県立中央病院病理       佐熊 勉

 

 

コーヒーブレイク10:55−11:05)

 

V.体表・その他(11:05−11:45)   座 長 済生会山形済生病院  高橋健太郎 先生

 

24-10. 股関節術後における下肢静脈血栓の検討

済生会山形済生病院臨床検査部   工藤祐一  設楽朗子  齋藤郁子

      済生会山形済生病院循環器内科   高橋健太郎

済生会山形済生病院整形外科    石井政次

 

24-11. 最近当院で経験したカテーテルに伴う血栓症

秋田大学第二内科         泉 学   鬼平 聡  津谷裕之  藤原慶正

長谷川仁志 清水 博  斎藤 崇  三浦 傅

秋田大学心臓血管外科       山本文雄

 

24-12. 巨大頚動脈瘤の一例

済生会山形済生病院臨床検査部   設楽朗子  工藤祐一  齋藤郁子

      済生会山形済生病院脳神経外科   近藤 礼

            済生会山形済生病院循環器内科   高橋健太郎

 

24-13. 乳癌検診におけるマンモグラフィーと超音波の比較検討

東北中央病院外科         堀越 章  齋藤善広  武藤大成  西條 進

 

 

W.講習会(13:00−14:40)      座 長 東北中央病院循環器内科 金谷 透 先生

 

(1)「心臓超音波検査で見落としてはいけないポイント」

東京大学医学部附属病院検査部   竹中 克 先生

 

(2)「わかる超音波トピック」

東芝医用システム社超音波開発部  平間 信 先生

 

X.循環器U(14:40−15:30)     座 長 平鹿総合病院第二内科 伏見 悦子 先生

 

24-14. 発作性心房細動における左心耳stunningと心原性脳塞栓発症の関連について

山形大学第一内科         金子一善  廣野 摂  Kaniz Fatema 張 雪華  

竹石恭知  久保田功

山形大学脳神経外科        嘉山孝正

 

24-15. 洞調律における大動脈弓部潰瘍性plaque周辺の渦血流の発生は脳塞栓発症の重要な規定

因子である

山形大学第一内科         金子一善  廣野 摂  Kaniz Fatema 張 雪華

竹石恭知  久保田功

山形大学脳神経外科        嘉山孝正

 

24-16. 脳塞栓症の循環器内科サイドからのアプローチ

済生会山形済生病院循環器内科   高橋健太郎 大友 純  池田こずえ

済生会山形済生病院脳神経外科   近藤 礼

済生会山形済生病院臨床検査部   設楽朗子  工藤祐一  齋藤郁子

 

24-17. 脳梗塞発症と、左室流入血流E/Aの経時的変化の関係

秋田脳血管研究センター内科    藤原理佐子 小野幸彦

秋田大学医学部第二内科      鬼平 聡  三浦 傅

 

24-18. 経食道エコーと血管内エコーで観察した右肺動脈血栓症と思われる1例

東北中央病院循環器内科      斎藤 朗  金谷 透  山口佳子

 

 

Y.消化器U・泌尿器(15:30−16:00) 座 長 山形大学泌尿器科   矢口 博理 先生

 

24-19. 腹部症状からみた腹部エコー検査の有用性の検討

      医療法人永井医院         奥山真紀  岸 千代  新江明子  永井俊一

      医療法人丸岡医院         佐藤秀二

 

24-20. 摘出腫瘍径2cm で転移した小腎癌の一例

      仙台社会保険病院内科       寺沢良夫

      仙台社会保険病院検査部超音波室  広田むつ子 野村禎子  鈴木とよみ

野村幸宏  須藤誠二

 

24-21. ドプラ断層法による腎移植後急性拒絶反応時の移植腎血流測定の経験

山形大学医学部泌尿器科            矢口博理  飯島良明  三浦道治  舘野 正

            一柳 統  増田智一  内藤 整  久保田洋子

 

 

Z.基礎(16:00−16:40)       座 長 東北大学大学院工学研究科  金井 浩 先生

 

24-22. 参照画像ファイリングシステムとその運用

医療法人丸岡医院         佐藤秀二  丸岡 喬

医療法人永井医院         岸 千代  奥山真紀  新江明子  永井俊一

24-23. 腹部超音波診断画像を構成する対数信号レベルの分布についての考察

社会保険中央総合病院       浅野目容子

東京工業大学           大槻茂雄

新赤坂クリニック         谷田部真由美

 

24-24. 動脈壁の粘弾性特性計測を目指した外部加振による動脈壁振動の計測

東北大学大学院工学研究科         長谷川英之 金井 浩

東北大学大学院医学系研究科       小岩喜郎

 

24-25. 心室中隔壁での振動伝搬の計測

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻     金井 浩

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻     小岩喜郎

            東北厚生年金病院               田中元直

 

