日本超音波医学会 東北地方会

25回学術集会 プログラム・抄録集

 

 

 

 

 

 

日   時 : 平成1539() 900− 1724

場   所 : 艮陵会館 記念ホール

       仙台市青葉区広瀬町3-3-4 (tel: 022-227-2721)

大 会 長 : 東北公済病院 棚橋 善克  

特別講 : 「心臓超音波の最近の進歩」

        講師:田中元直先生(結核予防会宮城県支部)

        14時35分-15時35分

参 加 費 : 1,000

地方会URL http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~jsum/

連 絡 先 : 980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉 05

       東北大学大学院工学研究科 電子工学専攻内

       日本超音波医学会 第25回東北地方会事務局

       Tel: 022-217-7081,Fax: 022-263-9444

E-mail: jsum@ecei.tohoku.ac.jp

 

 

 

 

講演者へのお願い:

・一般演題は,1題につき発表時間8分,討論時間7分の合計15分間です.

 症例報告は,1題につき発表時間5分,討論時間3分の合計8分間です.

発表方法は原則としてすべて会場PC使用で,Power Pointのみとなります.

・会場には,PowerPoint2000が使用できる画面サイズ1024×768Windowsコンピュータ,

Macintoshコンピュータ,そのprojectorを用意します.

・事前申込の際のコンピュータ(WindowsWinMacintoshMac),記録メディア(CD-ROMCD-ROMMOMO)を講演番号に記してありますが,当日は受付にて使用機器,記録メディアの再確認をお願いします.

・演者は,発表予定時刻の1時間前までに受付を済ませてください.

Power Pointのスライド枚数は制限しませんが発表時間を厳守してください.

・発表のPowerPointファイル(動画像等も含む)PowerPoint2000で表示できることを確認の上,CD-ROMFDMOのいずれかを33()までに上記連絡先へお送り下さい.

 

 

発行日: 平成15214

 


日本超音波医学会

3回東北地方会講習会

(25回学術集会併設)のお知らせ

 

3回東北地方会講習会(25回学術集会併設)を,下記の要項で開催いたします.ご出席頂いた超音波専門医,超音波検査士の方には,5単位の研修・業績単位が与えられます.

 

開催日時: 平成1539() 12:3014:30

会  場: 艮陵会館  仙台市青葉区広瀬町3-34  TEL: 022-227-2721

講演題目:(1)基礎系(12:30-13:30)   座長 東北大学工学研究科 金井 浩先生

わかりやすいコントラストの基礎知識

     講師 長井 裕先生(東京マイクロデバイス技術部)

 

    (2)臨床系(13:30-14:30) 座長 宮城県立がんセンター 小野寺博義先生 

「腹部超音波の落とし穴」

     講師 秋本 伸先生(横浜総合病院外科)

:  1,000 (学術集会参加費とは別途徴収いたします)

定  員:   100

申込期限:   平成1533()

弁当販売:  今回,講習会参加者のお昼休みは,11:5712:3030分程度しか

ありませんので,ご希望によりお弁当を販売することに致しました.

事前申込のみの受付で当日の販売は致しませんので,

予めご了承ください.

弁当価格: 1,000(講習会参加費とは別)

申込方法:   氏名,連絡先住所,電話番号,FAX番号,お持ちの方はE-mailアドレス,

お弁当ご希望の方は「弁当希望」を明記の上,下記までFAXE-mail

または郵送でお申込ください.

 


 

講習会申し込み・問い合わせ先


 

 

 

980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉05

東北大学大学院工学研究科 電子工学専攻内 

日本超音波医学会東北地方会第25回学術集会事務局

金井 浩宛(担当 松尾智子)

TEL: 022-217-7081FAX: 022-263-9444

E-mail: jsum@ecei.tohoku.ac.jp

地方会ホームページ: http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~jsum/

 

なお,日本超音波医学会東北地方会第26回学術集会・第4回講習会は,平成15921()秋田県横手市にて開催予定です.


