日本超音波医学会 東北地方会
第36回学術集会 プログラム・抄録集

日 時: 平成20年9月21日(日) 9時10分〜17時10分
  (受付開始 8時45分〜)
場 所: 山形テルサ 多目的ホール(3F アプローズ)
  山形市双葉町1-2-3 (TEL: 023-646-6677)
大会長: 公立置賜総合病院 鵜飼克明
参加費: 1,000円
地方会URL: http://www.ecei.tohoku.ac.jp/~jsum/
連絡先: 〒992-0601 山形県東置賜郡川西町大字西大塚2000
  公立置賜総合病院 内科医局内
  日本超音波医学会東北地方会第36回学術集会事務局
  TEL: 0238-46-5713,FAX: 0238-46-5712
  E-mail: hime@okitama-hp.or.jp
 

講演者へのお願い:

・一般演題は,1題につき発表時間8分,討論時間5分の合計13分間です.
 症例報告は,1題につき発表時間7分,討論時間3分の合計10分間です.
・発表は,原則としてすべて会場に設置してあるPC上で,Power Pointを利用して頂きます.
 (PowerPoint: 2007 (Power Point 2003のファイルも利用できます),コンピュータ: Windows XP,画面サイズ: 1024×768)
・演者は,発表されるセクションの前のセクション終了前までに受付を済ませて下さい.
・Power Pointのスライド枚数は制限しませんが発表時間を厳守して下さい.


単位について:

・筆頭者で発表された超音波専門医,工学フェローの方には15単位(共著者での発表には7.5単位),筆頭者で発表された超音波検査士の方には5単位の研修・業績単位が(自動的に)与えられます.
・学術集会に出席された超音波専門医,工学フェローの方には15単位,超音波検査士の方には5単位の研修・業績単位が与えられます.受付でカードを提示すれば,単位が自動登録されます.
 
発行日:平成20年9月12日






日本超音波医学会東北地方会
第14回講習会

第14回東北地方会講習会(第36回学術集会併設)を下記の要項で開催いたします.講習会に出席された超音波専門医,超音波工学フェロー,超音波検査士の方には5単位の研修・業績単位が与えられます.

開催日時: 平成20年9月21日(日) 13:10〜14:30
会  場: 山形テルサ 多目的ホール(3F アプローズ) 山形市双葉町1-2-3 (TEL: 023-646-6677)
講演題目: 13:10-13:50    座長  鵜飼 克明(公立置賜総合病院)
 
「腹部超音波検査のスタンダード 標準的走査法とピットフォール」
講師  西田 睦 (北海道大学病院診療支援部)
  13:50-14:30    座長  鵜飼 克明(公立置賜総合病院)
「腹部超音波健診の有効性について」
講師  小野寺 博義 (宮城県立がんセンター消化器科)
参 加 費: 1,000円 (学術集会参加費とは別途徴収いたします.)


ランチョンセミナー

開催日時: 平成20年9月21日(日) 12:10〜13:10
会  場: 山形テルサ 多目的ホール(3F アプローズ) 山形市双葉町1-2-3 (TEL: 023-646-6677)
講  演: 「Dyssynchrony Imaging を用いた負荷心エコー図法の新たな展開」
        講師  上松 正朗 (関西労災病院 循環器科)
        座長  高橋 健太郎 (山形県立中央病院)
共  催: 東芝メディカルシステムズ株式会社
なお,日本超音波医学会第37回東北地方会学術集会・第15回講習会は,平成21年3月15日(日)仙台市情報・産業プラザ(アエル5階)にて開催予定です.大会長は,谷川原真吾(仙台赤十字病院総合周産期母子医療センター)です.


開会の挨拶 ( 9:10- 9:15) 大会長 公立置賜総合病院  鵜飼 克明
 
1 循環器T ( 9:15- 9:55) 座長 東北中央病院  金谷 透
 
36- 1 ( 9:15- 9:25) 【症例報告】
  左室後壁に一過性限局性の壁運動障害を来たしタコツボ型心筋症の亜型と考えられた一例
  金子 一善1, 大瀧陽一郎1, 和根崎真大1, 桐林 伸幸1, 大道寺飛雄馬1, 新関 武史1, 伊藤  誠1, 小熊 正樹1, 久保田 功2
  1 日本海総合病院 循環器科, 2 山形大学医学部 器官病態統御学講座循環・呼吸・腎臓内科学分野
症例は71歳女性.高血圧症にて通院中.平成19年6月1日, 朝7時に家人と口論となりその後突然前胸部痛が出現し当院受診.心電図上はV3-6で陰性を認めるのみで前回に比し大きな変化は無かったが,胸痛が持続するため急性冠症候群を疑い経胸壁心エコー検査を施行.左室後壁に限局性の無収縮部位を認め同日緊急心臓カテーテル検査施行.冠動脈造影上は有意冠動脈狭窄認めず,左室造影では心エコーに一致した左室後壁に限局性の無収縮部位を認めた.保存的治療にて合併症無く経過し退院.退院1ヶ月後の経胸壁心エコー検査では壁運動障害は消失し正常に回復していた.左室後壁に一過性限局性の壁運動障害を来たしたタコツボ型心筋症の亜型と考えられた症例を経験し,心尖部以外の狭範囲かつ限局性の壁運動異常を認める病態は稀と考えられたため報告する.
 