 

閉会の挨拶(16:40−16:45)            東北地方会運営委員長  棚橋 善克 先生

 

 



抄 録

 

1 循環器T ( 9:25-10:25)      座長 山形大学第一内科 廣野 摂 先生

 

24- 1SLIDE

安静時パルス組織ドプラ法による心筋viability評価:99m Tc-MIBI心筋灌流イメージングとの対比検討

山形大学第一内科         廣野 摂  竹石恭知  南幅 修  金子一善

Kaniz Fatema      張 雪華  奥山雅基  

福井昭男  久保田功

 

パルス組織ドプラ法による心筋viability評価の有用性を、99m Tc-MIBI心筋シンチグラフィーと比較検討。[方法]冠血行再建術前の陳旧性心筋梗塞30例(67±11歳、男性22例)に対しパルス組織ドプラ法を実施し、梗塞部中心の収縮期壁運動速度(S)と前駆出期(PEP)/駆出時間(ET)を測定。さらに心筋シンチグラフィーにおいては健常部位に対する梗塞部位の99m Tc-MIBIの%uptakeを計測した。冠血行再建術3ヶ月後に左室造影を施行し、壁運動改善の有無と術前における各指標を比較検討した。[結果]心筋viability判定の感度及び特異度はそれぞれ、%uptake; 91%, 95%, S; 62%, 81%, PEP/ET; 63%, 80%であった。%uptakeとs及びPEP/ETはそれぞれ有意な相関関係を認めた(r=0.59, r=-0.53)。[結論]安静時パルス組織ドプラ法の心筋viability評価に対する診断感度と特異度を向上させるためには、異なるモダリングによる対比検討が重要と考えられた

 

24- 2WIN

急性心タンポナーデをきたした前縦隔腫瘍の一例

東北厚生年金病院循環器センター  菅原重生  山口 済  柴田宗一  三引義明

片平美明  田中元直

東北厚生年金病院生理検査室    中島博行  藤田雅史  佐々木晶子 四ノ宮祐記

東北厚生年金病院呼吸器科     吉村浩一

東北厚生年金病院外科       渡辺新吉  新井川弘道

東北厚生年金病院病理部      村上一宏

 

【症例】19歳の女性 胸痛を主訴に2002年6月10日受診、心臓超音波検査にて心臓前面に接して、内部エコーが不均一な大きさ63mm×36mmの腫瘤が認められ、前縦隔腫瘍と考えられた。発熱も出現し6月11日呼吸器科に入院、その後食欲低下、肝腫大が急速に進行した。6月17日心臓超音波検査を再度施行したところ、全周性に10〜20mmの心嚢液貯留を認め、急性心タンポナーデと診断し、緊急手術を施行した。【手術所見】心嚢液除去および腫瘍摘出術を行った。心嚢液は約200ml、漿液性であった。腫瘍は心嚢に強く癒着しており、割面の性状より奇形腫が疑われた。【病理所見】胸腺内に発生、発達したと考えられる成熟奇形腫であった。心嚢液は炎症性細胞が多数観察され、化膿性炎症の所見であった。【まとめ】縦隔腫瘍により急性の心タンポナーデをきたす症例はまれである。本症例の手術適応の決定に心臓超音波検査は極めて有用であった。超音波所見と合わせて症例呈示する。

 

24- 3MAC S-VHS

左上大静脈遺残を合併した静脈洞欠損型心房中隔欠損症の一例

東北厚生年金病院循環器センター  三引義明  山口 済  柴田宗一  菅原重生

片平美明  田中元直  福寿岳雄  三浦 誠

東北厚生年金病院生理検査室    中島博行  藤田雅史  佐々木晶子 四ノ宮祐記

 

【症例】53歳の男性 検診で胸部異常陰影を指摘され、動悸症状もあり受診、心臓超音波検査にて高位の心房中隔欠損症(以下ASD)および右心系の拡大、冠静脈洞の拡大を認めた。経食道心エコーを施行したところ、生理食塩水によるコントラストエコーにより左上大静脈遺残(以下PLSVC)の合併が疑われた。心臓カテーテル検査では、心房レベルでの左右シャント、PLSVC、右肺静脈の還流異常を認め、静脈洞欠損型ASDと診断され、左右シャント率が65%であり、手術の適応と考えられた。【手術所見】術前診断と同様の所見であった。ASDは静脈洞欠損型で、大きさは3×4cmであり、根治術を行った。【まとめ】本症例は、PLSVCを合併した静脈洞欠損型ASDの典型例と考えられたが、同型のASDはまれであり、高齢のASDを診断した場合、鑑別を念頭におく必要があると考えられた。超音波所見と合わせて症例提示する。

