開会の挨拶 (8:30-8:35) |
大会長 岩手医科大学附属循環器医療センター 那須 雅孝 先生 |
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T 循環器 (8:35-9:25) |
座長 岩手医科大学附属循環器医療センター 小山耕太郎 先生 |
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平鹿総合病院 臨床検査科 丹波 寛子 先生 |
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30-1 【症例報告】(8:35-8:43) Win |
純型肺動脈閉鎖症の姉弟例 |
岩手医科大学附属循環器医療センター小児科 |
外舘玄一朗,小山耕太郎,高橋 信, |
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神崎 歩,佐藤 陽子 |
純型肺動脈閉鎖症の原因は不明であるが,家族内発生は極めてまれとされ,われわれの調べ得た範囲では2家系の報告があるのみである.われわれは本症の原因として遺伝性を疑わせる姉弟例を報告する.姉:胎児超音波診断で右房拡大を指摘されていた.在胎37週,出生体重3380g.生後のエコーにより,Ebstein奇形による重度の三尖弁閉鎖不全を伴う純型肺動脈閉鎖症と診断した.生後1ヵ月にStarns手術を行い,その後両方向性Glenn手術を経て,2歳時にFontan手術を行った.弟:胎児期に右室の低形成を指摘されていた.在胎41週,出生体重3710g.純型肺動脈閉鎖症で右室低形成が著しく(三尖弁輪径のZ値-6),右室〜冠動脈の類洞交通を伴っていた.生後19日に心房中隔裂開術を,生後27日に体肺短絡手術を行った.2例とも心病変以外の奇形はない.
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30-2 【症例報告】(8:43-8:51)Win |
房室接続不一致を伴う両大血管右室起始症の三例 |
岩手医科大学附属循環器医療センター小児科 |
佐藤 陽子,小山耕太郎,高橋 信 |
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神崎 歩,外舘玄一朗 |
房室接続不一致を伴う両大血管右室起始症はまれである.われわれは3例について超音波診断による解剖学的特徴(区分診断,VSDの位置,および流出路閉塞性病変と心室低形成の有無)と治療戦略を報告する.【症例1】{S, L, D},大動脈弁下VSD,両側肺動脈分岐部狭窄,右室低形成を伴っていた.1心室修復の方針で,肺動脈絞扼術(PAB)とASD拡大術を行った.【症例2】{S, L, D},肺動脈弁下VSDと大動脈縮窄を有した.1心室修復の方針で,大動脈弓再建術とPAB,ASD拡大術を行い,大動脈弁下狭窄(SAS)の出現後にDamus-Kay-Stansel手術を追加した.【症例3】{S, L, L},肺動脈弁下VSDと大動脈縮窄を伴っていた.2心室修復をめざし,大動脈弓再建術とPABを行った.SASが出現したが,ダブルスイッチ手術(Jatene + Senning 手術)により修復した.3例とも経過良好である.