 

開会の挨拶(9:00-9:05)         大会長 東北公済病院 棚橋 善克 先生

 

1         循環器・呼吸器T(9:05-9:51)   

座長 東北厚生年金病院 仁田 桂子 先生

 

25- 1Win,CD-ROM 【一般演題】

超音波により計測された心室中隔壁振動のウェーブレット解析

東北大学工学部電子工学科          菊池奈津美

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻    金井  浩

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻    小岩 喜郎

 

【目的】著者らは,超音波を用いて心室中隔壁振動の計測を行っている.本報告では,心室中隔壁振動のウェーブレット解析を行い,心筋の1心周期内での変化を検討する.【方法】位相差トラッキング法によりin vivo計測された健常者の心室中隔壁の微小振動速度に関してウェーブレット解析を行なった.【結果】急速流入期と比較して,緩徐流入期,心房収縮期では,80Hz以上の周波数帯域において振動速度の振幅は1/31/2になる.【結論】本報告では,健常者における心室中隔壁振動のウェーブレット解析を行なった.健常者では,左室流入量の多くが急速流入期に流入し,また拡張期初期1/3に血液の全流入量の多くが左室に流入することから,左室内腔に血液が流れ込むことにより生じた渦や乱流が加振源となり急速流入期に高周波振動が発生したのではないかと考えられる.

 

25- 2Win,CD-ROM 【一般演題】

大動脈弁閉鎖による心室中隔壁でのパルス波伝搬のイメージング

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻    金井  浩

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻    小岩 喜郎

東北厚生年金病院              田中 元直

 

我々は,拍動によって大きく動いている心臓壁上の振幅数十ミクロン以下の微小運動速度波形を数百Hzまでの帯域にわたり高精度に計測する位相差トラッキング法を開発した.また超音波ビームに沿って,心筋内に数百ミクロン間隔に複数点を設定し,それらすべてに上記手法を適用して,心筋内の各層ごとに瞬時の厚み変化とその速度を算出し,局所心筋の伸縮性の評価を可能としている.本報告では,さらに超音波ビームを任意の10方向に送信することにより,左心室の数百点における微小運動速度波形を同時に計測した.さらに,その速度波形に短区間フーリエ変換施し,得られた位相値を数百点で求めカラーコードによってカラー画像を生成した.このカラー画像を数ms間隔で表示することによって,心筋上をパルス状の振動が伝搬する様子を画像化することに成功した.この伝搬速度が健常者3名に関して,3.2-4.6 m/sであることから,これはずり弾性波の伝搬であると考えられる.

 

25- 3Win,CD-ROM 【症例報告】

大動脈弁のvariation

済生会山形済生病院循環器内科        高橋健太郎,大友  純,池田こずえ

 

ここ5年ほどで経験した大動脈弁疾患に伴う大動脈弁奇形について,動画でまとめたので報告する.四尖弁,四尖弁の不完全型,rapheを伴う二尖弁,両葉ほぼ均等な二尖弁,極めて稀と思われる成人の一尖弁であった.経胸壁ですべて疑診はなされたが,経食道心エコーで鮮明に構造が確認された.一部症例は本会で以前症例提示した.

 

25- 4Win,CD-ROM 【症例報告】

塞栓症をきたした病変の超音波所見

済生会山形済生病院循環器内科        高橋健太郎,大友  純,池田こずえ

 

脳血管をはじめとする各所の塞栓症例での原因検索を施行して得られた興味深い疾患の超音波所見をビデオ提示する.左手塞栓の鎖骨下動脈瘤内血栓,脊髄梗塞の腹部小動脈瘤,脳塞栓の大動脈弓部プラーク破綻後と思われる症例,paradoxicalembolismを呈した小心房中隔欠損の若年例,下肢梗塞を起こした感染性心内膜炎尤贅が大腿動脈分岐部で可動性に見られた症例の5例である.

 

 

2         循環器・呼吸器U(9:51-10:22

座長 東北大学医学系研究科 小岩 喜郎 先生

 

25- 5Win,CD-ROM 【一般演題】

経食道心エコーで観察可能なone lung ventilationモデル

弘前大学医学部附属病院集中治療部      坪  敏仁

 

我々は犬でone lung ventilation時に経食道エコーを用いて,局所肺血流量を測定できるモデルを作製したので報告する.【方法】8頭の雑種成犬(8-13kg)を使用し,ダブルルーメンチューブを用いone lung ventilation下に,左肺をブロックした.経食道エコーを用い,下行大動脈を介して,左肺底部を観察した.局所の肺静脈を観察し,ドップラー法で血流を解析した.イソプロテレノールおよびドブタミン投与時の時間速度積分値およびシャント率変化を検討した.【結果】イソプロテレノールで,肺静脈時間速度積分値は3.29±1.62minから10.28±5.57minと上昇し,シャント率も増加した(p<0.01).両者の間には強い相関を認めた(r=0.77p<0.05).【結論】経食道エコーを用いてone lung ventilation時の局所肺血流測定が可能であった.また薬剤による,酸素化能の障害とシャント血流量との関係を把握できた.