 

24- 4MAC S-VHS

修正大血管転位高齢生存の一例

平鹿総合病院第二内科       伏見悦子  竹内雅治  高橋俊明  関口展代

林 雅人

平鹿総合病院検査科        丹波寛子  高橋久美子

 

修正大血管転位の高齢生存は稀である。本症例は80歳女性、50歳時に左側房室弁置換術、ペースメーカー植え込み術を施行していた。今年はじめから軽い心不全症状を主訴に当院を受診した。心エコー検査では、合併心奇形はなく、置換された左側房室弁機能も正常であったが、解剖学的右室すなわち血行動態的には左室の収縮能は全体的に非常に低下し、EF0.3程度であった。ドブタミン負荷心エコーでは後壁を中心に収縮が回復し、予備能があると示唆された。心臓カテーテル検査では冠動脈の走行は正常、すなわち右冠動脈1本で体循環を担っている解剖学的右室を養っており、相対的に虚血はある事が示唆され、心筋シンチでも同様の所見であった。以上から高齢生存できた原因としては、合併心奇形がなく、左側房室弁置換術、ペースメーカー植え込み術を施行され、右室の収縮予備力があること、今回の心不全の原因としては永年にわたり解剖学的右室が高圧系に疲弊してきた事、冠動脈血流の相対的虚血が考えられた。

 

24- 5MAC S-VHS

巨大な右冠動脈瘤を有した狭心症の一例

東北厚生年金病院循環器センター  菅野重範  山口 済  柴田宗一  三引義明

菅原重生  片平美明  田中元直  福寿岳雄 

三浦 誠

東北厚生年金病院生理検査室    中島博行  藤田雅史  佐々木晶子 四ノ宮祐記

 

【症例】55歳の男性で、川崎病を指摘されたことはない。脳梗塞の入院中に狭心症にて冠動脈造影検査を施行したところ、冠動脈全体に石灰化および拡張性変化が強く、右冠動脈は近位部で完全閉塞していた。CTにて、右室、右房に接して全周性に石灰化した直径約5cmの腫瘤を認めた。心臓超音波検査では、右冠動脈に連続した、表面が石灰化した異常構造物を認めたが、内部に血流シグナルは認められなかった。巨大な右冠動脈瘤と考えられ、冠動脈バイパス手術を施行した。【手術所見】心嚢内は心臓全体が高度に癒着しており、過去に強い炎症があったことが示唆された。触診で腫瘤は硬く触知され、右冠動脈の#12までが動脈瘤を呈していると判断された。右冠動脈の#4にも小動脈瘤が認められ、その末梢にバイパス血管を吻合した。【まとめ】本症例は巨大な右冠動脈瘤の一例で、臨床的には川崎病の後遺症と考えられたが、その大きさからまれな症例と考えられた。超音波所見とともに症例呈示する

 

24- 6WIN

左房内血栓による僧帽弁位ATS弁機能不全の経験例

山形県立中央病院循環器科     川島祐彦  白壁正憲 

山形県立中央病院心臓外科     近藤俊一

山形県立中央病院検査部      吉田真智子

 

症例は、連合弁膜症で2弁置換術(DVR)を施行され、術後2年を経過した74歳男性である。約2週間前より、労作時の息切れなど心不全症状の悪化が出現していた。経胸壁心エコーで、圧較差の上昇と、TRより推定肺動脈圧の上昇を認めた。弁葉撮影により、弁の開放制限を認め機能不全の診断に至った。経食道心エコーでは左房内に巨大な血栓が付着し弁葉部に及んでいた。また、2葉弁の一弁が、可動していないのを観察し得た。術中の所見では、前交連側の弁葉が血栓により半閉鎖位でスタックしていた。今回のケースでは巨大な血栓が、弁葉に及び機能不全をおこしたものと考えられる。左房内血栓では塞栓症ばかり念頭に置きがちであるが、弁機能不全も起こしうると改めて痛感する1例であった。 

 

 

2 消化器I (10:25-10:55)      座長 山形大学第二内科 三沢 裕之 先生

 

24- 7SLIDE WIN

Contrast Harmonic Echo (CHE) を用いた PEIT で局所の ablation に成功した

  肝左葉下面より突出した肝細胞癌の一例

   (日立EUB−8000を使用したWPI:wide band-pulse inversion 法)

仙台市立病院消化器科       矢島義昭  高橋信孝  宮崎敦史  山岸初志

杉山幸一  枝 幸基

 