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30-3 【症例報告】(8:51-8:59)Win |
大動脈縮窄複合の超音波診断と初期治療 |
北上済生会病院小児科 |
村上 洋一 |
岩手医科大学附属循環器医療センター小児科 |
小山耕太郎 |
大動脈縮窄複合は心室中隔欠損を合併する大動脈縮窄で,生後早期の動脈管の閉鎖に伴い体血流が途絶し動脈管性ショックを発症する.最近,経験した5例の大動脈縮窄複合を検討し,初期管理上の問題点について報告する.3例はショックのために搬送され(日齢6,11,14),3例とも初診時の心臓超音波検査で動脈管は閉鎖し心筋機能障害を認め,1例は多臓器不全を合併していた.2例に即効性のプロスタグランジン(PGE1)-CDで治療し,1例は動脈管が再開通した.3例とも緊急大動脈再建術が行なわれた.他の2例は心不全のため入院し(日齢3,16),2例とも心室中隔欠損と診断されていた.入院時の心臓超音波検査で大動脈縮窄と動脈管の開存を確認しリポPGE1で治療し,安定した状態で大動脈再建術,心内修復術が施行された.【まとめ】1.新生児期の心原性ショックは大動脈縮窄複合の鑑別が必要である.2.心室中隔欠損の超音波診断では大動脈弓部断面で大動脈縮窄の合併について検査する必要がある. |
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30-4 【症例報告】(8:59-9:07) Win |
左室型単心室の55歳成人例 |
秋田大学医学部内科学講座 循環器内科学分野 |
宗久 佳子,渡邊 博之,土佐 慎也, |
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小泉 恵, 伊藤 宏 |
【症例】55歳女性【主訴】易疲労感【病歴】幼少児より心不全歴あり,以降近医より利尿薬の投与を受けていた.平成16年3月より易疲労感が増強したため,加療目的に当科に紹介,入院となった.【経過】胸部X線で心拡大,両肺門陰影の増強を認めた.心エコー,MRIでは,右大動脈弓,大血管転位,痕跡的右室からの大動脈起始とその後方の拡張した左室,両房室弁の左室への開口を認めため左室型単心室と診断した.肺動脈弁は二尖弁による狭窄を呈しており,肺動脈は著明に拡大し瘤状を呈していた.その後低酸素血症に対し在宅酸素を導入,ジギタリスと利尿剤,ロサルタンによる減負荷療法を行い症状の改善をみた.【総括】非常に稀な心奇形である左室型単心室55歳成人例を経験したので,ここに報告する. |
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30-5 【症例報告】(9:07-9:15) Mac |
頸動脈内に血栓を認めたバルサルバ洞破裂の一例 |
平鹿総合病院 第二内科 |
佐藤 貴子,伏見 悦子,武田 智, |
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高橋 俊明,関口 展代,林 雅人 |
同 心臓血管外科 |
加賀谷 聡,相田 弘秋 |
同 脳神経外科 |
福地 正仁,伏見 進, 米谷 元裕 |
同 臨床検査科 |
高橋久美子,丹波 寛子,佐々木司郎 |
【症例】50歳代,男性【既往歴】高血圧,発作性心房細動【現病歴】平成17年5月2日21時頃,突然,呼吸困難感,顔面,四肢の浮腫が出現し,近医にて心雑音を指摘され当科を紹介受診した.【現症】血圧114/68.心尖部に4/3の汎収縮期雑音を聴取.【胸部レントゲン写真】肺うっ血と心拡大を認める.【心臓超音波検査】バルサルバ無冠動脈洞が右房へ瘤状に突出し,ここを通過して右房内へ流れ込む多量の短絡血流を認める.【心臓カテーテル検査】大動脈造影にてAo無冠尖から右房への大量のシャント血流を認める.シャント率68%.【頸動脈超音波検査】右総頸動脈から内頸動脈にかけて血栓が疑われる異常構造物あり.【経過】頸動脈血栓除去術を施行し,右総頸動脈遠位部から内頸動脈に血栓を認め,強い癒着もなく容易に血管壁から剥離された.バルサルバ洞動脈瘤破裂に対してパッチ閉鎖術を施行し,大動脈側よりパッチ閉鎖を行い,RA側の開口部をタバコ縫合にて閉鎖した. |
