以上のような問題を解決するため、私たちはインバータとモータを常に近接して設置し、さらにインバータの制御信号を給電線を用いて伝送するシステムを提案しました。これにより給電線上の問題を解決し、さらに信号線を給電線と兼用することでシステムの簡素化を図っています。
給電線は信号線に比べノイズ混入や波形歪などを受けやすい劣悪な環境になっています。そこで通信方式には耐ノイズ性に優れているスペクトラム拡散(SS)変調方式を採用しました。 本システムでは、SS変調方式のうち、直接拡散(DS)方式を採用しています。DS方式では、送信側においてスペクトラムを拡散させるべき信号に、±1の値の広帯域信号を乗積してスペクトル拡散を行い、受信側でもまた同様に逆拡散を行うことで元の信号を取り出すことが可能です。
これまでの基礎的な実験によって、100m程度の給電線で、誘導電動機の速度制御、双方向通信、複数の誘導電動機制御(CDMA)を実現してきました。