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循環器(I) (13:00-13:50)

座長 平鹿総合病院 伏見悦子 先生

  1. 機械弁置換術後症例のtissue harmonic imagingを用いた心臓内micro bubbleの観察
    平鹿総合病院第二内科     齋藤孝恵,伏見悦子
    平鹿総合病院検査科      丹波寛子,瀧澤健吉

    【背景および目的】Am.H.Jに経食道心エコー法を用いた機械弁置換術後症例の 心臓内micro bubbleの観察で,その個数と血清LDH値との相関関係が報告され ている.今回tissue harmonic imagingを用いることにより,経胸壁心エコー 法でも十分に心臓内micro bubbleが観察されたので,その個数と血清LDHとの 相関を検討した.【対象および方法】症例はAVR16例,MVR11例,DVR8例の計35 例で,全例SJM弁置換例である.micro bubbleの個数はビデオに録画したもの を再生し,1心拍において観察されたものを計算した.【結果】全例 fundamental modeではmicro bubbleの観察は困難で,tissue harmonic imagingを用いた.その個数は血清LDHの値によく相関した.【まとめ】SJM弁 置換術後症例において, tissue harmonic imagingを用いることにより心臓内 micro bubbleの観察が容易で,その個数は溶血の指標とされる血清LDHの値と 非常によく相関した.

  2. 超音波ドプラ法による心臓内圧力分布の測定法
    東北厚生年金病院       田中元直,菅原重生,片平美明,仁田桂子,
    東京工業大学精密工学研究所  大槻茂雄,
    東北大学加齢医学研究所    仁田新一,西條芳文

    パルス超音波Doppler法によって得られた一走査面上のビーム方向速度成分(u) の分布図を用いて,同一走査断面上でビームと直交する方向の速度分布(v) を推定し,更に面上圧力をスカラー量で表示するようにした.時間的に僅か異 なるもう一断面について同様にして(u)および(v)の分布を求めたのち,上記二 断面上のuとvとの分布から,Eulerの運動方程式を適用して走査断面上の圧力 分布をDoppler圧力分布として求められる方法を考案した.この方法では,等 圧線分布で断面上圧力の変動を示すことができるので,局所圧力変化をも知る ことができ,心臓機能の測定に役立つ方法であると判断できる.

  3. 潜在性閉塞性肥大型心筋症例のドブタミン負荷エコー法による診断
    ----- 負荷前のflow patternから予測可能か -----
    平鹿総合病院検査科      丹波寛子,高橋久美子,武石茂美,瀬川ゆか,
                   佐藤栄子,瀧澤健吉,
    平鹿総合病院第二内科     伏見悦子

    【背景および目的】潜在性の閉塞性肥大型心筋症の診断にドブタミン負荷エコー 法が有用なことは知られている.今回,負荷前の左室内の血流波形から負荷後 の閉塞化が予測できるかを検討した.【対象および方法】症例は左室内に 3.0m/s以上の狭窄血流のない肥大型心筋症例20例(男11女9例,平均63.5歳) を対象に,ドブタミンを5μg/kg/minから3分ごとに段階的に負荷量を増加させ, 左室内に3.0m/s以上の血流が観察された段階で負荷を中止,最大15μg/kg/min まで負荷を継続した.左室内血流が3.0m/sとなった症例を負荷陽性とし,負荷 前の左室内狭窄部の加速時相のドプラ波形が上に凸のA群8例,直線的なB群12 例とに分けて検討した.【結果】A群のうち負荷陽性は7例(87.5%),B群の うち負荷陰性は9例(75%),A群が負荷陽性とすると,感度は0.7,特異度は 0.9であった.【まとめ】左室内に狭窄血流のない肥大型心筋症でも血流パター ンから潜在性閉塞性肥大型心筋症の予測がある程度可能であった.

  4. 拡張型心筋症におけるβ-遮断剤導入前後の心機能評価の検討
    東北厚生年金病院中央検査部  中島博行,藤田雅史,四ノ宮祐記,佐々木晶子,
    東北厚生年金病院循環器科   仁田桂子,片平美明,菅原重生,三引義明,
                   大和田直樹,田中元直

    拡張型心筋症(DCM)におけるβ-遮断剤(β-blocker)の使用は,心筋酸素消費量 を減少させ,心筋細胞を保護する目的として使用され,これまでに有効性が示 されている.我々は,β-blockerを導入出来たDCM症例について,導入前後の 心機能の変化を検討した.心機能評価法として,従来のポンプ機能評価法(左 室駆出率 EF,+dp/dt,PEP/ET)と,前回本学会で発表した心筋機能評価法(傍 胸骨左縁左室長軸像で最大収縮期 S と最大拡張期 D における心室中隔および 左室後壁壁厚の変化率 S/D)を用いた.β-blocker導入後,ポンプ機能,S/D共 に一部は心機能の改善を示したが,EFの改善にもかかわらずS/Dが不変の症例 も認められ,心機能の評価には,EFなどのポンプ機能評価法のみならずS/Dの 心筋機能評価法も加えることで,より詳細な機能評価の可能性が示唆された.

  5. 心臓壁運動の数十Hz成分の空間分布
    東北大学大学院工学研究科   金井 浩
    東北大学大学院医学系研究科  小岩喜郎

    我々は,拍動によって大きく動いている心臓壁上の振幅数十μm以下の微小 な振動を『位相差トラッキング法』により高精度に計測し,時間・周波数解析 することにより,左心室心筋の局所伸縮特性を評価してきた.本報告では,超 音波ビームを短軸像または長軸像の10方向に送信させることにより,左心室中 隔壁と後壁における10方向超音波ビーム上の各層における運動速度を同時に計 測し,周波数解析した結果を示す.『拡張性パルス』の発生する心II音前後に おいて数十Hzの成分の発生(伝搬)に僅かな遅延があることが確認された.



TOHOKU_UNIV
Wed Feb 16 16:30:59 JST 2000