■ 超電導の特性(磁気的性質)

完全反磁性(マイスナー効果)

超電導体はある臨界磁場以下の磁場中に置かれると,その内部の磁束密度Bが0となり,完全反磁性体となります。常電導状態である超電導体にあらかじめ磁束を貫通させておき,その後に冷却して超電導状態となった場合でも,超電導体を貫通していた磁束が超電導体内部から排除されてしまいます。これが,超電導体内では常にB=0であることを意味しており,マイスナー効果と呼ばれます。
完全導電性と併せ,これら2つが超電導状態を特徴づける本質的な性質です。

ピン止め効果

超電導体は第1種超電導体と第2種超電導体に分類することができます。

第1種超電導体では,臨界磁場以下の弱い磁場で上述のマイスナー効果が起こります。また,臨界磁場以上の強い磁場を印加すると直ちに常電導転移が起こり,完全反磁性が崩れてしまいます。

これに対して,第2種超電導体では超電導体内部に微小な常電導部(ピン)が存在します。下部臨界磁場以下では,第1種超電導体と同様にマイスナー効果が見られますが,より強い磁場を印加すると常電導ピンに磁束が侵入し,超電導と常電導の混合状態となります。この状態において,ピンに侵入した磁束は周りの超電導体から反磁性の力を受けるために動くことができず,あたかもピンに磁束が捕捉されたような状態になります。これをピン止め効果と呼んでいます。なお,この場合でも上部臨界磁場以上の磁場を印加すると常電導転移が起こり,完全反磁性が崩れてしまいます。

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