 

25- 6Mac,MO 【症例報告】

手術適応判断に超音波診断が有効であった左肺無気肺,胸水貯留左肺門部扁平上皮癌の1切除例

 財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院生理検査科超音波室 武藤 文彦,松田美津子,

                              小室 和子,斎藤 満儀,

                              山寺 幸雄

財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院呼吸器センター外科 高橋 博人,山中 秀樹,

                              須田 秀一

 

【はじめに】左肺無気肺,胸水貯留を来した進行左肺門部肺癌に対し胸部USTUSEUS等の超音波診断により手術適応と判断し,手術を施行したので報告する.【症例】67歳,男性【主訴】咳嗽【現病歴】H14.3頃より主訴出現.7月頃より発熱も伴い8.7当科紹介,入院.【入院後経過】CTで左肺無気肺,胸水貯留,左肺門部に腫瘤影を認めた.BFでは左主幹を閉塞する腫瘍を認め,扁平上皮癌の診断.胸水はclass?.胸部USでは左肺動脈本管,左下肺静脈への浸潤はなく,TUSでは左主幹の腫瘍は気管内に限局しており,周囲への浸潤は左主幹の遠位部でのみ認められ,気管支切離も可能と判断.遠隔転移を認めず,UPAOも許容範囲内であり,以上より手術適応と判断した.9.11左肺全摘+心膜合併切除+肺動静脈形成術を施行.術中USでも切除可能と判断.現在外来経過観察中である.【結語】進行左肺門肺癌切除において超音波診断が手術適応判断に有効であった.

 

25- 7Mac,MO 【症例報告】

術中胸部超音波検査が切除判断に有効であった浸潤型胸腺種stageWa1切除例

 財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院呼吸器センター外科 高橋 博人,山中 秀樹,

                              須田 秀一

 財団法人太田綜合病院附属太田西ノ内病院生理検査科超音波室 武藤 文彦,松田美津子,

                              小室 和子,斎藤 満儀,

                              山寺 幸雄

 

【はじめに】今回我々は術前MRIで肺動脈浸潤が疑われたWa期胸腺腫に対し,術前・術中胸部USで浸潤なしと判断し,播種巣を含めて切除し得たので報告する.【症例】67歳,女性【主訴】胸部異常影【現病歴】H14年検診で主訴指摘され12.6入院.【入院後経過】胸部CTで前縦隔から大動脈,左肺動脈に接する腫瘍及び左胸壁,横隔膜上にも腫瘍を認めた.針生検で胸腺腫と診断.MRIで肺動脈本管と腫瘍の境界脂肪層が不明で,浸潤が疑われた.胸部USで腫瘍と肺動脈は接するものの肺動脈の拍動は良好で,浸潤はないと考えられた.12.18手術を施行.【手術所見】開胸時,前縦隔腫瘍及び横隔膜上に多発性の播種性転移巣を認めた.術中USで大動脈及び肺動脈への浸潤を認めず切除可能と判断.大動脈,左肺動脈を腫瘍から剥離し,原発巣の全摘及び播種巣を可及的に切除した.小播種巣はアルゴンレーザービームで焼却した.術後経過良好で,12.28退院.

 

 

3         基礎(10:27-11:57)     

座長 東北大学加齢医学研究所 西條 芳文 先生   

 

25- 8Win,CD-ROM 【一般演題】

超音波断層画像から漏出したモデル信号に関するハーモニクス

 代々木病院健診課              奥出  宏

 東京工業大学                大槻 茂雄

 新赤坂クリニック              谷田部真由美

 社会保険中央病院              浅野目容子

 

超音波断層画像をもとに生体内での超音波現象を解明するため,超音波断層画像と密接な関係にある超音波探触子の出力信号(RF信号)から画像が作成される過程で,超音波断層装置内で行われる信号処理をモデル化することが必要である.そこでこの信号処理過程を(1)受波したRF信号を対数信号に変換する機能(2)高周波信号を増幅する機能(3RF信号の振幅を取り出し輝度信号に変換する振幅輝度変換機能の3つのブロックとして捉えた.この単純化した機能をもとに,実際の受波信号から超音波断層画像を作成するコンピュータプログラムを作成した.さらに,この超音波断層画像作成の逆過程として,画像の輝度情報から周波数が既

知という条件で受波信号を作成し,これをモデルRF信号と名づけた.この信号の特徴を知る第一歩としてハーモニクスに着目し,超音波断層画像の作成過程を検討し,新たな画像を構成することができた.

