座長 宮城県立がんセンター 鵜飼克明 先生
巨大なAMLの1例と脂肪成分が少なく術前診断が困難であったAMLの1例を経験し
たので報告する.【症例1】45歳,女性.肝機能に異常を認めず,HBsAg,
HCVAbは陰性,AFP,CEA,CA19-9は正常値であった.USで肝右葉に径10cmを越
える境界明瞭な輝度の高い高エコー腫瘤を認め,CTではlow densityを呈し,
CT値は-60〜-70HUであった.MRIではT1WI,T2WIで高信号強度を示し,血管造
影では右肝動脈,中肝動脈に血管増生を認めた.
【症例2】47歳,女性.肝
機能に異常を認めず,HBsAg,HCVAbは陰性,AFP,PIVKA-II,CEA,CA19-9は正
常値であった.USではS4に14×9mmの高エコー腫瘤を認め,単純CTでlow
density,造影CT(早期相)でenhanceされた.MRIのT1WIでは低信号強度,T2WI
で高信号強度を呈した.血管造影では中肝動脈に血管増生を認めた.
65歳,女性.既往歴,平成4年卵巣癌,完全房室ブロックありペースメーカー 装着.ぶどう膜炎,肺疾患あり,当院呼吸器科でサルコイドーシスと診断され 経過観察中であった.平成10年6月24日,腹部CTにてS3に径約15mmのlow density areaを認めた.超音波でも境界明瞭な低エコーの充実性腫瘍で,卵巣 癌の転移も否定できず,肝腫瘍生検を行った.組織学的にサルコイドーシスの 結節とされた.脾臓にも結節を認めたが,肝臓と同類の画像所見を呈し,サル コイド結節と考えられた.
症例1: 42歳女性.原発性胆汁性肝硬変疑いのため,エコー下肝生検を施行.
5日後より下痢,腹痛,黄疸が出現.内視鏡で乳頭部から出血を認め,ドレナー
ジを施行.USで胆嚢内debrisと,肝内外の胆管の軽度拡張を認めた.カラード
プラ法でS5にA-P shunt,psudoaneurysmを認め,3Dでその立体構築が把握でき
出血部位が推測できた.
症例2: 56歳男性.仕事中材木が倒れてきて受傷,
右胸腹部の痛みと血尿が出現.USでは右腎周囲にecho-free spaceを認め,肝
S6にcystic lesionを認めた.カラードプラ法でcystic lesionの近傍にA-P
shuntを認めた.3DでA-P shuntの脈管構築が明瞭に把握できた.以上2症例で
はA-P shuntはUS像のみでは確認困難で,カラードプラが診断およびその後の
経過観察に有用であった.また3D像により脈管の相互関係,立体構築が明瞭に
把握できた.