患者は69才の女性で、平成6年に腹水のコントロル目的に当科受診時、進行したC型肝硬変であった。平成8年には肝性昏睡が出現し、以後は腹水と肝性昏睡で入退院を繰り返していた。平成13年1月には左葉外側区に径3cmの肝細胞癌を発見され、治療目的に入院となった。入院時において、小量の腹水が存在し下腿浮腫が見られた。肝予備能より、TAEは困難と考えPEITによる ablation を選択した。腫瘍は肝下面より突出し、胃と接しており腫瘍深部へのPEIT針の挿入は慎重を要した。3回の session(計 4.6 ml)終了時に、CT上、腫瘍の下方突出部の最深部に腫瘍残存を認めたが、US上は同定できなかった。そこで、レボビストを用いたCHEを施行したところ、明瞭に腫瘍残存部をUS下に描出できた。同部に更にPEITを追加して10 session( 計 15.6 ml)で ablation に成功した。 レボビストを用いたCHEは局所の ablation に有用である。

 

24- 8SLIDE

膵未分化癌が示唆された一例

公立加美病院           畑中 恒

宮城県立がんセンター消化器科   鈴木雅貴  小野寺博義 鵜飼克明

阿子島裕倫 浅野直子

 

膵未分化癌が示唆された一例を経験したので報告する。【症例】74歳、男性。上腹部痛、腹部膨満感を主訴に平成14年1月25日宮城県立がんセンター消化器科を受診。腹部USで膵腫大を認め2月4日精査加療目的で入院。【画像所見】腹部US:膵は全体に腫大し辺縁は凹凸不整で内部エコーは高、低エコーが混在する不整な腫瘤像を呈した。主膵菅の拡張は認めなかった。ERCP:主膵菅は膵頭部〜尾部で狭細像を呈し分枝膵菅は描出されていた。EUS(EUS-FNA時):膵は腫大し内部エコーは不整な中心が高エコー、周囲が低エコーの腫瘤像を呈した。【経過】膵全体癌、転移性膵腫瘍、びまん性膵菅狭細型慢性膵炎の鑑別診断のもとEUS-FNAを施行したがclass3であり経皮的膵生検を施行した。【病理所見】腫瘍組織は髄様に増殖し免疫染色も陰性で膵未分化癌が示唆された。画像上、転移性腫瘍も否定出来なかったが興味深い症例であり報告する。

 

24- 9CDROM

術前卵巣嚢腫が疑われたS状結腸間膜腫瘍の1例

松園第一病院消化器科       石川洋子  工藤典重

松園第一病院放射線科       渡辺 誠  渡辺 諭

松園第一病院臨床検査室      千葉春枝  太田 恵

岩手県立中央病院消化器外科    中野達也  望月 泉

岩手県立中央病院産婦人科     鈴木 博

岩手県立中央病院病理       佐熊 勉

 

症例は42歳女性.平成14年4月15日より3日間下腹部痛、その後下腹部膨満感を主訴として4月22日当科受診。左下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し、腹部超音波検査(US)で長径15cm大の大小のcystic一部solid成分を混在する大きな腫瘤を認めた。MRIでは6.5cm大の主にcystic一部石灰化様部分もみられ左卵巣皮様嚢腫が疑われ、5月1日岩手県立中央病院産婦人科へ紹介した。6月17日手術、付属器に異常なく、S状結腸間膜に嚢胞状腫瘍が認められ同消化器外科にて腫瘍摘出術を受けた。手術所見ではmesorectumからS状結腸間膜内に6×4×4cm大のcystic mass,これと連続してS状結腸間膜内に小嚢胞の集簇を認めたが、血管損傷を避けるため大きなcystと分けて摘出した。摘出標本では大きなcystの内腔に無色透明な漿液が貯留していた。組織学的には、lymphangiomaと診断された。

 

 

3 体表・その他 (11:05-11:45)   座長 済生会山形済生病院 高橋健太郎 先生

 

24-10S-VHS

股関節術後における下肢静脈血栓の検討

済生会山形済生病院臨床検査部   工藤祐一  設楽朗子  齋藤郁子

済生会山形済生病院循環器内科   高橋健太郎

済生会山形済生病院整形外科    石井政次

 

1998年2月よりルーチン化した下肢静脈超音波検査の施行例数は、約4年間で2700例を超える。当院で症例の多い整形外科手術後や、脳外科長期臥床症例、心臓血管外科からの静脈瘤や下腿浮腫が主な検索対象である。整形外科の股関節手術後症例は、全体の1/3を占め、肺動脈血栓塞栓症を予防する目的で当初から離床前にルーチンで施行してきた。

総症例数922(男性115、女性807)で膝窩静脈から中枢側の血栓肢は28(1.5%)、左股関節症例での血栓はほとんど左側に見られ、右股関節症例では右側にやや多く見られた。下腿血栓81例(9.7%)は手術側にやや多い傾向を示したが、発症頻度に左右差はなかった。肺梗塞の合併例、下大静脈フィルター留置必要例(一時型、永久型)等、症例を提示し報告する。