36- 2 ( 9:25- 9:35) 【症例報告】
  MDCTで診断された先天性左室憩室成人例のエコー所見
  高橋健太郎, 高橋 克明, 玉田 芳明, 福井 昭男, 松井 幹之, 矢作 友保, 後藤 敏和
  山形県立中央病院 循環器科
症例は40代女性.夏過ぎから労作時息切れを自覚.12月の朝出勤歩行時息切れで近医受診.心不全として紹介来院.ピル服用中であった.エコー上左室拡張末期径45 mm,駆出率62%.二度の大動脈弁閉鎖不全, 推定肺動脈収縮期圧50 mmHg, 心房中隔瘤と膜様部心室中隔瘤が見られたがシャント血流見られず.BNPは高値でACE阻害薬で低下する.今ひとつ病態不明で心カテ,心臓CT,肺血流シンチなどを施行.心臓CTで当初のエコーで見つけられなかった洞構造の遺残様の心筋欠損がみられた.内腔は収縮と共に狭小化し往来する血流を認めた.先天性の左室憩室と診断した.全病態を説明する異常ではないが,興味深い所見と考え同部のエコー所見とCT所見について報告する.
図.心CT左室短軸
 
36- 3 ( 9:35- 9:45) 【症例報告】
  生食コントラストエコーにて診断し得た肝肺症候群の一例
  渡部 朋幸
  医療生協わたり病院 内科循環器科
症例は,72歳,男性.40歳代よりC型肝硬変にて治療中だった.半年前より労作時呼吸困難を自覚していた.今回症状が増悪し,室内歩行程度でも息切れを自覚するため入院した.身体所見ではバチ状指を認め,血液ガス分析では,PaCO236.6 mmHg,PaO249.9 mmHg,SaO287.2%と著明な低酸素血症を認めた.肺胞動脈血酸素分圧較差(AaDO2)は56.9 mmHgと著明に開大していた.心エコーでは,収縮・拡張能に異常を認めなかった.AaDO2の高値より肝硬変に伴う肝肺症候群(HPS)による肺内シャントを疑い,生食バブルによる右心コントラストを施行した.バブル注入7拍後に左心系にバブルが観察され,肺内の右左シャントが確認された.在宅酸素療法を勧めたが希望されず,その後肝性脳症が悪化し20日目に死亡した.HPSは肝疾患患者の低酸素血症の原因として重要であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
 
36- 4 ( 9:45- 9:55) 【症例報告】
  内頸動脈内に可動性血栓が形成され内膜剥離術(CEA)が施行された一例
  三上 秀光, 伊藤真理子, 長谷川真奈美, 高橋 千里, 葛西 智子, 大平 里佳, 加藤 敏夫, 鈴木 博義, 手塚 文明
  仙台医療センター 臨床検査科
頸動脈病変は脳血管障害の直接的な原因病変であり,頸動脈エコー検査においては,狭窄度のみならず病変の性状に関する評価が求められている.症例は40歳代女性.頭痛が改善しないため近医を受診し,右大脳半球の多発性脳梗塞を指摘され当院へ紹介となった.エコー検査では,右内頸動脈分岐部より長さ20.7 mm,最大径3.9 mm,75%狭窄(ECST法)のプラークを認めた.プラークの辺縁は等エコーの膜状構造,内部は低エコーの均一な性状,頭側は血管壁と遊離し血流による可動性を示し,粥腫よりは血栓が疑われた.この不安定プラークにより塞栓症を繰り返していたと考えられ,緊急でCEAが施行された.病理組織学的には,石灰化や粥腫の形成は無く,線維性に肥厚した内膜と比較的新しい血栓が認められた.この症例を経験することにより,エコー検査は病変性状や可動性の評価に優れていることを再認識した.
 
2 基礎 ( 9:55-10:34) 座長 東北大学  長谷川英之
 
36- 5 ( 9:55-10:08) 【一般演題】
  動脈壁の血管長軸方向へのトラッキング
  長谷川英之1,2, 金井  浩1,2
  1 東北大学 大学院医工学研究科, 2 東北大学 大学院工学研究科
我々は,心拍による動脈壁の変位は径方向のみと仮定して径方向変位・ひずみを計測する手法を開発した.しかし実際には,長軸方向変位が見られる場合がある.本報告では,長軸方向のトラッキングには超音波RF信号の2次元相関を,径方向の変位計測にはRF信号の位相変化を用いることにより,ヒト頸動脈におけるin vivo計測を行った. 図(a)と(b)は,心電図R波のタイミングおよびその0.3秒後のBモード像上に,関心点を赤線で示したものである.動脈壁は心臓収縮期に0.5 mm程度頭側に移動していることが図(a)と(b)のBモード像から確認できるが,設定した関心点はその動きに良く追従している.他のビーム位置の長軸方向変位も推定し,長軸方向のひずみを算出したところ,5%程度の伸張が見られた.受信超音波RF信号の位相を用いて動脈壁の径方向ひずみ分布を推定した図(c)では,10%程度壁厚が減少していることが分かる.
図(a)心電図R波.(b)R波から0.3秒後の頸動脈後壁Bモード断層像とトラッキング結果.(c)径方向ひずみ分布.
 