 

25- 9Win,CD-ROM 【一般演題】

短軸断面における動脈壁弾性率断層像の描出のための厚み変化計測

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻    中川 望美,長谷川英之,金井  浩

 

目的】本研究グループでは, 拍動に伴う数十ミクロンの微小な動脈壁厚変化を超音波を用いて非侵襲的に計測し, 壁の弾性率特性を評価する手法を開発している. リニア走査において, 超音波ビームと壁が直交する範囲が広いことから, 血管長軸断面での計測が行なわれている. 一方短軸断面では超音波ビームと血管壁が直交する領域が中心部に限定されることから広範囲にわたる計測は難しい. 本報告では, 短軸断面において広範囲に厚み変化の計測を可能とするために, 超音波ビームが常に血管壁に垂直に入射するようなビーム走査法の検討を行った. 【実験】ヒト頚動脈の短軸断面を, 通常のリニア走査と本手法による走査法で計測した. 【実験結果】同一部位の計測結果を比較したところ,通常のリニア走査で厚み変化が再現性良く計測されていなかった部位でも, 本走査では厚み変化が適切に再現性よく計測されていた. 【結論】本手法により短軸断面での広範囲における厚み変化の計測が可能であると考えられる.

 

25-10Win,CD-ROM 【一般演題】

音響放射力による低周波加振に伴う対象物変位を用いた粘弾性計測

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻    道下 和昭,長谷川英之,金井  浩

 

【目的】

安全基準を考慮した範囲で音響放射圧PR(t)を用いて低周波加振を行い,得られた対象物の厚み変化Δh(t)から粘弾性特性を推定する.【方法】 周波数がΔfだけ異なる連続波を加算した超音波を送信し,音響放射圧PR(t)を用いて対象物を差周波数Δfで低周波加振する.加振用の超音波ビームと変位計測用の超音波パルスとの干渉を避けるため,変位計測の区間では加振用超音波の送信を停止する.変位の計測法として,本研究グループで開発した位相差トラッキング法を用いた.【実験結果】差周波数Δfで変化するミクロンオーダの微小な厚み変化Δh(t)を計測した.対象物の粘弾性モデルとしてVoigtモデルを適用することにより,弾性率の周波数特性から静的弾性率ESおよび粘性率ηを推定した.【結論】本手法を生体組織に適用すれば,放射圧PR(t)による対象物変位の振幅特性から圧力の計測なしに対象物の非侵襲的な組織性状診断に応用できる可能性がある.

 

25-11Win,CD-ROM 【一般演題】

動脈壁の粘弾性特性計測を目指した外部加振法に関する基礎的検討

東北大学大学院工学研究科          長谷川英之,金井  浩

 東北大学大学院医学系研究科医科学専攻    小岩 喜郎

 ハーバード大学               James P. Butler

 

【目的】著者らは,外部加振法による動脈壁粘弾性計測を検討している.本報告では,シリコーンゴムチューブの弾性率の周波数及び内圧依存性を外部加振法により計測した.【方法】超音波による壁厚変化の計測部位から約20cm離れた部位に加振器を用いて振動を加え,内圧変化を発生させた.【結果】2.5Hz から20Hzまで2.5Hz間隔で加振を行い,壁厚変化と内圧から複素弾性率の絶対値を算出したところ,1.8MPa(2.5Hz)から3.4MPa(20Hz)まで弾性率が増加した.別途計測した静的弾性率は1.5MPaである.また,平均内圧を変化させると,弾性率が1.6MPa(31.5mmHg)から2.3MPa(72.9mmHg)まで増加した.【結論】模擬血管の弾性率の周波数

及び内圧依存性を外部加振法により計測した.周波数と共に弾性率は増加した.直流付近では静的弾性率に近づくことから,壁粘弾性を反映している可能性がある.また,内圧上昇による弾性率の増加は,内圧-ひずみ関係の非線形性によるものと考えられる.