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30-6 【症例報告】(9:15-9:25) Win |
循環器検診における心臓血管系超音波検査の意義 |
財団法人 岩手県予防医学協会 生理機能検査課 |
腰山 誠, 米澤 慎悦,山田 毅彦 |
岩手医科大学付属循環器医療センター |
那須 雅孝 |
【目的】健康診断で行っている心臓血管系超音波検査(経胸壁心エコー,ドプラ法による冠動脈エコー,頸動脈,腹部大動脈エコー)の循環器疾患のスクリーニング法としての可能性の検討.【方法】心疾患や脳血管疾患の既往歴を有する群を除いた2,437名を対象とし、追跡調査の結果について検討を行った.【結果】2,437名中797名(32.7%)に所見が認められ,うち284名(11.7%)が医療機関への受診が必要とされた.医療機関からの回答が得られた214名(回収率75.4%)の主な診断内訳は,冠動脈疾患26件,脳血管疾患19件,大動脈瘤6件,拡張型心筋症1件,左房粘液腫1件などである.このなかで6件(狭心症3件,左房粘液腫1件,総腸骨動脈瘤1件,僧帽弁閉鎖不全症1件)が外科的治療の対象となった.【結語】健康診断での心臓血管系超音波検査は,重篤な症状を引き起こす前の心疾患を発見する可能性がある.今後,対象者の長期追跡が必要と考えられた. |
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U 消化器 (9:25-10:01) |
座長 秋田赤十字病院 超音波センター 石田 秀明 先生 |
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大田西ノ内病院 生理検査科 山寺 幸雄 先生 |
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30-7 【症例報告】(9:25-9:33) Win |
脾炎症性偽腫瘍の一例 ―造影超音波所見を中心に |
秋田赤十字病院消化器科 |
山田真美子,石田 秀明,小松田智也, |
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古川佳代子,八木澤 仁,大野 秀雄 |
秋田赤十字病院外科 |
小棚木 均 |
秋田赤十字病院放射線科 |
宮内 孝治,平安名常一 |
秋田赤十字病院病理部 |
斎藤 謙 |
我々はまれな疾患である脾の炎症性偽腫瘍を経験したので,造影超音波所見を中心に報告する.症例は56歳女性.肝機能異常を指摘され当科受診.腹部超音波検査(US)で,脾に3cm大の腫瘤を認めた.血液生化学検査ではAMA20倍,ANA40倍と軽度上昇しているのみで,腫瘍マーカーの上昇も認めなかった.腫瘍は,CTではvascularityに乏しく,MRIでは,T1,T2いずれもlow densityであった.レボビスト造影USでは,血管相早期で脾実質より淡く染影され,その後内部に淡い点状染影を残した.各種画像検査で他に異常も認めず,原発性脾腫瘍の診断で,脾臓摘出術施行.病理組織検査で炎症性偽腫瘍と最終診断された.術後経過良好.使用機種東芝Aplio. |
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30-8 【症例報告】(9:33-9:41) Win |
十二指腸球部腺腫内癌の一例 |
松園第二病院消化器科 |
石川 洋子 |
同 放射線科 |
渡邉 誠 |
同 臨床検査室 |
千葉 春枝,太田 恵 |
岩手県立中央病院消化器科 |
小野 満 |
同 消化器外科 |
望月 泉 |
同 放射線科 |
及川 茂夫 |
同 病理 |
小野 貞英 |