36- 6 (10:08-10:21) 【一般演題】
  ナノ・マイクロバブルと超音波によるシスプラチンの導入および抗腫瘍効果の増強
  渡邊夕紀子2, 堀江佐知子1,2, 冨田 典子1, 大澤 ふき3, 森  士朗3, 小玉 哲也1
  1 東北大学 大学院医工学研究科, 2 東北大学 大学院医学系研究科, 3 東北大学病院 附属歯科医療センター
ナノ・マイクロバブル(NMB)と超音波を併用した分子導入法は,標的組織に非侵襲的に外来分子を導入させることが可能である.分子の導入効率は分子量に依存し,低分子ほど導入効率が高まると考えられている.本研究では,低分子であるシスプラチン(CDDP)の細胞内への導入を試み,細胞実験および動物実験で抗腫瘍効果を調べた. 細胞株に導入されるCDDPの分子数を明らかにするために,類似の分子数をもつ蛍光分子calceinを使用して,細胞株に導入される分子数を測定した.つぎに,CDDPの導入にともなう細胞株の抗腫瘍効果とポトーシスの評価,およびマウス固形腫瘍の抗腫瘍効果を検討した.蛍光分子測定から1細胞あたり106個の分子が導入され,また,本手法によるCDDPの導入は,抗腫瘍効果の増強とアポトーシスの誘導が示された.NMBとUSを用いた分子導入法は,新しいがん治療法の有望な手法の一つになるものと考えられる.
 
36- 7 (10:21-10:34) 【一般演題】
  超音波メスによる軟組織の粘弾性特性の推定
  鈴木 直貴1, 長谷川英之1,2, 金井  浩1,2
  1 東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻, 2 東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻
本研究では,超音波メスが軟組織に与える影響について検討を行う.超音波メスを駆動すると,応力−ひずみ特性はヒステリシス曲線を描き,この曲線の面積が超音波メスによって軟組織を加振した際に発生する熱に対応し,軟組織の弾性率Gと粘性率ηに依存する.このことから軟組織の弾性率Gおよび粘性率ηを知ることができれば,超音波メスを軟組織に接触した際の発熱量の計算が可能となる.そこで超音波メスの電気端から軟組織のアドミタンスY(ω)を測定し,粘性率ηと弾性率Gに対応する抵抗rおよびキャパシタンスCの値の推定を行った.試料は軟組織としてトリ肉,弾性率が既知(48.8 kPa)であるシリコーンゴムを基準として測定を行ったところ,軟組織とシリコーンゴムのキャパシタンスの値は約2倍異なった.この比の値から軟組織の弾性率は98 kPaと推定され,文献値(100 kPa)と良く対応した.
図. (a) 超音波メスを垂直に接触させたときのアドミタンスY(ω).(b) その時のアドミタンスループ.(c) 超音波メスを水平に接触させたときのアドミタンスループ.
 
3 消化器T (10:45-11:25) 座長 山形大学  齋藤 孝治
 
36- 8 (10:45-10:55) 【症例報告】
  肝硬変に転移巣を形成した乳癌の一例
  大山 葉子1, 吉田千穂子1, 工藤奈緒子1, 佐々木俊樹2, 星野 孝男3, 渡部 博之3, 木村 愛彦4, 石田 秀明5, 渡部多佳子5, 長沼 裕子6
  1 秋田組合総合病院 臨床検査科, 2 秋田組合総合病院 病理, 3 秋田組合総合病院 消化器科, 4 秋田組合総合病院 外科, 5 秋田赤十字病院 超音波センター, 6 横手市立病院 内科
比較的稀とされている,肝硬変への肝転移の一例について超音波所見を中心に報告する.使用装置: 東芝AplioXV,超音波造影剤: Sonazoid【症例】79歳女性, 既往歴: 1988年よりC型肝硬変にて当院消化器科通院中.2002年乳癌で右乳房摘出術施行.その後2004年リンパ節,肺,2006年脳転移を認め,それぞれX線,化学療法,SRS施行,経過は順調であった.2008年2月超音波検査にて肝内に下記の所見を認めた.超音波所見: 1) 高度の肝硬変による粗大実質エコーを肝全体に認め,2) 肝右葉に1 cm程度の低エコー小結節(以下病巣)が散在していた.3) 病巣と周囲肝の境界は不整でやや不鮮明,外側音響陰影や後方エコーの変化,Haloは見られなかった.造影超音波所見: 早期から病巣全体が濃染され,次いで周囲肝と同様の染まりとなった.以上からび慢性浸潤を示す肝細胞癌と肝転移の可能性を念頭に腫瘍生検施行.乳癌の硬変肝への転移と診断され,現在化学療法中である.
 