 

24-11SLIDE

最近当院で経験したカテーテルに伴う血栓症

秋田大学第二内科         泉 学   鬼平 聡  津谷裕之  藤原慶正

長谷川仁志 清水 博  斎藤 崇  三浦 傅

秋田大学心臓血管外科       山本文雄

 

【目的】今回我々は中心静脈カテーテルの施行に際して発症したと思われる4症例を報告する。1症例目はループス腎炎に敗血症性ショックを合併したもの、2症例目は、抗GBM抗体型糸球体腎炎に対してステロイドパルス療法を行ったもの、3症例目は原因不明の発熱に対して高カロリー輸液を行ったもの、4症例目は心嚢液貯留を伴う悪性リンパ腫に対して行われたものであった。【結語】4症例中3例は経過中に血小板数は減少傾向を認め、さらにステロイドパルス療法を行われていた。また、4症例中3症例については、5cm以上の大きな血栓であった。中心静脈カテーテルの留置例において血小板数の減少をみた場合にはカテーテルの血栓を念頭に置くべきである。

 

24-12S-VHS

巨大頚動脈瘤の一例

済生会山形済生病院臨床検査部   設楽朗子  工藤祐一  齋藤郁子

済生会山形済生病院脳神経外科   近藤 礼

済生会山形済生病院循環器内科   高橋健太郎

 

症例は、高度肥満を呈する22歳女性。平成13年6月より頚部痛、その後左頸部の腫脹、嗄声にて当院脳外科に入院。血管造影では両側総頚動脈の狭窄と拡張像を認め、左総頚動脈に4Ommの動脈瘤を認めた。頸部エコー上、内膜中膜腹合体の断裂とその外側の瘤状拡大を呈し、内腔はモヤモヤエコーと一部血栓化が見られ、仮性動脈瘤が考えられた。病変部以外の内膜面に不整と炎症所見は認められなかった。当初、繰り返しのダイエット及び頻回のカイロプラクティスの病歴より、外傷性も念頭におかれた。外傷性では退縮する場合があることと、手術の危険性から経過観察となったが、拡大傾向を認め人工血管によるバイパス手術が行われた。病理標本からは大動脈炎症候群が最も疑われた。超音波による経過所見を提示する。

 

24-13SLIDE

乳癌検診におけるマンモグラフィーと超音波の比較検討

東北中央病院外科         堀越 章  齋藤善広  武藤大成  西條 進

 

1995年4月から2001年12月までの当院における乳癌検診数は視触診のみが8293例でマンモグラフィー(MMG)併用が4264例であり、視触診のみの乳癌発見数は13例でMMG併用の発見数は13例であった。各々の発見率は0.16%、0.30%であった。各検査法の腫瘍径別の検出率を見ると非触知例は5例でMMGの検出率が5例100%、超音波(US)が0%。1cm以下は7例でMMGが2例28.6%、USが7例100%。1.1cm〜2.0cmでMMGが8例80%、USが10例100%。2.0cm以上では全ての検査で100%という結果であった。以上より石灰化のみのような症例ではMMGが有用で腫瘍を形成する症例ではUSが有用であることが明らかになった。USとMMGはお互い相補的な検査であると考えられた。

 

 

4 循環器II (14:40-15:30)      座長 平鹿総合病院第二内科 伏見 悦子 先生

 

24-14SLIDE

発作性心房細動における左心耳stunningと心原性脳塞栓発症の関連について

山形大学第一内科         金子一善  廣野 摂  Kaniz Fatema

張 雪華  竹石恭知  久保田功

山形大学脳神経外科        嘉山孝正

 

発作性心房細動における左心耳機能と心原性脳塞栓(CBE)発症の関連について検討。[方法]発症1週間以内のCBE連続86例に対し経食道心エコー図を実施。入院2日以内に心房細動が停止した14例(PAF群;72±10歳、男性9例)と、基礎疾患をもたない発作性心房細動例11例(C群;72±10歳、男性7例)の左心耳機能を比較検討。心房細動停止からTEE施行までの期間は両群ともに6±1日であった。[結果]PAF群はC群に比し左心耳面積(LAA area)が広く、左心耳内面積変化率(LAA-FAC)は有意に低下していた(LAA area; 4.3±1.3 vs. 3.1±1.0 cm2, p<0.05)(LAA-FAC;43±25% vs.80±22%, p<0.01)。PAF群におけるLAA-FACの低下は、2週間の保存的治療後健常レベルに回復した。[結論]発作性心房    細動停止後の左心耳 stunningの遷延は、CBE発症の重要な規定因子となりうる可能性が示唆された。 

 