症例は68才,男性.自覚症状(-)【既往歴】昭和51年より下肢血栓性静脈炎で治療中.平成13年前立腺癌の手術.【家族歴】父,膀胱癌.【現病歴】平成16年9月,市の胃がん検診で十二指腸球部変形を指摘され,9月21日当科受診.GIFで十二指腸潰瘍と辺縁隆起を認め,内服治療後のGIFで十二指腸球部に大きな丈の高い広基性隆起性病変を認め生検で腺腫.胃XPで球部前壁に腫瘤像を,US(飲水法)で同部に3.5×3.0cm,1.5×1.6cmの大きな腫瘤像(全体的に高エコー,内部エコー不均一)を認めた.平成17年2月のGIF時生検でも腺腫.しかし大きさから癌を否定できず,岩手県立中央病院消化器科へ紹介.【CT】十二指腸球部内腔に突出する腫瘍像,リンパ節転移なし.一般検査でCA-19-9 40U/ml,膵酵素の軽度高値.4.4幽門側胃・十二指腸球部切除術施行.球部前壁に52×37mm,Isp typeの絨毛状腫瘍で,組織学的に腺腫を母地とする腺腫内癌Well diff.adenoca.,m,ly0,v0,ow(-). aw(-); n(-)であった. |
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30-9 【一般演題】(9:41-9:51) Win |
左側胆嚢例の検討 |
秋田組合総合病院 生理検査科 |
大山 葉子,紺野 純子,吉田千穂子, |
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小沼 知子 |
同 消化器科 |
星野 孝男,横山 治夫 |
秋田赤十字病院 消化器科 |
石田 英明,山田真美子,小松田智也, |
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古川佳代子,大野 秀雄,八木澤 仁 |
比較的まれな左側胆嚢の6例(34-78歳,平均51歳,M:F=1:5)の超音波像を検討し若干の知見を得たので報告する.【結果】(1)肝の変形を伴ったもの1例(肝硬変),伴わないもの5例,(2)胆嚢は全例,肝左葉外側区(S2)の背側に楕円形の無エコー腫瘤として表現された.(3)胆嚢管は通常の位置にあり,左側にある胆嚢頚部から一度右側に直進し,そこから迂回するように再び左側に向かい肝外胆管と交通していた.(4)3例に結石を合併し,その一例に経過観察中に篏噸による疼痛を認めた.(5)肝硬変例では,2年前には胆嚢は通常の位置にみられ,変形の進行に伴い左側に移動したものと考えられた.
【考察】左側胆嚢は,肝左葉外側区の著明萎縮に随伴するものと思われがちであるが,実際には原因不明例が大半であった.胆嚢が通常の位置に描出出来ない場合本症を疑う必要がある.尚,結石を伴い易く,この篏噸や胆嚢炎のみが臨床上の問題と思われた.診断には超音波による(通常の位置に開口する)胆嚢管の確認で十分と思われた. |
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30-10 【一般演題】(9:51-10:01) Win |
当院における膵癌症例の現況 |
仙台社会保険病院 内科 |
寺沢 良夫 |
同 超音波検査室 |
広田むつ子,須藤 誠二,野村 禎子, |
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野村 幸宏,鈴木とよみ |
【はじめに】膵癌は早期診断によって,その予後が左右される.そこで,病理学的に確定診断がついた膵癌手術例68人(うち9人は摘出不能,吻合術または開腹術)の診療科及び無症状例について検討した.【結果】@全例USで腫瘍描出可能,A診断した診療科,検診14(20.6%),泌尿器科11(16.2%),外科7(10.3%),循環器科1(1.5%),腎内科3(4.4%),内科32(47.1%),B腹痛・黄疸のない無症状例は47人(69%),C術後5年以上の生存例:12人(18%)【考察】膵癌の予後向上のためには無症状の小さな膵癌を検出し、早期診断することが重要で,このためにはUSスクリーニングが最もよい検査法と考えられた. |
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V 表在・その他 (10:01-10:35) |
座長 岩手医科大学 産婦人科 室月 淳 先生 |
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中通総合病院 生理検査課 久保田政昭 先生 |
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30-11 【一般演題】(10:01-10:11) Win |
携帯型超音波診断装置を用いた学童スポーツ検診 |
大阪労災病院超音波室 |