36- 9 (10:55-11:05) 【症例報告】
  C型慢性肝炎の経過中に診断された肝類上皮細胞肉芽腫の一例
  坂本 夏美1,4, 黒田 聖仁1, 海上 雅光2, 木暮 敦子3, 大平 弘正4
  1 福島赤十字病院 内科, 2 わたり病院 病理科, 3 公立藤田総合病院 消化器科, 4 福島県立医科大学医学部 内科学第二講座
【症例】80歳代,女性.【既往歴】60歳代,胆嚢摘出術.70歳代,洞不全症候群にてペースメーカー植え込み術.80歳代,心不全.【現病歴】2005年ペースメーカー植え込み術を受けた際にHCV抗体陽性を指摘された.2008年5月の腹部エコー検査で肝S3に腫瘍性病変を指摘されたため,当科紹介され入院した.ダイナミック造影CT検査では肝S3に平衡相で径15 mm程度の陰影欠損像を指摘された.腫瘍は腹部エコー検査でhaloを伴う低エコー像を呈しており,また,ゾナゾイドR造影エコーでは早期には周囲と同程度に造影され,後血管相で欠損像として描出された.以上より高分化型肝細胞癌が疑われ腫瘍生検が行われた.組織中に悪性所見はなく類上皮細胞肉芽腫と診断されたが,サルコイドーシスや結核腫は否定的で経過観察となった.【結語】興味深い画像所見を呈した類上皮細胞肉芽腫の一例を経験した.
 
36-10 (11:05-11:15) 【症例報告】
  術前診断が困難であった肝内結石症の一例
  草野 昌男, 前島 隆平, 島田 憲宏, 山極 哲也, 小島 敏明, 池谷 伸一, 中山 晴夫, 須貝 吉樹, 樋渡 信夫
  いわき市立総合磐城共立病院 消化器科
症例は50歳台の女性.5年前より胆嚢結石症を指摘され,年1回の腹部USを近医で施行されていた.平成19年11月のUSで肝左葉の肝内胆管が拡張していたため,当院を紹介された.腹部USでB3拡張基始部に明らかな結石はなく,腫瘤が疑われた.造影CTではB3の胆管壁が造影され,MRCPではB3の著明な拡張が認められた.ERCではB3が途絶, 擦過細胞診ではClass Uであったが,画像検査および臨床経過よりB3より発生した肝内胆管癌の術前診断で,肝左葉切除術,胆摘術を施行した.肉眼的には黄白色調で胆管癌が疑われたが,組織学的には結石による良性炎症性狭窄であった.結石は成分分析でコレステロール98%以上であった.肝内結石の大部分は,ビリルビンカルシウム石であり,USでは肝内では高エコーで音響陰影を伴い,拡張した胆管と連続していることが特徴である.肝内コレステロール結石では時に画像に反映されず,診断に苦慮することがある.
 
36-11 (11:15-11:25) 【症例報告】
  発熱を伴った巨大肝血管腫の一例
  富樫 りか, 芳賀 弘明, 三條 麻衣, 奥本 和夫, 西瀬 雄子, 伊藤 純一, 渡辺 久剛, 斉藤 孝治, 斎藤タ貴史, 河田 純男
  山形大学 医学部 消化器病態制御内科
症例は31歳,女性.平成19年7月10日頃から発熱が出現し,7月16日からは38℃台に上昇した.一旦は解熱したが,7月22日より再度38℃台の発熱が出現したため,7月24日某病院を受診.MINO投与でも解熱せず,8月9日に同病院に入院となった.肝右葉に10 cm大の肝血管腫が認められたが,発熱の原因精査目的にて当科転院となった.腹部超音波検査では肝S7-8の高エコー腫瘍内部に等エコー領域が認められた.その他の画像検査から出血性壊死を伴う肝血管腫と考えられた.他の発熱の原因精査では異常を認めなかったことから発熱の原因と考え,9月19日肝S7-8の肝切除を施行された.病理所見は内部に凝固壊死を伴った海綿状血管腫であった.発熱を伴う肝血管腫は非常に稀であるが,腫瘍内部が凝固壊死を起こしたことが熱源であったと考えられた.
 
4 循環器U (11:25-12:04) 座長 日本海総合病院  金子 一善
 
36-12 (11:25-11:38) 【一般演題】
  経胸壁心筋組織ドプラ法を用いた左心耳機能解析法の確立
  廣野  摂1, 奥山 英伸1, 石垣 大輔1, 結城 孝一1, 田村 晴俊2, 西山 悟史2, 久保田 功2
  1 山形県立新庄病院 内科・循環器科, 2 山形大学医学部 循環・呼吸・腎臓内科学分野
【背景】心原性脳塞栓と左心耳機能不全の診断には経食道心エコー図(TEE)の施行が不可欠である.経胸壁心エコー図(TTE)のルチン指標(左房径)を用いた塞栓症のリスク層別化は困難である.組織ドプラ法を用いた局所の心機能評価が盛んに行なわれている.【仮説】TTE時に組織ドプラ法を用いた左心耳機能解析が可能である.【方法】TEEが施行された連続47例(平均72歳,心房細動23例)を対象として,TTE施行時に短軸断面で左心耳尖端を描出し,組織ドプラを用いて左心耳収縮時の最大壁速度を計測し,直後に施行したTEEでの計測値と対比した.【結果】TTEを用いた左心耳壁速度の検出率は81%であった.TTE法とTEE法の測定値の間には正の相関関係を認めた(R=.89.P<.001.Y=.979X-.558).【結論】TTEを用いた左心耳壁速度の測定は,血栓塞栓症のリスクを層別化する上で有用なモダリテイとなる可能性が示唆された.
 