 

25-12Win,CD-ROM 【一般演題】

動脈壁のずり粘弾性特性推定を目指した振動伝搬の基礎検討

 東北大学大学院工学研究科電子工学専攻    砂川 和宏,金井  浩

 東北大学大学院医学系研究科医科学専攻    小岩 喜郎

 東北厚生年金病院              田中 元直

 

【目的】血流によって発生した動脈壁振動を空間的に計測し,その周波数特性から弾性波の伝搬特性を検討し,組織の粘弾性推定の可能性を示す.【方法】我々の開発した『位相差トラッキング法』を用いて動脈壁内膜側と外膜側の振動を空間的に同時計測し,コヒーレンス関数を用いて,内膜側に発生した振動の伝搬の周波数特性を求め,振動伝搬の評価を行った.【結果】動脈壁の深さ方向について,約150Hzまでの高いコヒーレンスが得られたが,軸方向,斜方向では約50Hz以上では低い結果となった.血流による微小な加振力での生体組織内の振動は,圧縮性の縦波はほとんど発生せず,非圧縮性の横波が発生する.動脈壁表面では複数の加振源があるために,軸方向では深さ方向に対して,低い結果となったと考えられる.深さ方向では振動が横波の速度で伝搬していると考えられ,横波の伝搬特性から,ずり粘弾性を推定できる可能性が得られた.【結論】血流によって発生した動脈壁振動の伝搬特性から,組織のずり粘弾性特性の推定の可能性が得られた.なお,本研究は,日本超音波医学会研究開発班の研究の一環として行われた.

 

25-13Win,CD-ROM 【一般演題】

スポンジの伸縮における超音波後方散乱の高周波変動に関する検討

東北大学工学部電子工学科          泉  直行 

東北大学大学院工学研究科電子工学専攻    金井  浩,長谷川英之

東北大学大学院医学系研究科         小岩 喜郎

東北厚生年金病院              田中 元直

 

【目的】著者らは,心臓壁からの超音波後方散乱(IB)による,定量的な心臓の組織性状診断の可能性を検討している.本報告ではスポンジからの超音波後方散乱信号を計測し,その解析を行った.【方法】約1秒間隔で圧縮,開放を繰り返すスポンジに対し,超音波診断装置のプローブから超音波パルスを送受信した.【結果】IB波形に,スポンジの圧縮する周期(約1Hz)よりも短い周期(約20Hz)の変動が現れた.【結論】心臓壁を模擬したスポンジを用いてIB計測を行ったところ,圧縮周期より短い高周波変動が現れた.この原因は異なる速度を持つ2つの反射体からの反射波の干渉が考えられる.干渉によるIBの変化は厚み変化に対応していると考えられ,心筋の伸縮特性が評価できる可能性があると考えられる.今後は狭帯域フィルタを用いて,散乱体の間隔の違いから現れる周波数ごとのIB波形の違いなどを比較しながら,IBの変動原因を検討する.

 

 

4 腹部・整形外科・泌尿器T(15:45-16:09

座長 公立置賜総合病院 鵜飼 克明 先生

 

25-14Win,S-VHS 【症例報告】

造影超音波が診断に有用であった肝FNH1

 秋田赤十字病院消化器科           小宅 仁子,石田 秀明,小松田智也

 秋田赤十字病院放射線科           宮内 孝治,平安名常一

 秋田赤十字病院病理部            斉藤  謙

 秋田大学第一内科              紺野  啓,大高 道郎,渡邊 純夫

 

【症例】24歳男性.一過性の腹部不快感を主訴に当科受診.生化学データ正常.腹部超音波で肝S63×4cmの孤立性腫瘤を認めた.腫瘤内部は周囲肝に比しエコー輝度の若干高い領域と低い領域が混在し,後方エコーの変化やHaloを欠くもので,カラードプラ上血流に富んでいた.レボビストを用いた造影検査では造影早期から腫瘤内部に多数の微細血管が濃染され,全体に車軸状構造を示し,肝限局性結節性過形成(以下FNH)が強く疑われた.CTMRIでは腫瘤内部の中心瘢痕は認めるも車軸状構造は表現出来なかった.肝動脈造影上車軸状構造が認められ,超音波下生検でFNHと最終診断し現在外来で経過観察中.【診断装置】東芝社製アプリオ.【まとめ】以上の様に超音波造影法はhypervascular tumorの内部血管構築の詳細な把握に極めて有用と考えられる.特にFNHのように画像診断の結果がその後の治療法の決定に大きな影響を与える疾患では積極的に超音波造影法を用い診断の精度を向上させるべきと思われる.