山口 睦弘,西川 志津,野村 祐子 |
東京厚生年金病院中央検査部 |
石崎 一穂 |
秋田大学医学部神経運動器学講座整形外科学分野 |
皆川 洋至 |
学童期のスポーツ選手は故障を抱えていても自ら親や指導者に申し出ない限り顕性化しない.また,指導者の中にはいまだに故障=脱落と言った方程式を持った人達がいる.このような環境が深刻なスポーツ障害が後を絶たない背景にある.近年学童スポーツ検診活動が広く行われるようになってきたが,実際の検診は整形外科医による問診,視診,触診が中心で,検診精度は医師の技量によって大きく左右されてしまうのが現状である.秋田大学整形外科教室では,早くから検診に超音波を取り入れ成果を上げている.今回われわれは室内競技(ミニバスケット)と屋外競技(少年野球)に対し,携帯型超音波診断装置(Sonosite)を用いた検診を経験したのでその有用性と今後の可能性について報告する. |
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30-12 【症例報告】(10:11-10:19) Win |
甲状腺乳頭癌との鑑別に難渋した甲状腺内迷入副甲状腺腺腫症例の超音波像
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福島県立医科大学医学部第二外科 |
坂本 渉, 鈴木 眞一,中野 恵一, |
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阿部 宣子,福島 俊彦,竹之下誠一 |
術前甲状腺癌との診断に難渋した副甲状腺機能性嚢胞を経験したのでその超音波像について報告する.症例は57歳,女性.甲状腺右葉の腫瘍にて当科紹介受診した.超音波では甲状腺右葉に径37mmの壁在結節を伴う嚢胞を認め,嚢胞内甲状腺乳頭癌が疑われた.細胞診ではclassUで,血液生化学検査から高カルシウム血症,iPTH高値を認めたのみで,原発性副甲状腺機能亢進症の合併を疑い施行した.99mTc-MIBIシンチにて右葉に軽度の集積像を認めた.術直前に施行した細胞診ではclassV,甲状腺乳頭癌との結果であった.甲状腺乳頭癌に合併した局在未確定の原発性副甲状腺機能亢進症の診断にて甲状腺全摘,両側気管周囲郭清,右頚部リンパ節郭清を施行した.術中両側気管周囲郭清とあわせ副甲状腺の検索をおこなったものの左上1腺を摘出したのみであった。しかし,術後テタニーを呈し,低カルシウム血症およびiPTHが測定感度以下に低下した.術後病理診断は乳頭癌組織は認めず,甲状腺内に迷入していた副甲状腺組織から発生した嚢胞を伴う機能性副甲状腺腺腫であった. |
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30-13 【症例報告】(10:19-10:27) Win |
胎内診断し得た胎児脳室内出血の一例 |
岩手医科大学産婦人科 |
室月 淳, 金杉 知宣,小山 理恵, |
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福島 明宗,井筒 俊彦,杉山 徹 |
早産未熟児にいては脳室内出血に頭蓋内出血の中でもっとも一般的であるが,胎児期に脳室内出血を認めることは比較的まれである.今回われわれは妊娠34週の胎児両側性脳室拡大を紹介され,超音波診とMRIによって脳室内出血および出血後水頭症と診断し得た症例を経験した.超音波断層法において,胎児側脳室レベルでの水平断面にて両側脳室拡大を認め,右脳室前角から側脳室にかけて嚢胞状となった大きな凝血塊を認めた.また冠状断面で右側脳室前角と第3脳室の間にも同様の凝血塊を認めた.第3脳室は大きく拡張していたが,第4脳室はほぼ正常であり,この間の中脳水道の閉塞が疑われた.胎児MRIでもほぼ同様の所見を認めた.腫瘍や動静脈奇形などは認められなかった.出生後の所見も合わせて提示する. |
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30-14 【症例報告】(10:27-10:35) Win |
冠動脈カテーテル治療後に生じた上腕動脈仮性動脈瘤の一例 |
市立秋田総合病院超音波センタ− |
小林希予志,中川 正康,阿部 仁, |