36-13 (11:38-11:51) 【一般演題】
  当院におけるCRTのAV timing,VV timingの至適化
  田渕 晴名1, 菅原 重生1, 山中 多聞1, 中野 陽夫1, 山家  実1, 山口  済1, 片平 美明1, 田中 元直2
  1 東北厚生年金病院 循環器センター, 2 結核予防会 宮城県支部
心臓再同期療法(CRT)は,薬剤抵抗性,重症心不全症例に対する新たなデバイス治療として有用である.心室内,両心室間,あるいは房室間に存在する同期不全(mechanical dyssynchrony)が両心室からのペーシングにより改善することがCRTの心血行動態改善の機序と考えられている.しかしCRTが無効な,いわゆるnon-responderが18〜52%の頻度で存在する.今回,我々はCRT植え込み後心エコーを用いてAV timing,VV timingの至適化をすることで 心不全の改善を認めた症例を数例経験した.一度Non-Responderと判断しても,AV,VV timingの至適化によりCRTの効果を最大限に発揮することが可能となり,Non-responderを減らせる可能性があると考え報告する.
 
36-14 (11:51-12:04) 【一般演題】
  虚血性心疾患に合併する閉塞性動脈硬化症の検討
  櫻井 清陽1, 富田 和俊2, 高橋 経寛2, 村山千賀子2, 金谷  透1
  1 公立学校共済組合東北中央病院 循環器科, 2 公立学校共済組合東北中央病院 臨床検査科
【背景】閉塞性動脈硬化症(ASO)に冠動脈疾患の合併が多いといわれている.【目的】冠動脈疾患を有する患者において ASOの合併率を血管エコーとankle brachial pressure index(ABI)を用いて検討した.【方法】平成19年4月から平成20年7月に当院で冠動脈インターベンション(PCI)を行なった患者45人に対し,PCI前日に下肢血管エコーと,ABI測定をおこないASOの有無を調べた.下肢血管エコーでは,腹部大動脈から足背動脈までを観察した.【結果】血管エコーにて45例中4例(8.9%)の狭窄病変が認められた.狭窄率は1例が79%で,残り3例は50%程度であった.狭窄を認めた4例のうちABPI低下がみられたのは79%狭窄の1例のみであった.今回の症例中下肢動脈インターベンションを行った症例はいなかった.
 
5 消化器U (14:40-15:10) 座長 山形大学  牧野 直彦
 
36-15 (14:40-14:50) 【症例報告】
  膵管内乳頭粘液性腫瘍に膵内分泌腫瘍が合併した一例
  石川 洋子1, 加賀 誠司1, 渡邊  誠2, 千葉 春枝3, 太田  恵3, 山崎 知子4, 村上 晶彦4, 望月  泉5, 小野 貞英6
  1 松園第二病院 消化器科, 2 松園第二病院 放射線科, 3 松園第二病院 臨床検査室, 4 岩手県立中央病院 消化器科, 5 岩手県立中央病院 消化器外科, 6 岩手県立中央病院 病理
症例は64歳男性. 主訴は胃痛・食思不振.平成20年1月上旬当科を受診.腹部超音波検査で膵尾部に造影USで強く染影される6 cm大の充実性一部嚢胞性の腫瘤,頭体部に多発性嚢胞を認め精査加療目的で岩手県立中央病院消化器科へ1月下旬に紹介.CT: 膵尾部に動脈相で濃染される68×48 mmの腫瘤,膵全体に小嚢胞が多発.MRCP: 膵頭部〜体部にびまん性に小嚢胞の多発,主膵管の拡張.ERCPでは主乳頭から粘液の流出(+),EUS: 膵尾部に60×40 mm大の高・低エコー部分が混在する腫瘤を認め,膵頭部〜体部にぶどうの房状に嚢胞が多発し,内部に径11 mmの結節を認めた.血液検査では著明な低血糖および血清インスリン値,DUPAN-2の上昇を認めた.以上より膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に伴った膵内分泌腫瘍(insulinoma)と診断され,膵全摘術が施行された.病理組織学的には膵管内乳頭粘液性腺腫と膵内分泌腫瘍が合併した非常に稀な一例であった.
 
36-16 (14:50-15:00) 【症例報告】
  診断に苦慮した膵IPMNに合併した内分泌腫瘍の一例
  虻江  誠1, 鈴木 雅貴2, 小野寺博義2
  1 丸森町国民健康保険丸森病院 内科, 2 宮城県立がんセンター 消化器科
【症例】64歳,男性【主訴】膵精査【既往歴】平成12年左肩甲骨chondrosarcoma手術【現病歴】平成14年の術後の経過観察CTで膵IPMNの診断となり,こちらも併せ経過観察となっていた.今回EUSで膵体尾部に低エコー病変を認め,精査加療目的に入院となった.【US】膵体尾部に長径約20 mmの低エコー病変を認めた.境界は比較的明瞭で,辺縁は不整,内部は不均一でASを伴う石灰化を認めた.IPMNに合併した通常型膵癌,chondrosarcomaの膵転移,SPT亜型を考え,EUS-FNABを施行したところ低分化型腺癌の術前診断を得,平成19年11月に膵体尾部切除を施行した.【病理組織学的所見】組織学的には多数の胞巣塊が集合しており,免疫染色の結果,endocrine tumorと診断された.【考察】画像上,典型的な内分泌腫瘍の所見を呈さず,診断に苦慮した.IPMNには通常型膵癌が約一割に合併するが,内分泌腫瘍の合併は稀であり,今回若干の文献的考察を加え報告した.
 
