ガスジェット(RCS)

 

 

1、       ガスジェット(RCS)とは?

RCSは、簡単にいうと空気がないところで姿勢を変えたり、速度をわずかに変えたりするための小型のロケットエンジンのことで、比較的簡単に大きい力を発揮でき、高速の姿勢変更に有効であり、標準的なアクチュエータである。特徴としては、衛星などに外力として作用するので、衛星システム全体がもつ角運動量を変化させる点である。

 

ガスジェットの推薬としてはコールドガスとホットガスの2つに分けられる。更に、ホットガスは二液式と一液式に分類できる。

 

A、コールドガス

窒素などの高圧ガスを噴射し、比較的低い推力(<1N)を発生する。

 

B、ホットガス

・二液式

燃料と酸化剤によって極めて高い推力(≧500N)を発生できる。

・一液式

触媒を使って高圧として噴射するもので、ヒドラジンがよく使われる。

欠点としては、

@    動作温度に達するまでの間、反応が不十分で低い推力しか得られないこと。

A    推力の時間特性が全噴射時間に影響していること。

B    反応が不十分で低い推力しか得られないこと。

すなわち、短いパルスを連続噴射するときの動特性に問題がある。

 

    アクチュエータ

入力されたエネルギーを物理運動量に変換するものであり、機械電気回路の構成要素である。利用する作動原理(入力するエネルギー)によりさまざまなものが開発され利用されている。一般に電気信号により得られる運動(物理量)を制御できるものをアクチュエータと呼ぶことが多いが、航空機などに見られる油圧により制御されるものもある。また筋肉もアクチュエータの一種と言える。
[Wikipedia
‘アクチュエータ‘より引用]

2、       ガスジェットの構造

RCSによる姿勢制御は、衛星がロケットから分離された後のレートダンピング、太陽クルージング、AEF姿勢設定、3軸確立などの軌道投入の初期運用段階で姿勢角を大きく変更するときに使用されることが多い。

 

地球を回る軌道上では空気がないため、宇宙機の姿勢を変えるのに飛行機のような舵面は使えない。そこで、機体の前と後ろに小型のロケットエンジンを上下や左右に向けて取り付け、それを細かく噴射させることによって、機体を回転させたり回転を止めたりするモーメント(回転力)を発生させる。要するに、RCSはハンドルのような役目といえるだろう。また、RCSは、宇宙ステーションに宇宙機がドッキングするようなときに、速度をわずかに変化させるためにも使用される。また、地上に戻ってくるために大気圏に再突入した後、舵面がよく効かない間にも機体の姿勢をコントロールするために使用される。

H−Uロケット      クリックして拡大

 

左図:H2Aロケットの構造  [IHI 石川島播磨重工業株式会社 HPより引用]

右図:スペースシャトルの構造 [SCIENCE WEB より引用]

 

H-IIロケット第2段ガスジェット装置第1段エンジン(LE-7A)液体水素ターボポンプ(H-IIAロケット用)

左図: H2ロケット第二段ガスジェットエンジン

中央図: 第1段エンジン(LE−7A) 液化水素ターボポンプ(H2Aロケット用)

右図: 第2段エンジン(LE-5A)液体酸素/水素ターボポンプ(H-IIロケット用)

[IHI 石川島播磨重工業株式会社 HPより引用]

 

3、       ガスジェットのメリット、デメリット

☆メリット

・比較的大きな力を発生でき、高速の姿勢制御に適している。

☆デメリット

・衛星に搭載された燃料を消費するので長期の使用には限界がある。

    オン・オフの推力を発生するだけで、連続値制御には便利でない。