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渡辺 智美,倉光 智之 |
秋田県立脳血管研究センタ−循環器科 |
藤原理佐子 |
きびら内科クリニック |
鬼平 聡 |
前壁中隔の陳旧性心筋梗塞にて通院中の男性.下壁の急性心筋梗塞にて入院し右冠動脈にステント挿入した.リハビリ終了後左回旋枝の高度狭窄病変に対しても冠動脈カテーテル治療を施行した.術前の上肢動脈エコーで両橈骨動脈に狭窄を認めたため,左上腕動脈を穿刺した.特に問題なく手技を終えたが,翌日圧迫解除後に左上腕が腫脹し疼痛を生じた.再度圧迫を行い一時改善傾向にあったが,5日後の早朝から再び上腕の腫脹と疼痛が増悪した.エコーでは上腕動脈から前上方に突出する嚢状の構造物を認めた.内部には壁在血栓とモヤモヤエコーを伴う血流を認め,一部にはエコー輝度の高い部分もみられた.上腕動脈の仮性動脈瘤と診断し,緊急手術を施行した.上腕動脈穿刺部から中枢側に向かい上腕二頭筋内に延びる仮性動脈瘤を確認,血栓の除去と穿刺部の縫合を行った.仮性動脈瘤と血腫の鑑別には視診や触診のみでは不十分であり,エコー診断が重要である. |
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W 基礎 (10:35-11:35) |
座長 東北大学大学院工学研究科 長谷川英之 先生 |
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アロカ(株) 若松 立也 先生 |
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30-15 【一般演題】(10:35-10:45) Win |
生体損失媒質中の単極性パルスの伝搬特性 |
秋田大学工学資源学部電気電子工学科 |
井上 浩, 佐藤 武輝 |
日本油脂株式会社 |
村田 健司 |
生体のような損失媒質をインパルス性超音波が伝搬する特性を明らかにすることは,衝撃波に対する生体の作用,安全性や媒質の特性を知る上で大切な研究事項である.単極性パルス超音波の放射軸上の距離特性に着目し,1 次元で周波数特性の検討が行い易く,短時間でシミュレーションができる伝達関数を用いた過渡応答解析を行った.送波,受波器に関する伝達関数に,伝搬媒質の伝達関数を乗算し測定系全体の伝達関数を求め,回折の効果も考慮した上でフーリエ逆変換により波形を求めた.実験は,ステップ電圧でPVDFトランスデューサを駆動し単極性パルス超音波を送波し,媒質中を伝搬したパルスをPVDF受波器で受波した.誘導ノイズが影響しない伝搬距離(10から20mm) で測定し,損失伝搬媒質には脱気水とグリセリンを用いた.受波波形は,音波の広がりにより低周波成分が,吸収により高周波成分が減少するため,単極性から双極性のパルスに変化していくことが実験と計算で示された. |
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30-16 【一般演題】(10:45-10:55) Win |
ソノポレーションを用いた薬剤導入と抗腫瘍効果 |
東北大学先進医工学機構 |
佐藤義太郎,鈴木麻衣子,青井あつ子, |
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渡邊夕紀子,小玉 哲也 |
東北大学病院 |
篠原 文明,森 士朗 |
東北大学口腔微生物学分野 |
力石 秀美 |
近年、微小気泡による薬物送達システム(Drug Delivery System : DDS)について多くの研究がおこなわれている.微小気泡は,気泡が超音波照射によって破壊される時に生じる衝撃圧を利用して遺伝子や薬剤などの高分子を標的組織に導入する手段として注目されており,癌治療をはじめとする医療分野への応用が期待される.本研究では気泡サイズが1μm以下の微小気泡であるナノバブルを用いた薬剤導入を試みた.ナノバブルに超音波照射することで抗がん剤を腫瘍細胞株へ導入し,抗腫瘍作用およびその機序について考察した. |
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30-17 【一般演題】(10:55-11:05) Win |