36-17 (15:00-15:10) 【症例報告】
  EUSが診断に有用であった虫垂嚢胞腺腫の一例
  赤坂威一郎, 篠崎 博志, 佐藤 邦彦, 鈴木 年竜, 後藤 ゆり
  岩手県立久慈病院 消化器科
【症例】82才 女性【現病歴】平成19年度胃検診にて異常を指摘された.GIF施行し,胃前庭部大弯に隆起性病変を認めた.生検にてgroup V(tub 1)の結果であった.早期胃癌の診断で外来精査施行中,CTにて虫垂の嚢胞性病変が指摘され合わせて精査を行った.【画像検査】体外式US,MRIでは嚢胞状に拡張した虫垂内に明らかな異常所見を見いだせなかった.CT(造影)では虫垂根部の壁の肥厚所見が認められた.CFでは虫垂開口部にSMT様の隆起性病変を認めた.EUS専用機にてSMT様隆起部を精査した.拡張した虫垂内腔に絨毛状に突出する腫瘍を認めた.【経過】早期胃癌はESDにて根治的に切除をした.EUS等の精査より虫垂嚢胞性腫瘍の診断にて外科的切除を行った.診断は虫垂嚢胞腺腫であった.【まとめ】術前に虫垂嚢胞腫瘍の診断をつけることは困難と思われるが,EUSが有効であった症例を経験したので報告する.
 
6 甲状腺 (15:10-15:20) 座長 秋田赤十字病院  石田 秀明
 
36-18 (15:10-15:20) 【症例報告】
  術前甲状腺濾胞癌を疑った甲状腺埋没非機能性副甲状腺腺腫の一例
  鈴木 眞一1, 旭  修司2, 向後 英樹2, 菊地 大輝2, 島貫 公義2
  1 福島県立医科大学 乳腺内分泌甲状腺外科, 2 会津中央病院 外科
副甲状腺腺腫の多くは甲状腺の背側に存在し,甲状腺内に埋没するものは極めて少ない.今回,甲状腺濾胞癌を疑い切除後に判明した,非機能性甲状腺埋没副甲状腺腺腫の1例につき,術前の超音波所見と共に報告する.症例は,70歳男性,甲状腺右葉に結節があり,他院より紹介受診した.右葉下極に直径17 mmの腫瘤を認め,甲状腺機能正常,自己抗体陰性,Tg41.6 ng/ml軽度上昇していた.血中Ca正常であった.超音波所見では,類円形で,内部低エコーで比較的均一であった(図1).エラストグラフィーでも良性の判定であった(図3).しかし,ドプラエコーで腫瘤内に貫通血管が豊富に認められ(図2),濾胞癌やAFTNも疑われた.99mTcシンチと201Tlシンチでは,AFTNは否定され濾胞癌を疑う所見であった.細胞診では濾胞性腫瘍との診断であった.甲状腺右葉切除を施行し,術後病理診断では副甲状腺腺腫であった.
図1.Bモード像 図2.パワードプラ像 図3.Elastography
 
7  消化器(造影エコー) (15:20-16:09) 座長 秋田赤十字病院  石田 秀明
 
36-19 (15:20-15:33) 【一般演題】
  造影超音波検査による肝細胞癌治療効果判定の有用性
  梅津 昭典1, 鵜飼 克明2, 武田  忠2, 服部 悦子2, 今野 和子1, 鈴木 京子1, 五十嵐由美1, 樋口 悦子1, 岸  洋介1
  1 公立置賜総合病院 臨床検査部生理検査室, 2 公立置賜総合病院 消化器内科
第2世代の造影剤Sonazoidが, 肝細胞癌(HCC)の診断に有効であるとする文献は多く見られる.当院でもHCCが疑われる病変150症例余りについて,造影超音波検査を経験し診断補助に役立つことを実感している.特にHCC治療後の効果判定評価には有用性が高いと思われる.HCC治療後効果判定を行った38症例について有用であった症例は33症例で有効率86.8%と高率であった.内訳として治療効果良好例18症例,残存ありの症例15症例であった.残存が疑われた症例では,遺残部がリアルタイムで確認できることにより,再治療時のRFA,PEITの穿刺ラインが認識でき,有効かつ確実なものとなり得ると思われた.しかし判定困難であった症例は,fundamental画像で観察できるものの造影モニターモードで画質が落ちた画像では腫瘤描出が困難となる症例,深部に存在する病変などであった.使用機器は東芝aplio XG,MI=0.15-0.3,Sonazoidは0.5 mlをボーラス静注した.
 
