next up previous
Next: 膵臓・胆嚢(I) (14:50-15:20) Up: 日本超音波医学会 第19回東北地方会 プログラム Previous: 循環器(I) (13:00-13:50)

体表・腎臓・産科 (13:50-14:40)

座長 東北厚生年金病院 谷川原真吾 先生

  1. 上皮小体,甲状腺疾患におけるContrast Harmonic Imagingの試み
    福島医科大学第ニ外科     鈴木眞一,阿美弘文,旭 修司,小野木 仁,
                   福島俊彦,竹之下誠一

    最近超音波用造影剤が開発されContrast Harmonic Imaging(以下CHI)が注目さ れてきている.我々は上皮小体,甲状腺疾患にCHIを用い術前診断への有用性 を検討したので報告する.対象は甲状腺腺腫4例,濾胞癌1例,腺腫様甲状腺腫 1例,甲状腺乳頭癌2例,上皮小体機能亢進症2例の10例である.方法はガラク トースパルミチン酸混合物のLevovistを静注した後アロカ社SSD-5500,7.5MHz プローブにてカラードプラ法およびパワードプラ法にて撮影した.CHIにより 乳頭癌では腫瘍内への流入血管が,濾胞性腫瘍では辺縁の血流の描出が顕著に なり,良悪性の鑑別に有用であり,上皮小体では部位診断に有用であった.

  2. ドックUSにて発見された腎悪性腫瘍例について
    (財)宮城県予防医学協会    大橋泰弘,佐々木幸子,菅原良浩,千葉浩子,
                   須藤利華,黒石泰司,柳谷泰三
    仙台社会保険病院       寺澤良夫

    【はじめに】当協会では,1994年4月より人間ドックおよび職域健診において, 腹部超音波検査(以下US)を開始した.今回は,腎悪性腫瘍例について,若干の 検討を試みたので報告する.【対象】1994年4月から1998年12月までのUS受診 者,30,706名(男20,288名,女10,418名)のうち,腎悪性腫瘍を疑い,精査依頼 先の医療機関にて腎癌の確定診断を得た症例.【使用機器】アロカSSD650, SSD2000,東芝SSA240A探触子は3.5MHzおよび3.75MHzを使用した.【結果】診 断結果は腎細胞癌5例,多房性のう胞状腎癌2例の計7例で,検出率は0.023%, 平均年齢は53.3才,全例において男性であった.サイズは7例中,5例が30mm前 後,2例が60mm前後でチェックされた.本症例中,左右両腎原発の腎細胞癌を 認めた例を得た.また,CEC付近に発生した多房性のう胞状腎癌を腎のう胞と 判定し,4年間にわたって経過観察した例もあった.

  3. 集団US検診における腎盂癌について
    (財)宮城県予防医学協会    村上廣一,高野友幸,松浦全樹,大河内美知,
                   黒石泰司,柳谷泰三
    仙台社会保険病院       寺澤良夫

    今回,当協会人間ドックにおいて腎盂癌と確定診断された2症例が得られた. そのうち1例は,逐年受診者で,もう1例は初回受診者であった.この2症例を もとに集団検診における初期の腎盂癌発見の可能性について検討した.症例1・ 男性 68歳1996年7月受診時,尿潜血反応陽性を認めた.医療機関にて精密検 査を実施.膀胱の炎症と言われた.1997年7月受診時,尿潜血反応陽性・USに て右腎臓に水腎症を認め腎盂内に腫瘍を認めた.病理組織結果 移行上皮癌 (G2)・尿細胞診 陽性(classV)であった.症例2・男性 57歳.1997年12月ま で腎結石にて治療が行われていた.転勤に伴い,1998年6月当協会人間ドック を受診した.USにて左腎臓に水腎症を認め腎盂・尿管および膀胱内腫瘍を認め た.病理組織 移行上皮癌(G2)・尿細胞診 陽性(classV)であった.本2症例 より,集団検診におけるハイリスク群の設定と再検査体制の必要性が考えられ た.また,症例1の前年度比較より,集団検診における腎盂癌の早期発見の可 能性が示唆された.

  4. 心不全で発症した腎動脈下大静脈瘻
    秋田大学医学部第二内科    及川美奈子,渡邊博之,鬼平 聡,藤原理佐子,
                   新田 格,藤井裕子,斉藤 崇,三浦 傳

    症例は65歳女性,呼吸困難と右背部痛を主訴に来院,胸部X線写真上,肺うっ 血と心拡大を認めたため心不全の診断で入院となった.約20年前に腎結核のた め右腎摘出術の既往があった.利尿剤投与により症状は改善したが,右腰背部 に連続性血管雑音が聴取された.心エコ−検査では,高拍出状態を呈していた. さらに,右腎動脈と下大静脈間に短絡血流を認め,その最大流速は5.82 m/sで あった.下大静脈は最大で40 mmと拡大していた.よって,右腎動脈下大静脈 瘻とそれにともなう高拍出性心不全と診断,後日同部位にコイル塞栓術を施行, 短絡血流は消失した.術後の心エコ−検査で,心室中隔壁の収縮期前方運動の 出現を認めた.腎動脈下大静脈瘻の診断に超音波検査が有用であったこと,塞 栓術後の中隔壁異常運動に関し,文献学的考察を加えて報告する.

  5. 妊娠19週で診断した二絨毛膜性双胎1児の先天性横隔膜ヘルニア
    国立仙台病院産婦人科     明城光三

    症例は37歳1妊1産で卵巣嚢腫の既往あり,前回の分娩は帝王切開術であった. 最終月経初日は1999年4月8日でこれより計算した分娩予定日は2000年1月13日 であり,当科初診の11週4日での胎児頭臀長より確認した.また隔壁の性状よ り二絨毛膜性双胎と診断した.その後定期的に妊婦健診を行っていたが妊娠19 週5日に一方の児の腹部横断面で心臓と胃が同一断面にあることより先天性横 隔膜ヘルニアを強く疑い東北大学病院産婦人科に紹介した.妊娠24週に胎児採 血を行い染色体異常がないことを確認後,胎児の発育は順調で妊娠36週4日帝 王切開術で出生した.先天性横隔膜ヘルニアの第1児は2,398g女児,第2児は 2,576g男児であった.患児は出生翌日横隔膜ヘルニア修正術を行い,術後はほ ぼ順調な経過を辿っている.先天性横隔膜ヘルニアは出生後直ちに治療が必要 であるため出生前診断が特に重要な疾患と考えられる.



TOHOKU_UNIV
Wed Feb 16 16:30:59 JST 2000