内皮依存性血管弛緩反応の高精度評価のための動脈内中膜領域の弾性率変化の計測 |
東北大学大学院工学研究科 |
長谷川英之,杉本 昌隆,金井 浩 |
【目的】現在,上腕動脈において駆血解除後の血管径の拡張を計測することにより,内皮依存性血管弛緩反応の評価が行われている.しかし,血管径の変化は,内皮で産生されたNOに反応する平滑筋が存在しない外膜の特性の影響も受ける.本報告では,位相差トラッキング法[H. Kanai, et al, IEEE Trans. UFFC, 43, 791 (1996)]を用いて,平滑筋が存在する内中膜領域のみの弾性率変化を計測することで,血管反応の検出感度の向上を試みた.【方法】3名の被検者(男性,24才・25才・31才)に関して,前腕部をカフにより250 mmHで絞め5分間駆血する.駆血解除後の上腕動脈内中膜領域の弾性率変化を,約10秒間隔で11回計測した(約2分間).【結果】駆血解除後10秒〜30秒の間に,内中膜領域の弾性率はそれぞれ,65%,43%,53%低下した.それに対し,血管径の変化はそれぞれ,6.7%,1.4%,11%であった.これらの結果から,内中膜領域の弾性率変化に着目することにより,血管反応の検出感度を向上できる可能性を示した. |
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30-18 【一般演題】(11:05-11:15) Win |
時間分解能を向上させた心筋ストレイン計測 |
東北大学大学院工学研究科 |
吉新 寛樹,長谷川英之,金井 浩 |
東北厚生年金病院 |
田中 元直 |
【目的】近年,心筋ストレインの計測装置などが開発されてきたが,心筋内の局所機能を非侵襲的に評価できる貫壁性診断の確立が望まれている.本報告では,超音波ビームに沿って心臓壁内に数50μm間隔に関心点を設定し,それらに各々位相差トラッキング法[H. Kanai,et al, IEEE Trans. UFFC, 43, 791 (1996)]を適用することで心筋振動を計測し,その関心点間の並進成分を除去した厚み変化速度を算出し,心周期にわたって心筋の局所的な収縮, 弛緩機能を評価し, その生理学的意味を考察する.【方法】22才男性健常者に関して,心室中隔壁と左心室後壁の振動速度を同時に計測し,局所厚み変化速度を算出した.【結果】心室中隔壁と左心室後壁のそれぞれの壁内において収縮・弛緩が深さにより異なり,不均一な様子が観察された.また,心室中隔壁では収縮・弛緩が左心室側に対して右心室側で約10〜20 ms先行しており,左心室後壁では,収縮は心内膜側が先行し,弛緩は心外膜側で先行している傾向が見られた.
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30-19 【一般演題】(11:15-11:25) Win |
心筋特性推定のための心臓壁を伝搬する振動の計測 |
東北大学大学院工学研究科 |
金井 浩 |
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心筋の粘弾性は心臓の拡張期特性を評価する上で重要であるにも関わらず,従来,非侵襲的に計測することができなかった.我々は,超音波を用いて,拍動によって大きく動いている心臓壁上の振幅数十ミクロン以下の微小運動速度波形を百Hzまでの帯域にわたり高精度に計測する手法を開発した.さらに超音波ビームを約16方向に送信することにより,左心室の数百点における微小運動速度波形を同時に計測した.その速度波形にフーリエ変換施し得られた位相値を数百点で求めカラーコードによってカラー画像を生成した.このカラー画像を約2ms間隔で表示することで,パルス状の振動が心室中隔壁に沿って伝搬する様子を画像化した.本報告では,さらにこのパルス波の瞬時の位相速度の周波数分散性を決定し,血液に浸った粘弾性板内のラム波の波動伝搬モデルを用いて,心室中隔壁のずり粘弾性定数を決定した.また,心尖アプローチにおいて心室中隔壁に平行で中隔壁を含む平面内を上記パルス状振動が伝搬する様子を画像化した.大動脈弁閉鎖のタイミングに,数十Hzの振動成分が弁根部から心尖部方向へ伝搬する様子が分かる.
