研究紹介

「21世紀は環境の世紀」と言われており、従来の大量生産・大量消費型社会から、環境と調和した持続可能型社会への転換が望まれています。 電気エネルギー分野においても、今後は人や社会、環境に配慮しながら、より一層効率の高い電気エネルギーの発生・輸送・変換・利用に関する技術開発が必要不可欠です。 そして、この基盤となるのが、モータ、発電機、トランス、リアクトル、インバータ、コンバータなどの電気機器です。
中村研究室では、人間社会と自然環境が調和した持続可能型社会の実現を目指し、電気エネルギーの発生から、輸送、変換、利用に至る一連のシステムを支える先進的な電気機器と、 これらを様々な規模や用途に応じて高度に組み合わせた電気エネルギー応用システムの構築に資する教育と研究を行っています。
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主な研究テーマ

モータ・発電機の高性能化に関する研究

近年、産業・民生・運輸など、あらゆる分野で電動化が推進されており、モータの需要はますます増大しています。 現在、我が国の総発電電力の50%~60%はモータが消費しており、ある試算によると、国内にあるすべてのモータの効率を1%ずつ改善できれば、原子力発電所1基分に相当する電力が節約できると言われています。 また、環境に優しい風力や潮力などの自然エネルギーの有効利用には、高出力かつ高効率な発電機が必要不可欠です。 中村研究室では、小型高出力・高効率なモータおよび発電機の開発を目的として、永久磁石(PM)モータやスイッチトリラクタンス(SR)モータの最適設計法や最適制御法について研究を行っています。

SRモータの高性能化に関する研究 image

PMモータの高性能化に関する研究 image

非接触磁気ギヤ・磁気ギヤードモータに関する研究

モータや発電機は、所望の速度や回転力を得るために機械式ギヤと組み合わせて用いられるのが一般的ですが、歯車同士の接触によって動力を伝達するため、振動や騒音、摩耗や発熱が発生します。 これに対して、磁気ギヤは磁石同士に働く電磁力によって、非接触で動力を伝達することができます。そのため、振動や騒音、摩耗や発熱が小さいことから、次世代のギヤとして注目されています。 中村研究室では、磁気ギヤの高性能化やモータと融合一体化した磁気ギヤードモータについて、以下のような研究を行っています。
  • 超高効率ギヤ(最高効率:99%以上)
  • 超高速磁気ギヤ(最高速度:8万rpm)
  • 洋上風力用磁気ギヤ(定格:12MW)
  • エアモビ用磁気ギヤ(出力密度:20kW/kg)
  • 大型磁気ギヤードPMモータ(500N・m級)
  • 磁気ギヤードSRモータ
  • 磁気ギヤの紹介動画はこちら(Coral CapitalのYouTubeチャンネルより)
    磁気ギヤの紹介記事はこちら

    超高効率磁気ギヤに関する研究 image

    洋上風力発電用磁気ギヤに関する研究

    風力発電は他の自然エネルギーと比較して、発電にかかる費用が安く、設備利用率も高いことが知られていますが、我が国においては陸上での適地確保が困難になりつつあります。 そこで最近では、洋上での大規模風力発電の実用化が期待されています。風力発電は増速ギヤを用いる方式とダイレクトドライブ方式がありますが、どちらも一長一短があります。 中村研究室では、洋上風力発電には磁気ギヤがサイズ、重量、メンテナンス、コストのあらゆる面で優位であると考え、磁気ギヤ方式の実用化に向けた研究を行っています。

    洋上風力発電用磁気ギヤに関する研究 image

    電力系統用電圧安定化装置に関する研究

    東日本大震災以降、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの導入拡大が強く望まれていますが、これらの発電は天候に左右されるため、系統電圧が変動するなどの問題があり、導入がなかなか進んでいません。 中村研究室では、可変インダクタというユニークな磁気デバイスを用いた高速かつ安価で信頼性の高い電圧安定化装置の開発に取り組んでいます。 これまでに10台以上の装置が既に東北電力管内で実用化されており、初号機導入から10年以上トラブルゼロで電力の安定供給に貢献しています。

    電力系統用電圧安定化装置に関する研究 image

    次世代移動体に関する研究

    近年、地球環境保護に対する意識の高まりから、ハイブリット自動車や純電気自動車、燃料電池自動車など、環境負荷の小さい自動車の実用化が進んでいます。 また最近では、空の移動革命に向けた動きが世界的に急速に進んでおり、ドローンやエアモビリティ(エアモビ)、電動航空機などの実用化が国内外で検討されています。 中村研究室では、モータや磁気ギヤの技術を応用し、電気自動車やエアモビなどの次世代移動体の開発に取り組んでいます。

    次世代移動体に関する研究 image