 

25-15Win,S-VHS 【症例報告】

肝門部paraganglioma1

秋田赤十字病院消化器科           小松田智也,石田 秀明,小宅 仁子,

                       鈴木 俊夫

 秋田赤十字病院放射線科           宮内 孝治,平安名常一

 秋田赤十字病院病理部            斉藤  謙

 秋田赤十字病院外科             大内慎一郎

 

【症例】46歳男性.人間ドックで指摘された肝門部腫瘤の精査目的に当科受診.腹部超音波上病変は6×4cmの内部エコー均一な類円形腫瘤でカラードプラ上非常に血流に富んでいた.腫瘤の特徴からparagangliomaCastlemanリンパ腫を最も疑った.レボビストを用いた造影検査では造影早期から腫瘤内部に多数の微細血管が濃染され,直ぐに近接した門脈本幹も強く造影された.CT,血管造影所見も基本的に同様であった.腫瘤摘出術が施行され,肝十二指腸靱帯由来のparagangliomaと最終診断された.【診断装置】東芝社製アプリオ.【まとめ】超音波造影法はhypervascular tumorの内部血管構築の詳細な把握に極めて有用と考えられる.本例では,腫瘤の位置,超音波像から腫瘤を鑑別診断上paragangliomaCastlemanリンパ腫に絞り込むことが可能であった.なお,腫瘤と門脈本幹間の微細交通枝の存在が鑑別診断にどの程度寄与するかは,今後同様の症例の蓄積が必要である.

 

25-16Mac,MO 【症例報告】

超音波診断が困難であった脂肪肝,NASH(Non-Alcoholic SteatoHepatitis)の1例

 仙台市立病院消化器科            矢島 義昭,高橋 信孝,山岸 初志,

                       宮崎 敦史,杉山 幸一,枝  幸基

 

一般に脂肪肝の診断は,肝炎ウイルスの関与を否定した後に,超音波診断で肝腎コントラスト陽性をもって推定される.次に減量に伴って肝障害の改善が認められれば診断は更に確かなものになる.今回,肝腎コントラスト陽性より脂肪肝を疑うも,体重の推移と無関係の肝機能の変動より,他の病態を疑い肝生検を施行したところ,NASHであった症例を経験したので報告する. 患者は59才の女性で,高血圧で当院に通院中であったが,肝障害の悪化が認められて当科に紹介となった.超音波診断で肝腎コントラスト陽性であったので,脂肪肝を疑い減量を計ったが(BMI 28.6>25),体重の減少に伴い肝腎コントラストも改善したが,肝障害の改善が見られなかった.そこで超音波下肝生検を施行した.入院時の検査成績は GOT 214 IU/LGPT 269 IU/LALP 231 IU/LLDH 662 IU/L,γ-GTP 55 IU/LTB 0.4 mg/dL,総コレステロ−ル213 mg/dL,中性脂肪117 mg/dLHBsAg(-)HCVAb(-)であった.生検組織所見は中等度の脂肪化とbridging fibrosis が認められたが,門脈域のリンパ球浸潤は認められなかった.その後は厳格な減量により肝障害の改善が得られている.NASHのなかには,一見,体重減少と無関係の肝障害の変動が認められる症例があり,NASHの診断,病態解明との関連で興味深い.

 

 

5         腹部・整形外科・泌尿器U(16:09-16:33

座長 宮城県立がんセンター 鈴木 雅貴 先生

 

25-17Win,CD-ROM 【症例報告】

術前胆嚢癌が疑われた慢性胆嚢炎の1

 松園第一病院消化器科            石川 洋子,工藤 典重

 松園第一病院外科              岡本 和美

 松園第一病院放射線科            渡辺  誠,渡辺  諭

 松園第一病院臨床検査室           千葉 春枝,太田  恵

 岩手県立中央病院消化器外科         望月  泉

 岩手県立中央病院病理            小野 貞英

 

症例は62歳,男性.主訴は腹部重圧感,上腹部痛.既往歴: 数年前より高血圧,高脂血症.現病歴: 10年前胆石を指摘され,時々仙痛発作あったが放置.'02.8.04. 夜,腹部重圧感を訴え, 8.05. 当科受診.USで頚部に径20mm大のSEdebrisを認め胆石+胆嚢炎入院.TBil4.5mg/dl DBil2.8mg/dlGOT471IUGPT371IUALP1263IU,γ-GTP934IUCA19-9 13348. 09. CTにて胆嚢壁肥厚著明,胆石+慢性胆嚢炎.8.15. US: 結石の他に胆嚢体部後壁に壁肥厚と不整隆起を認め胆嚢癌が疑われた.8.20. MRCP: 頚部に2ケの結石像.以上の検査所見より進行胆嚢癌が疑われ,8.28. 岩手県立中央病院消化器外科へ紹介入院.8.30. DSA: 肝動脈造影にて胆嚢体部肝床側に約10cmの不整なtumor stainがみられ,肝床浸潤を伴う胆嚢癌疑い.9.05. 胆嚢摘出術.胆嚢管に結石嵌頓みられ,胆嚢全体の壁肥厚著明で,組織学的には炎症性細胞浸潤と,著明なfibrosisを認める慢性胆嚢炎であった.