36-20 (15:33-15:43) 【症例報告】
  門脈血栓症の一例: 造影エコー所見を中心に
  小丹まゆみ1, 大嶋 聡子1, 長沼 裕子2, 船岡 正人2, 藤盛 修成2, 平野 弘子3, 法花堂 学3, 石田 秀明4
  1 市立横手病院 検査科, 2 市立横手病院 内科, 3 市立横手病院 放射線科, 4 秋田赤十字病院 消化器科
【症例】60代男性.2006年3月にアルコール性肝障害で入院加療.2007年9月右側胸部痛が改善しないため受診.USで門脈右前区域枝に血栓を認め,肝右葉前区域の肝実質にまだらな低エコー領域を認めた.S1に2.5 cmの血管腫も認めた.カラードプラで門脈右前区域枝の血流は確認できず,動脈血流速が増していた.ソナゾイドによる造影USでは,late vascular phase,post vascular phaseでB-modeの低エコー領域に一致して染影が周囲より低下していた.保存的加療を行い症状軽快.約1ヵ月後のUSで,門脈血栓は不変であったが,まだらな低エコー領域や造影USでの肝実質の染影のムラはほとんど消失していた.現在外来で経過観察中.使用装置: 日立EUB8500.【まとめ】急性期の門脈血栓症において,血栓の存在する領域の一過性の肝実質のダメージが推測され,造影USでそれを示唆する興味深い所見を観察したので報告する.
 
36-21 (15:43-15:56) 【一般演題】
  マイクロコンベックスプローブによる肝ドーム部の造影
  工藤由美子1, 藤谷富美子1, 小野久美子1, 浅野 善文1, 菊地 孝哉1, 佐藤 義昭1, 杉田 暁大1, 山田 暢夫2, 石田 秀明3, 小松田智也3
  1 由利組合総合病院 臨床検査科, 2 由利組合総合病院 消化器科, 3 秋田赤十字病院 超音波センター
現在造影超音波検査(以下本検査)は,肝腫瘤性病変の診断に不可欠なものになりつつある.しかし,従来本検査に用いられてきたコンベックスプローブでは径が大きく,(病変が多発する)肝ドーム部の観察には難があった.最近数社から,この問題を解決する目的で,マイクロコンベックスプローブ(以下マイクロコンベクス)が開発され,同時に装置内の基盤の対応も可能となった.今回我々は,下記の2種のプローブの使用経験を,実際の動画を交え報告する.更に,従来のプローブでは肋間走査の際,プローブの動きが著しく制限されていたが,マイクロコンベクスにより,回転や傾斜付けなどの運動が自由に出来るようになった.この利点に関しても,動画を交え述べたい.使用装置: アロカ社製: prosound α10,東芝社製: Aplio XV,XG.
 
36-22 (15:56-16:09) 【一般演題】
  膵癌と自己免疫性膵炎の鑑別診断におけるソナゾイドの使用経験
  菅野  敦
  東北大学病院 消化器内科
【目的】自己免疫性膵炎(AIP)と膵癌(Pca)の鑑別におけるソナゾイドを用いた造影超音波の有用性を検討すること.【対象】2008年3月から7月まで入院し,ソナゾイドによる造影超音波を施行し得たPca 8例とAIP 4例【方法】ALOKA 社製α10を使用(MI値0.3)し, ソナゾイド0.015 ml/kgを静注した.保存した画像から腫瘤部内にROIを設定し,Time Intensity Curveを作成した.造影が開始する時の輝度値を0とし,そこから造影された最大の輝度レベルを(1) ピーク値,ピーク値まで上昇するスピードを(2) ピーク速度と定義し,Pca群とAIP群で比較した.両群間をMann Whitney U testで比較した.【結果】Pca: AIPの平均値(1) ピーク値level(56.1: 117.8 p=0.004) (2) ピーク速度level/sec(4.9: 11.7 p=0.028)(1) ピーク値と(2)ピーク速度で有意差を認めた.【結論】ソナゾイドを用いて定量的に膵腫瘤の血流を解析することで,膵癌の鑑別診断に役立つ可能性が示唆された.
 
8 消化器V (16:09-17:01) 座長 仙台医療センター  千田 信之
 
36-23 (16:09-16:22) 【一般演題】
  腹水の内部エコーの検討
  渡部多佳子1, 石田 秀明1, 小松田智也1, 古川佳代子1, 加藤 隆祐1, 大野 秀雄1, 石井  透1, 八木澤 仁1, 長沼 裕子2, 大山 葉子3
  1 秋田赤十字病院 超音波センター, 2 市立横手病院 内科, 3 秋田組合総合病院 臨床検査科
腹水の内部エコーの状態について検討し若干の知見を得たので報告する.【使用診断装置】東芝社製Aplio,Xario,日立社製EUB-8500.【対象と方法】過去2 年間に経験し,内部エコーの状態が十分に観察可能であった腹水例74 例を対象に,A) 内部エコーの状態,B) 内部エコーの分布,C) 内部エコーの動き,に関して検討した.【結果】A) 内部エコーの状態: 点状エコー; 炎症群2/17, 癌性群9/53(偽粘液腫4/4), 出血群0/4,線状エコー; 偽粘液腫2/4.B) 内部エコーの分布: 均一/不均一の比; 炎症群0/17,癌性群9/53(偽粘液腫3/4),出血群4/4,不均一な分布を,層状,雲状,に大別すると,癌性群: 層状8/9,雲状1/9,出血群: 層状0/4,雲状4/4.C) 内部エコーの動き: 出血群では,呼吸やプローブの圧迫に関わらず内部エコーが絶え間なく移動し分布状態が変化したが,他の例では内部エコーはわずかに移動したが,呼吸やプローブの圧迫を停止すると以前の分布状態に戻った.
 