24-15SLIDE

洞調律における大動脈弓部潰瘍性plaque周辺の渦血流の発生は脳塞栓発症の重要な規定因子である

山形大学第一内科         金子一善  廣野 摂  Kaniz Fatema

張 雪華  竹石恭知  久保田功

山形大学脳神経外科        嘉山孝正

 

 洞調律例における脳塞栓発症の規定因子を検討。[方法]発症1週間以内の急性期脳塞栓連続86に対し経食道心エコー図を実施。入院時より洞調律を示した38例(CE群;70±12歳、男性24例)と、基礎疾患をもたない健常群10例(N群;71±10歳、男性6例)の心機能を比較検討。さらに大動脈弓部プラーク周囲にROIを設定し、レボビスト1,500mgボーラス注入による血流動態評価を実施。[結果]弓部潰瘍性plaque周辺の高度渦血流の頻度は、CE群がN群に比し有意に高値(76% vs.30%, p<0.01)。高度渦血流群は軽度渦血流群に比し有意に血液粘稠度が亢進していた(96% vs.87%, p<0.05)。CE群における高度渦血流は、2週間の抗凝固療法施行後ほぼ全例で消失した。[結論]大動脈弓部潰瘍性plaque周辺の高度渦血流は洞調律における脳塞栓発症の重要な規定因子と考えられた。

 

24-16S-VHS

脳塞栓症の循環器内科サイドからのアプローチ

済生会山形済生病院循環器内科   高橋健太郎 大友 純  池田こずえ

済生会山形済生病院脳神経外科   近藤 礼

済生会山形済生病院臨床検査部   設楽朗子  工藤祐一  齋藤郁子

 

97年4月から02年6月の約5年で、脳梗塞搬送患者中塞栓が疑われた486例(女性169名)

が循環器内科紹介となった。これら症例に対し、経胸壁心エコー、Holter心電図はほぼ全例、98年2月以降頸動脈エコーをほぼ全例(446例)施行した。症例の状態、年齢を加味し経食道心エコーも施行した(172例)。経胸壁エコーでは、数種の器質心疾患が見られた。経食道心エコーは待期的に施行したが左房血栓は8例(5%)、卵円孔開存5例(3%)、心房中隔瘤20例(13%)、種々の程度のモヤモヤエコー48例 (37%)、また弓部の可動線状血栓、プラーク破綻後と思われる内膜解離、左房内の隔壁様異常構造等が見られた。但しコントラスト剤は数例以外未施行である。基本調律は心房細動、発作性心房細動、洞不全、洞調律が各々24、10、3、62%であり、心室頻拍や上室頻拍が散見された。頸動脈の狭窄、潰瘍病変も数例見られた。原因決定率に言及する。

 

24-17SLIDE

脳梗塞発症と、左室流入血流E/Aの経時的変化の関係

秋田脳血管研究センター内科    藤原理佐子 小野 幸彦

秋田大学医学部第二内科      鬼平 聡  三浦 傅

 

【目的】脳梗塞発症と心房細動の関連性は今まで多く報告されている。発作性心房細動が洞調律に復し心房機能が回復する際に脳梗塞を発症する過程を評価する目的で経胸壁心エコーを用いて検討した。【方法】脳梗塞を発症し当院に入院、画像所見、症状、病歴より塞栓性と考えられる18症例において入院時又は急性期に経胸壁心エコーを施行、左室僧帽弁部の左室流入血流E波及びA波速度を計測しE/Aを算出、E/Aの変化を経時的に計測した。【結果・結語】全て心機能良好、左室拡大やうっ血等心不全所見はなかった。18例のうち5例で年齢の影響を受けずA波高の減高があり初回E/Aの絶対値が1以上、その後A波高が徐々に回復しE/Aが1未満となった。脳梗塞発症の他の原因が見られず心原性塞栓が考えられる症例であった事から、脳梗塞発症時又は入院時早期に心エコーを施行することによりE/Aの経時的変化を捉えられ、原因検索に有用と考えられた。

 

24-18MAC S-VHS

経食道エコーと血管内エコーで観察した右肺動脈血栓症と思われる1例

東北中央病院循環器内科      斎藤 朗  金谷 透  山口佳子

 

症例69歳、男性。主訴: 胸部CTで右肺動脈内腫瘤。既往歴と現病歴:30歳より塵肺、55歳より高血圧があり加療中。昨年、胃癌根治術施行。本年5月24日、経過観察のため胸部CTを施行。その際右肺動脈内に異常腫瘤が認められ当科受診、精査加療のため入院となった。経胸壁エコーでは明らかな異常はなかったが、経食道エコーで拡張した右肺動脈内に塊状エコーを認め、形状より血栓が疑われた。肺動脈圧は51/ 13mmHgで軽度肺高血圧があり、肺動脈内エコーで右肺動脈幹に血栓と思われる塊状エコーを認めた。下肢静脈血栓症や膠原病、凝固系の亢進などの異常はなく、塵肺に合併した極めて稀な症例であり報告した。

