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超音波の周波数と空間分解能
超音波は安全でポータブルな診断装置としてよく知られていますが、工学的にはこれらの「手軽さ」だけにとどまらず、空間分解能および時間分解能の高いモダリティーです。
空間分解能は周波数に反比例するので、高周波数超音波を用いることで高解像度の生体組織イメージングが可能になります。
左図は、現在臨床で用いられている超音波の周波数と空間分解能の関係を示しています。数MHz領域では腹部エコーや心エコー、十数MHz領域では頸動脈エコーや甲状腺、乳腺、筋肉など体表組織のエコー、20〜45MHz領域では血管内超音波などに臨床応用されています。
超音波顕微鏡は、周波数100MH以上zの超音波により、解像度が15ミクロン程度のイメージングを実現しています(光学顕微鏡で言うと大体40倍に相当します)。さらに高い周波数(たとえばGHz領域)の超音波を用いると、解像度は1ミクロン程度になり、これは細胞1個も観察可能な解像度です。

超音波顕微鏡の原理
超音波顕微鏡では、平面振動子から発信された平面波をサファイヤなどの音響レンズでフォーカスさせるか、凹面振動子によりフォーカスさせるかして、焦点において超音波をほぼ波長と同レベルまで絞り込みます。
現在は機械走査型の超音波顕微鏡が主流で、スライドガラス上に載せた組織切片や培養細胞などの上を振動子が二次元走査し画像を得ます。
組織には特に染色を施す必要はなく、撮像するだけであれば、約10秒、音響データを取得する場合は約1分でスキャンが完了します。
2001年からは超音波顕微鏡のデジタル化に取り組み、現在では1点1点の反射波形をすべてデジタルデータとして保存するようになったので、音速や減衰、音響インピーダンスなどの様々な音響パラメーターの定量的解析が可能です。

超音波顕微鏡で何が分かるか?
当研究グループでは、超音波顕微鏡の医学応用を1985年に開始しました。元々は術中迅速診断の際に組織を染色しなくても観察できるようにという目的で研究を開始しましたが、次第に臨床超音波画像におけるエコーの発生源を探る目的に研究が発展しました。
最近では、右の式に示されるように、音響パラメーターにより組織の弾性や粘性をミクロレベルで計測し、生体組織のバイオメカニクスを探究する目的でも活用しています。
心臓、動脈硬化など、その病態に組織のバイオメカニクスが大きく影響する臓器に関する研究を行ってきましたが、最近ではさらに研究範囲を広げ、やはりバイオメカニクスが重要な整形外科や歯科の領域でも様々な病態を解明しつつあります。


超音波顕微鏡の応用例
左の図は心筋梗塞(上)と動脈硬化(下)の光学顕微鏡と超音波顕微鏡(減衰および音速)像です。
心筋梗塞後に発生するコラーゲン線維は以前から心筋の強いエコーの発生源と考えられていましたが、実際に、音速像ではコラーゲンの部位の音速が速いことが示されました。ただし、エコーの発生源として考えるときには、周囲の組織との音響インピーダンスの差なども考慮する必要があることが分かりました。また、同じコラーゲン線維でも拡張型心筋症などの慢性の疾患では音速が遅くなることもわかってきました。
動脈硬化組織の特徴は内膜の線維化が厚くなることと内膜内の脂肪蓄積ですが、超音波顕微鏡による観察で線維化組織は音速が速く脂肪組織は音速が遅いことが示されました。
音響パラメーターと組織弾性の関係から考えると、柔らかい脂肪組織を比較的硬い線維化組織が覆っているということになります。
これらの計測結果を基に有限要素法解析を行った結果、このような部位に組織の応力が集中しプラークの破綻につながっていることがわかってきました。

超音波インピーダンス顕微鏡
超音波顕微鏡によって無染色の組織に音響的に色付けすることには成功しましたが、対象を薄く切る必要があったために、光学顕微鏡用試料を作成するのと同様の特別な器具と手間が必要でした。
超音波インピーダンス顕微鏡は愛知工業大学の穂積直裕教授との共同研究で開発されました。従来の超音波顕微鏡では組織を透過しガラス面で反射した超音波を捉えていましたが、超音波インピーダンス顕微鏡ではプラスチック板を透過し組織の表面で反射した超音波を捉えています。生体組織は柔らかいので、プラスチック板に密着させるとその境界面はほぼ平らになり、この境界面をスキャンすることで組織表面の音響インピーダンスの分布像を得ることができます。したがって組織を薄く切る必要がなくなり、組織を簡単に観察することができるようになりました。
右の図はラットの小脳の断面で、豊橋技術科学大学の吉田祥子博士との共同研究により得られたものです。最近にな、脳の「しわ」がどのように形成されるかという国際共同研究にも超音波インピーダンス顕微鏡が応用されることになりました。

皮膚のイメージング
超音波インピーダンス顕微鏡や超音波音速顕微鏡など一連の新しい技術を用いた超音波顕微鏡の開発により、生体組織の三次元構造をそのまま観察可能な三次元超音波顕微鏡の開発に至りました。右図は三次元超音波顕微鏡による皮膚表面に垂直な断面像と皮膚表面に平行な断面像です。いわゆる肌の肌理や真皮内の微小血管および毛包の観察が可能になりました。
平成22年4月にスマート・エイジング国際共同研究センター所属となり、現代人にとっての三大エイジングと言われる脳・毛髪・皮膚のエイジングうち皮膚に関する総合的研究を開始しました。
皮膚の弾性や皮脂腺量に真皮のコラーゲンや皮脂腺の大きさや数が強く関与していることが分かりました。

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