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30-20 【一般演題】(11:25-11:35) Win |
Echo-Dynamographyで求められた左室内VP(Velocity Profile)曲線による高血圧心の駆出特異性の検討 |
東北厚生年金病院中央検査部 |
中島 博行,吉田 梨絵,黒川 貴史, |
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熊谷 明広,四ノ宮祐記 |
同 循環器センター |
菅原 重生,亀山 剛義,山中 多聞, |
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三引 義明,片平 美明,田中 元直, |
医用超音波技術研究所 |
大槻 茂雄 |
【目的】高血圧心の左室内駆出血流流軸上VP曲線の特異性を解析検討した.【対象及び方法】重症度の異なる高血圧症例を対象とし,Echo-dynamographyにより左室内駆出血流の速度ベクトル分布を求め,次いで左室内3カ所で短軸方向線上速度ベクトル分布を求め,その最大値を結んだ線を機能的流軸線とした.線上速度ベクトル分布曲線をVP曲線と名づけた.【結果及び考察】機能的流軸線上VP曲線は,a)中央部から流出路部の速度勾配が収縮初期で急峻であるが,時間とともに緩やかになる.b)収縮期中,急峻のままで変化しない.の2種類が示され,b)では流出路中隔の突出が時間とともに変化しないことを示していると考えられた. 【結論】1)重症度の異なる高血圧心では,流軸線上VP曲線に特異性がみられ,左室流出路の構造上の異常を反映するものと考えられる.2)高血圧心の病態解明に流軸上VP曲線の解析が有用であった. |
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第30回特別講演 (11:35-12:20) |
座長 東北大学加齢医学研究所 西條 芳文 先生 |
「超音波の過去,現在,未来−循環器診断を中心として」 |
講師 仙台厚生年金病院 循環器センター 田中 元直 先生 |
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休憩 (12:20-12:30) |
お弁当と飲み物を配布致します |
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企業セッション (12:30-14:30) |
座長 山形大学 循環・呼吸・腎臓内科学分野 廣野 摂 先生 |
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岩手医科大学附属循環器医療センター 臨床検査 伊藤 記彦 先生 |
超音波の新技術−視覚外を視る− |
T フィリップスエレクトロニクスジャパン 池嶋 弘美 先生 (12:30-12:50) |
Real time 3D超音波の新技術 |
U ソノサイト・ジャパン 難波 直之 先生 (12:50-13:10) |
高度Point of Careを目指したMicroMAXX |
V 持田シーメンスメディカルシステム 斎藤 雅博 先生 (13:10-13:30) |
ドプラ法を使わない壁運動の評価の新手法 |
W GE横河メディカル 東泉 隆夫 先生 (13:30-13:50) |
ますます広がる超音波の世界 |
X 東芝メディカルシステムズ 島野 俊彰 先生 (13:50-14:10) |
Bモード像に隠れた情報を診る |
Y アロカ研究所 岡田 孝 先生 (14:10-14:30) |
動脈硬化の早期診断を目指したE-Tracking |
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教育講演 (14:30-15:10) |
座長 平鹿総合病院第二内科 伏見 悦子 先生 |
「痛みの新しい超音波診断」 |
講師 秋田大学医学部神経運動器学講座整形外科学分野 皆川 洋至 先生 |
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休憩 (15:10-15:15) |
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第8回東北地方会講習会 (15:15-16:55) |
座長 松園第二病院消化器科 石川 洋子 先生 |
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東北労災病院腹部超音波室 山下 安夫 先生 |
T 表在(甲状腺でのピットフォール) (15:15-15:40) |
講師 福島県立医科大学 第二外科 鈴木 真一 先生 |
U 循環器領域におけるピットフォール (15:40-16:05) |
講師 福島県立医科大学 第一内科 高野 真澄 先生 |
V 救急センターにおける腹部超音波検査の意義と示唆に富む症例 (16:05-16:30) |
講師 岩手医科大学 救急医学 井上 義博 先生 |
W 末梢血管疾患と超音波検査 (16:30-16:55) |
講師 岩手医科大学附属循環器医療センター 新沼 廣幸 先生
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閉会のあいさつ (16:55-17:00) |
東北地方会運営委員長 棚橋善克 先生 |