 

 

5 消化器II・泌尿器 (15:30-16:00) 座長 山形大学泌尿器科 矢口 博理 先生

 

24-19CD-ROM

腹部症状からみた腹部エコー検査の有用性の検討

医療法人永井医院         奥山真紀  岸 千代  新江明子  永井俊一

医療法人丸岡医院         佐藤秀二

 

【目的】腹部症状を訴える患者に対して、腹部エコー検査(以下US)でどれだけ診断できるかを明らかにする。【対象】平成13年2月から平成14年2月まで、腹部症状を訴え永井医院でUSを施行した249名。【方法】腹痛の部位別に異常所見の有無、最終診断・治療内容を検討した。【結果】腹痛の原因を示唆する所見が得られたのは36例(14%)のみで、胆石、腎結石、腸炎が多かった。USで腹痛の原因を明らかにできなかった213例では、上腹部痛は胃炎、下腹部痛では腸炎で治療された症例が多かった。腸炎と最終診断された症例は91例あり、14例(15%)で腸管拡張、腸内容のうっ滞、腸壁肥厚等の所見を指摘する事ができた。症状と関連はないが、腎癌を2例見つけた。【まとめ】腹痛の原因は消化管疾患が多いためUSで診断できる疾患は少ないが、実質臓器疾患を除外診断し診断精度を高める意義があると思われた。症状を訴える部位以外も丁寧に観察することが大切である

 

24-20SLIDE,

摘出腫瘍径2cm で転移した小腎癌の一例

仙台社会保険病院内科       寺沢良夫 

仙台社会保険病院検査部超音波室  広田むつ子 野村禎子  鈴木とよみ

野村幸宏 須藤誠二

 

【目的】腎癌は発育も遅く,無症状の小腎癌では,その予後も良いことが多い.今回2cmの小腎癌でも、術後1年で転移した症例を経験したので検討した.【症例】58才男.高血圧のUSスクリーニングで,右腎癌と診断.2000年9月28日,腎摘出術(1.7×2.0cm).術後1年で,骨,肺,リンパ腺転移し,左大腿骨バイオプシーで,clear cell carcinomaが証明された.病理:淡明細胞亜型,pT1a,G2>G3,INFβv(+)で,腫瘍被膜の断裂,腎内静脈へ浸潤していた.無症状の小腎癌といえどもUS,CT等で腎癌が強く疑われた症例では,手術すべきと考えられた.

 

24-21

ドプラ断層法による腎移植後急性拒絶反応時の移植腎血流測定の経験

山形大学医学部泌尿器科      矢口博理  飯島良明  三浦道治  舘野 正

一柳 統  増田智一  内藤 整  久保田洋子

 

【目的】腎移植後の急性拒絶反応の診断方法の一つとして、超音波ドプラ法が広く利用されてきている。当施設においても、超音波ドプラ法にて急性拒絶反応と診断した3症例について腎生検を行い、病理組織学的所見と比較しその有効性を検討した。【対象と方法】生体腎移植を受けた25歳男性、24歳男性、26歳女性の3症例について、血清クレアチニン値上昇時に超音波ドプラ法を施行し、同時に行った腎生検による病理組織学的所見と比較するとともに、腎機能安定時と腎機能回復時の血流パターンと比較した。【結果】3例ともクレアチニン値上昇時は、Peak flow velocitiesの低下及びResistive Indexの上昇を認め、急性拒絶反応と診断し病理組織学的所見に矛盾しないものであった。【考案】腎移植後の急性拒絶反応の診断において、超音波ドプラ法は低侵襲で有効であることが確認された。

 

 

6 基礎 (16:00-16:40)        座長 東北大学大学院工学研究科 金井 浩 先生

 

24-22WIN

参照画像ファイリングシステムとその運用

医療法人丸岡医院         佐藤秀二  丸岡 喬

医療法人永井医院         岸 千代  奥山真紀  新江明子  永井俊一

 

画像ファイリングシステムはフィルム保管が不要でしかも画像検索が容易なため急速に普及してきているが、その導入には新たな経済負担など障害も少なくない。当院ではカルテの電子化を視野に、簡便で安価な画像ファイリングシステムを導入し、LAN構築にて活用している。運用は、ホストコンピューター(内視鏡室)にライズ社ScopeReader-J1Lightを用い、内視鏡検査装置と超音波検査装置のRGB端子出力画像が互いに干渉しないよう切替えスイッチを取り付け編集し、内視鏡室・診察室双方のパソコンで検査画像の参照・検索・モニターが可能な簡単なシステム運用である。経済性を考え、参照パソコンやLANケーブルは既存の物を使用し、容量を確保するため高価なサーバーやオートチェンジャーの代わりに安価な外付HDを取り付けた。また、超音波装置に画像出力用のフットスィッチを付け作業効率を上げる工夫をした。