 

25-18Mac,MO 【症例報告】

膵膿瘍の1

 公立加美病院内科              畑中  恒

 宮城県立がんセンター消化器科        鈴木 雅貴,小野寺博義,鈴木 真一

 

【はじめに】今回我々は膵膿瘍の一例を経験したので報告する.【症例】51歳,男性【主訴】発熱,黄疸【既往歴】35歳〜: 糖尿病【現病歴】平成14520日より発熱と黄疸が出現し521日に宮城県立がんセンター消化器科を受診.腹部USで膵頭部に低エコー腫瘤像を認め精査加療目的で入院となった.【腹部US】膵頭部〜鈎部にモザイク状の低エコー腫瘤像を認め主膵管および肝内,肝外胆管は拡張していた.また著明な膵石を認めた.【ERCP】膵管は口径不同を認めるも狭窄,閉塞を認めなかった.【EUS-FNAB】画像診断の結果,腫瘤形成性膵炎が疑われたが膵癌も否定できず穿刺したところ白色調の膿汁が吸引された.細胞診ではclass2であった.【経過】退院時ERBDを施行し,以後厳重に経過観察とした.平成151月にチューブステントを抜去したが胆管の狭窄は改善していた.

 

25-19Win,CD-ROM 【症例報告】

腹部超音波検査で検出したIPMT1

みやぎ県南中核病院検査科          八島 香代,鈴木 沙知,鈴木美枝子,

                       鈴木いづみ,植嶋 邦明,大藤 高志

みやぎ県南中核病院消化器科         二井谷友公,蒲生真紀夫,田所 慶一

みやぎ県南中核病院外科           菅野 明弘,吉田  寛,内藤 広郎,

                       高橋 道長,高橋  渉

 

【症例】68歳,男性.上腹部を主訴に当院消化器科を受診.検査の結果,膵腫瘍の診断で入院.【画像所見】腹部US: 膵体部に径2.5cmの境界明瞭な多房性嚢胞性病変が認められた.主膵管は嚢胞と接し,尾部から頭部へほぼ平滑に描出され,径は4mmであった.EUS: 膵体部に主膵管を取り囲むように多房性嚢胞性病変が認められた.嚢胞内に明らかな乳頭状隆起は認めなかった.ERCP: 膵体部に主膵管と交通のある管腔の集簇があり,造影にて腫瘤状に造影された.以上より術前にIPMTと診断され,膵体尾部切除が施行された.【病理所見】主膵管内並びにその分岐膵管内に上皮の乳頭状増殖が認められ,組織像はadenomaで一部にintraductal papillary adenocarcinomaの所見が認められた.【まとめ】膵臓に非充実性の多房性嚢胞を認めた場合でも,悪性の可能性を念頭におく必要があると考えられた.

 

 

6         腹部・整形外科・泌尿器V(16:33-17:19

座長 仙台赤十字病院 北 純 先生

 

25-20Win,CD-ROM 【症例報告】

USスクリーニングにて発見した無症状大腸癌の3

仙台社会保険病院検査部超音波室       野村 禎子,広田むつ子,須藤 誠二,

                       野村 幸宏,鈴木とよみ

 仙台社会保険病院内科            寺沢 良夫

 

大腸癌の多くは,腹痛や便潜血を主訴に,大腸内視鏡と注腸造影にて診断され,腹部超音波検査(以下US)は第一選択として用いられないのが現状である.しかし外科的に切除されるものの殆どはUSにて描出が可能である.(当院では,2002年手術例のうち,69%が検出可能であった.)さらに無症状ながらUSを契機に発見された大腸癌の3例を経験したので報告する.【症例147歳女性 健診USにて肝腫瘍を指摘され,精査目的のため当院内科紹介.先にUSにてS状結腸腫瘍描出.【症例249歳女性 乏尿を主訴に泌尿器科入院.USにてS状結腸腫瘍描出.【症例366歳女性 腹部違和感のため外科入院.退院時USにて,上行結腸腫瘍描出.3例とも便潜血(-),明らかな腹痛(-)であり,その簡便性や非侵襲性から,USが非常に有用であり,今後,大腸疾患におけるUSの適用増加が期待される.