36-24 (16:22-16:35) 【一般演題】
  胸水,腹水のC-plane像と3D像
  渡部多佳子1, 石田 秀明1, 小松田智也1, 古川佳代子1, 加藤 隆祐1, 大野 秀雄1, 石井  透1, 八木澤 仁1, 濱滝 壽伸2, 井上 恭子2
  1 秋田赤十字病院 超音波センター, 2 鞄月ナメディカルシステムズ 営業推進部アプリケーショングループ
【はじめに】最近のコンピュータ技術の進歩に伴い,腹部超音波検査の場においても任意断面の作成が可能となってきている.一方,超音波は原理的にも,液体―固体境界面の表示に優れていることは以前から知られてきた.今回我々はこの特性を利用し,上記の条件の代表例である胸水と腹水,各5例のC-plane像と3D像を作成し,従来の超音波断層像(以下A-plane像)と比較検討し若干の知見を得たので報告する.【使用装置】東芝社製AplioXG.【結果】1) 胸水では,その横や尾方向への広がりが,C-planeで一層鮮明に理解できた.しかし,3D像では横隔膜がやや歪んで表現される傾向があった.2) 腹水では,C-plane,3D像ともに,A-plane単体より,腹水の状態を理解し易く,特にD像は肝表面の診断に安定感を与えた.これらの代表像を提示する.
 
36-25 (16:35-16:48) 【一般演題】
  携帯型超音波診断装置(P-10)の使用経験
  石田 秀明1, 小松田智也1, 渡部多佳子1, 古川佳代子1, 佐藤  彬1, 松田亜季奈1, 加藤 隆祐1, 大野 秀雄1, Joo Chanwoong2, 千葉  勝2
  1 秋田赤十字病院 超音波センター, 2 且搏cシーメンスメディカルシステムズ 営業推進部
最近のコンピュータ技術の進歩に伴い,装置の小型化も可能となってきている.従来の小型化の枠を大きく進め,ポケットサイズにまで圧縮した,シーメンス社製P-10(720 g)(周波数: 3-4 MHz)を用いた(約500 名を対象に)印象を報告する.1) 装置の概要: a) プローブはmedium focusのセクターのみ,b)B- モードのみ,c)frame rateは30/sec 前後,d) 2時間の充電で1 時間の検査が可能,e) 約2万(静止)像を記録可能.2) 使用した印象: a) 肝実質エコーの状態の把握は困難,b)1 cm程度の小腫瘍の検出は困難,c) 腹水や胸水の拾い上げは十分可能,d) 拡張腸管の拾い上げも可能,e)5 mm程度の結石はSE+ASとして明瞭に表現される,f)monitor が3.7インチと小さくやや見にくい,g) 走査のコツがいる.現時点での印象であるが,救急や遠隔医療には十分活用可能と思われる.更なる改良が期待される.
 
36-26 (16:48-17:01) 【一般演題】
  RVSガイド下に生検を行った肝腫瘍の一例
  長浦 主税, 奥本 和夫, 石井 里佳, 芳賀 弘明, 三條 麻衣, 伊藤 純一, 渡辺 久剛, 斎藤 孝治, 斎藤 貴史, 河田 純男
  山形大学 消化器病態制御内科
エコー画像と一致したCT画像をリアルタイムに映し出すRVSのガイド下に生検を行った1例を報告する.【症例】60歳男性【既往歴】1983年B型慢性肝炎,2005年HCCにて手術【現病歴】2006年4月,食道胃静脈瘤とS8に腫瘍性病変指摘され, 当科紹介入院【検査結果】Alb 2.9,T-bil 2.0,ICGR15 30%,PT55%, 胃食道静脈瘤認める.CTではS8に早期で染まらず後期で抜ける30 mm大の腫瘍を認めた.エコーではS8 に低エコー腫瘤認めるが,不明瞭でありCTと同一の腫瘍かは不明.【経過】食道静脈瘤へ内視鏡的硬化療法(EIS),胃静脈瘤へバルーン閉鎖下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)を行ない,2006年6月8日RVSガイド下に腫瘍生検を行った.結果は腺腫様過形成であり,本人と相談の上経過観察とした.2008年8月現在,大きさ,性状変化を認めていない【結論】RVSガイド下に生検を行った.同方法はCTで描出されるがエコーで不明瞭な腫瘍に対しては有効であると考えられた.
 
閉会のあいさつ (17:05-17:10) 東北地方会運営委員長  棚橋善克