 

24-23WIN

腹部超音波診断画像を構成する対数信号レベルの分布についての考察

社会保険中央総合病院       浅野目容子

東京工業大学           大槻茂雄

新赤坂クリニック         谷田部真由美

 

従来より、腹部超音波診断画像の輝度分布についての解析が行われているが、これらは装置のゲインなどの設定に依存している。そこで、我々はゲインを定量的に扱うことを提案した。(日本超音波医学会第75回学術集会、関東甲信越地方会第14回学術集会) これにより、腹部超音波診断画像を構成する信号を対数信号のレベルの分布として、ゲインに依存しないで観測することを可能とした。ここでの対数信号とは、0dBに対応する基準信号レベルを設定し、この大きさ以下の信号はすべて基準信号レベルとし、対数信号の正負はもとの信号の正負に対応させる。そして対数信号のレベルは対数信号の包絡線の大きさとする。この方法により、腹部超音波断層画像を構成する対数信号レベルの分布を実測したところ、特長ある結果が得られたので報告する。結果の検討は超音波検査法フォーラム、工学勉強会のメンバーの協力を得た。

 

24-24WIN

動脈壁の粘弾性特性計測を目指した外部加振による動脈壁振動の計測

東北大学大学院工学研究科     長谷川英之 金井 浩

東北大学大学院医学系研究科    小岩喜郎

 

【目的】著者らは, 超音波を用いて動脈壁弾性特性を評価する手法の開発を行ってきた.動脈壁の弾性特性を計測することで,平滑筋・線維組織・脂肪組織等,弾性率の大きく異なる組織の分類は可能であると考えられるが,血栓と脂肪組織等,弾性率のあまり変わらない組織の分類は難しい等の限界があると考えられる.より高精度な組織性状診断を行うために,著者らは,計測部位近傍の動脈を外部から加振することにより内圧変化を発生させ,それに伴う動脈壁の振動を計測することにより動脈壁の粘弾性特性を評価する手法を検討している.本報告では,基礎実験及びヒト頚動脈におけるin vivo実験において,外部加振により発生する動脈壁の厚み変化の計測を試みた.【方法】基礎実験では,超音波による振動計測部位から約20 cm離れた部位に加振器を用いて振動を加えた.また,in vivo計測においては,上腕動脈の直上の体表から加振器を用いて振動を加え,頚動脈壁の振動を超音波を用いて体表から計測した.【実験結果】基礎実験において加振に伴うミクロンオーダの壁の厚み変化が計測された.また,加振の周波数を変化させた場合にも,それぞれ の周波数に対応する壁の厚み変化が計測された.in vivo計測においても,加振に伴う壁の厚み変化が得られたが,拍動下で安定に壁厚変化を計測するためには,さらに大きな内圧変化を得るための加振方式の検討が必要であると考えられる.

 

24-25WIN

心室中隔壁での振動伝搬の計測

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻     金井 浩

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻     小岩喜郎

東北厚生年金病院               田中元直

 

我々は,拍動によって大きく動いている心臓壁上の振幅数十ミクロン以下の微小運動速度波形を数百Hzまでの帯域にわたり高精度に計測する位相差トラッキング法を開発した.また超音波ビームに沿って,心筋内に数百ミクロン間隔に複数点を設定し,それらすべてに上記手法を適用し,心筋内の各層ごとに瞬時の厚み変化とその速度を算出し,局所心筋の伸縮性の評価を可能としている.本報告では,さらに超音波ビームを任意の10方向に送信することにより,左心室の数百点における微小運動速度波形を同時に計測し、その伝搬の様子を描出した。その結果、収縮期末期の大動脈弁閉鎖の直前において、心基部から心尖部に掛けて、健常者3名では、6-7 m/sでパルス状の振動が伝搬していた。一方、大動脈狭窄症(AS)の患者においては、パルス自体があまり明確ではないが、健常者よりも遅い伝搬速度であった。これらは、横波の伝搬特性の差を示すものと考えられる。

 

 



今回の学術集会のプログラムは下記メンバーによる

プログラム委員会で決定しました。

 

東北中央病院     金谷 透  山口佳子

済生会山形済生病院  高橋健太郎

山形大学第一内科   廣野 摂  金子一善

山形大学第二内科   牧野直彦

山形大学泌尿器科   矢口博理

山形大学臨床検査部  加賀谷茂