 

25-21Mac,MO 【症例報告】

超音波検査が診断に有用だった腸疾患の3

 石巻市立病院消化器科            赤羽 武弘,蒲  比呂子

 

近年消化管エコーの有用性が広く認識されているが,内視鏡検査程は施行されていないのが実情と思われる.今回,超音波検査が内視鏡前に施行され診断に有用だった腸疾患3例を提示する.症例165歳女性.主訴は腹痛近年消化管エコーの有用性が広く認識されているが,内視鏡検査程は施行されていないのが実情と思われる.今回,超音波検査が内視鏡前に施行され診断に有用だった腸疾患3例を提示する.症例165歳女性.主訴は腹痛,下痢,下血.エコーでは横行結腸―上行結腸を中心に著明な壁肥厚を認め,少量の腹水も認めた.症状が強いこと及び右側結腸優位であることから病原性大腸菌等による腸炎を疑い隔離の上保存的に加療.便培養でO-157が検出された.症例268歳女性.主訴は腹痛,下痢,下血.エコーでは横行結腸を中心に著明な壁肥厚を認め,病原性大腸菌等による腸炎を疑い隔離の上保存的に加療.便培養で赤痢菌(B6)が検出された.症例321歳男性.主訴は心部痛.胃カメラで異常なく神経性胃炎として経過観察されていたが,エコーで上行結腸―回腸末端に限局性の壁肥厚と周囲リンパ節腫大を認めた.クローン病が疑われ,大腸カメラ後,右半結腸切除がなされた.

 

25-22Win,MO 【一般演題】

超音波画像のナビゲーションによる坐骨神経ブロック

Interventional ultrasound navigation in the musculoskeletal system

 東北労災病院整形外科            小松 哲郎信田 進吾千本 英一

                       森  優

 東北労災病院腹部超音波室          山下 安夫桜庭  勝

 

私達の考案した超音波画像ガイド下の坐骨神経ブロック法を報告する.方法: 東芝SSA260A-CESSA380A,セクタ型3.75MHzプローブを使用した.患者にSims位に準じた肢位をとらせ23G150mm長針を,Bモードの超音波画像下に背側から入した.大転子の上縁の位置を確認し,曲線状の高エコー像を示す大転子上縁部に続く梨状筋の画像を得る.梨状筋下に1%塩酸リドカイン10mlとデキサメタゾン1.9mgを注射する.針先は線状の高エコー像として出現するので,針の角度と深さを,画像のマークに沿って進める.注射液を注入すると針先に小円形点状の高エコー像が得られ,薬液がある程度注射されると低輝度の画像は雲母状に拡散し,膨大するので注入の確認は容易である.この方法は容易で安全性が高く,激痛も放射線被爆もなく安定した治療効果が得られる等の利点があり,坐骨神経痛に対する治療法の一つとして有用である.

 

25-23Win,CD-ROM 【一般演題】

腹部超音波検査による尿管結石の検出

 仙台社会保険病院内科            寺沢 良夫

 仙台社会保険病院検査部超音波室       広田むつ子,野村 禎子,須藤 誠二,

                       鈴木とよみ,野村 幸宏

 

【目的】腹部超音波検査(US)における当院の尿管結石の検出ついて検討した.【結果】@期間: 2000.102001.10までの11か月間 A尿管結石のUS所見: 腎門部から尿管をたどり,尿管内の音響陰影を伴うstrong echo B尿管結石の人数214(2: 左右尿管結石) C部位 上部: 118 (2人:左右尿管結石)55%.中部: 25人,11%.下部: 73人,34%(尿管口結石: 40人,19%) D水腎症(+): 172/216(80%)(-): 44/216(20%) E腹痛(+): 173(81%),血尿(+): 45(21%),腹痛+血尿: 36(17%),無症状: 32(15%) F診療科 泌尿器科173人,内科19人,検診11人,腎内科5人,外科4人,小児科1人,婦人科1人. G諸検査の検出能: US213/216(99%)(3: 初回検出不能.蓄尿後再US: 結石の検出可能-100%)KUB135/209(64%)IVP95/145(65%)CT4/6(67%)【考察】USによる尿管結石の検出能は高いことが示された.

 

 

閉会の挨拶17:19-17:24       東北地方会運営委員長 棚橋 善克 先生